あわただしい日常のなかでも、ぱっと作ってゆっくり味わい、豊かな時間を楽しみたい…。そんなご要望にお応えし、多彩なメニューで食卓を応援する大地を守る会の「おやさいdeli kit」。9月11日より、生産者限定の野菜を使った新シリーズが登場しました。おやさいdeli kitに同梱されるリーフレットには、作り方はもちろん、どんな生産者が、どんな思いを込めて作ったのかを紹介するコラムが掲載されています。その一部をご紹介します。
小松菜の生産者三枝晃男さんと長男の将樹さん
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都市化の波に負けずに代々続く農地を守る
三枝さんの小松菜編
埼玉県志木市で代々農業を営む三枝晃男さん。小学３年生の頃、学校を早退して農業を手伝い始めてからすでに60年以上が経ちました。
志木市は都心から程近く、畑の回りは宅地化が進み、環境も大きく変わりましたが、今も変わらず先代から受け継いだ畑を守り続けています。
「子供の頃はやれと言われてやっていたから農業が好きではなかったねぇ」という三枝さん。自身が一家の大黒柱になってからは、熱心に栽培や土作りなどを勉強。今では「農業が大好き！」と言い切るほど、熱いハートを持つ生産者の一人です。
三枝さんは、埼玉県志木市で代々農業を営んでいます。
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タンクの水と熱い思いを積んで、今日も畑に向かう
「やると決めたら、やるんだよ！」と力強く語る三枝さん。特定の休みなどを設けず、トラックに水の入った大きなポリタンク積んで、今日も畑に出かけていきます。
三枝さんの熱心で几帳面な性格を表すかのように、畑はきれいに整えられています。土に炭を混ぜ込んで、有益な微生物を増やしたり、種をまいた瞬間から虫から守るためにネットで覆ったり……。様々な工夫もいっぱいです。宅地化の影響で5カ所に点在している各畑には「栽培ノート」を付けて管理。いずれのノートにも「いつ種を撒いた」「どのような肥料」「出荷予定日」などの情報がびっしりと書き込み、しっかり管理しています。
「栽培ノート」には、「いつ種を撒いた」「どのような肥料」「出荷予定日」などの情報がびっしりと書き込み、しっかり管理しています。
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ピンチをチャンスに。進化は止まらない
60年以上の農業人生の中で、は予定通り収穫ができなかったり、たい肥のにおいが近所からのクレームになったりしたこともありました。そんなときでも三枝さんは次のように考えると言います。
「ピンチがきたと時は頭を働かせるチャンス」
「何かあった時にこそ、人は本音を言ってくれる」
「感謝の気持ちを感じること自体が大切」
三枝さんの前向きな人生哲学に基づき、収穫体験を企画したり、各家庭に訪問しプレゼントしたり、柔軟なアイデアで乗り越えてきました。常に進化する70歳の三枝さんの育てた小松菜は三枝さんのようにパワフルで、真面目な小松菜です。
三枝さんの育てた小松菜は三枝さんのようにパワフルで、真面目な小松菜です。
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自然体で取り組むがゆえに手間のかかる農業を実践
飯塚さんの長ねぎ編
長ねぎの生産者、飯塚一実さんと春美さん
ネギは種まきから収穫まで約8カ月もかかる野菜。栽培期間が長いということは、虫や病気の危険にさらされる時間が長く、その分手間、雑草を一つ一つ手で労力もその分かかる野菜ということです。飯塚さんの畑では燕麦（エンバク）を育て、土に混ぜ込むことで、土をやわらかくし、水はけのよい状態に保つようにしています。こうすることで野菜の根の張りが良くなり、センチュウなどの土壌で悪さを働く病害虫対策にもなるのです。「手間はかかるけど、やっているときは一生懸命だから」と穏やかに笑う飯塚さん。まるで当然のことのように自然体で取り組む姿は、まさに「職人」という言葉がぴったりの生産者です。
「手間はかかるけど、やっているときは一生懸命だから」と穏やかに笑う飯塚さんは、まさに「職人」という言葉がぴったりの生産者です。
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大切な「食べもの」だからこそ、安全を求める純粋な思い
ていねいに除草された長ねぎの畑。
飯塚さんが薬に頼らない農業を始めたきっかけは「自分で食べるもの」として「農薬をたくさんかけた野菜」に疑問を感じたから。また息子さんが幼いころアトピーだったこともあり、身体を作る大本となる「食べもの」を考え直すきっかけにもなりました。
大地を守る会とのお付き合いはすでに30年以上となりました。ベテランの域に達している生産者ですが、「自然相手だから、毎年同じように作っても難しい年もある。 毎年1年生だよ」 と謙虚に語ります。
そんな誠実な飯塚さんだからこそ、野菜たちはていねいに育てられ出荷されます。安定した品質という信頼をさらりとやってしまう姿の裏には、日頃の農作物と真摯に向き合う見えない努力があるのでしょう。
