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土佐の伝統と母の知恵

【NEWS大地を守る7月号】魚をもっと食べてほしい。私たち、全力です

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きらきらとした海に負けないくらい、いつも明るい土佐佐賀産直出荷組合(高知県黒潮町)のフルメンバー。

海にも食卓にも近い、魚料理のプロが土佐にいました。彼女たちの名は、「土佐佐賀産直出荷組合」。伝統製法と女性ならではのひと手間、そしてたっぷりの愛情を込めたその一品は、心まで元気にしてくれます。

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小さな漁師町で始めました

「獲れたての生のカツオを藁焼きにしたがが、やっぱりおいしいちや。味が全然違うき」。「藁焼き鰹たたき」でおなじみの土佐佐賀産直出荷組合(以下、さんちょく)(高知県黒潮町)の浜町明恵さんは、真っ青な海と小さな港を背にした加工場で胸を張って話します。ここは、伝統の1本釣りによるカツオの漁獲量が県下一を誇る、高知県黒潮町。タブノキやオガタマ、スダジイなどの原生林がそのまま残されている鹿島が目の前に浮かぶ佐賀港には、日帰り漁から戻ってきた船が着岸し、魚が水揚げされています。船が戻ってくる度に競りが行われ、その際に使うそろばんの音が聞こえてきます。並ぶかごの中には、獲れたての生のカツオが光り輝いています。

伝統の1本釣りによるカツオの漁獲量が県下一を誇る、高知県黒潮町。タブノキ やオガタマ、スダジイなどの原生林がそのまま残されている鹿島は、目の前の佐賀港に出入りする船を今日も見守ります。
佐賀港では日帰り漁の船が到着する度に水揚げ、競りを行います。
漁業が盛んな黒潮町では港で働く女性も多い。次の船が到着する前にかごを片付け中。
値段を競る際に使うのは大きな木のそろばん。昔からある風景です。
種類も量も予測できないのが海。今日はカツオやレンコダイなどがあがりました。


高知といえばカツオ、そしてカツオのたたき。カツオは伝統の1本釣りのほかに、近年、巻き網漁が盛んに行われています。巻き網漁は魚を網で追い込み一網打尽にします。1回の漁獲量は多いものの、網の中で魚が重なり合って傷つき、質が落ちてしまいます。また、月単位で航海する大きな船での1本釣り同様、持ち帰るために冷凍することになります。一般的なカツオのたたきは、この冷凍のカツオをガスや炭で、ときに香りを出すために少し藁を入れて焼くのです。一方、さんちょくでは、1 本釣りの生のカツオを基本に、藁のみで焼いてたたきにしています。

さんちょくで働いているのは、全員女性です。始まりについて浜町さんは話します。「生まれ育ったこの町でまた働き始めとうて、当時まだ小さかった子ども3人を育てながら仕事を探しよったがよ。漁師の父が獲ってきた魚を母が料理するという実家やったき、港で値がつかない魚を見かけ、もったいないと思い、『なんとかならんかえ?』と言う漁師さんたちをなんとかしたいと思うたがよ。それでもカツオの一大産地には、少量の魚を加工できる場がなかったき、なら、自分でやろうと一人で始め、地元の知り合いに声をかけていったら、女性メンバーが増えていったがよ。そこで、自分たちの子どもに食べさせたいものを作ろうと考えたがです」。

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想いが生む味わい深さ

朝6時30分。いくつかの港から仕入れている浜町さんは、今日は久礼(くれ)港にいました。「けんちゃん、今年のカツオはどんなかよ?」浜町さんがけんちゃんと呼ぶ矢野賢一さんは、久礼港の入札権を持つ仲買人。この港での入札権を持たない浜町さんは矢野さんからカツオを仕入れています。「今年は脂乗りがええ。でも、いつもより水揚げが遅い。黒潮の流れの関係やろか」。海の状況は刻々と変わります。聞くに、よいカツオは丸々としていてパンと張っているのだそう。しかし、カツオは個体差がよくあるため、最終的には切って食べてみないと味は分からず、海同様、読むのが難しい魚なのです。矢野さんはさんちょくの立ち上げ時からの仲間ですが、港で認めてもらうには何年もかかりました。浜町さんは毎日港に通って学びました。「有難いことに、今では『入札してええで』と言ってくれようけど、私はこれからもけんちゃんから仕入れるき」と浜町さん。水産の人情の世界を歩んでいます。

浜町明恵さん(左)がけんちゃんと呼ぶ、仲買人の矢野賢一さん(右)。
カツオのかごがずらりと並ぶ久礼港では、朝6時30分から競りが始まります。


つい先ほど水揚げされたカツオを加工場へ運ぶと、製造の開始です。その手際は迅速かつ、どこまでも丁寧。まずは、大きなカツオを包丁で捌いて節にしていきます。「骨はもちろん、血もしっかり取り除くがよ。血はくさいと感じる原因になるきね」とは竹中住恵さん。商品の量目に合わせて切り落とした部分を集めたざるを覗いていると、「この切り落としは角煮にするがで」。ちなみに、頭や骨などの残りは肥料にするそう。捨てるところはありません。

大きなカツオを包丁で、迅速かつ丁寧に捌いていきます。
骨はもちろん、くさいと感じる原因になる血もしっかり取り除きます。
商品の量目合わせで出る切り落としは角煮に。大鍋にたっぷり入れて、じっくり煮込 みます。冷めてもやわらか。


そして、いよいよ藁焼きへ。一人が藁をふわっと広げながら火種に入れると、一気に炎が立ち上がります。もう一人は、網にのせたカツオの節の間に炎が入るよう、揺れ動く炎を追いかけます。これがほんの少しのできごと。「上手にできんかったら藁と時間を消耗するきね。藁の入れ方が一番難しい熟練の技が必要で、また二人の呼吸も大切ながよ」とは松田昌子さん。皮目に少し多く焦げ目を付けたその仕上がりは、家でもカツオをはじめ魚を料理する、母である皆さんも納得するおいしさです。

火種に入れると一気に炎が立ち上がる藁の入れ方や、二人の呼吸が重要な藁焼き。
カツオの節の間に炎が入るよう、揺れ動く炎を追いかけます。
厚めでも薄めでもお好みにカットし、玉ねぎ、青ねぎ、にんにくを添えて。ポン酢の代わりに塩をかけていただいても。

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海と食卓をつないでいく

日本人は魚が好きで、たくさん食べているというイメージはあるものの、実は今、若年層を中心に、家で魚を料理して食べることが減ってきています。「骨を取るのが面倒で食べづらい」という理由から煮付けを好まない子どもも多くなっており(※)、魚のある食卓が少しずつ消えていく可能性もあるのです。

さんちょくはこれまで、「切って盛るだけ」や「温めるだけ」など約70もの魚加工品を作ってきました。「私も経験したき、よう分かるけど、仕事や子育てなど忙しいで大変でね。そんな時は、私らが代わりに魚料理を作るきね!〝魚の食卓の母〞になるという気持ちでおるき。海と食卓をもっとつないでいきたいき」。

力強さとやわらかさを兼ね備えた、浜町さんをはじめとするさんちょくの母たち。全力で前に向かい続けるこのエネルギーが、日本の海や食卓をきっと元気にしてくれるはずです。


※農林水産省「伝えよう魚食文化、見つめ直そう豊かな海」参考


”さんちょく”のカツオ商品はこちら
※該当商品の取り扱いがない場合があります。 

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。