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つながりが、実を結ぶ

【NEWS大地を守る7月号】小さな森の有機農業

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35年以上にわたり、大地を守る会に野菜を届けている瀬山さん。父・明さんから一家の農業を継いだ公一さん。

生き物が棲まうなす畑の ”小さな森”で、なすの収穫をする瀬山グループ(埼玉県本庄市)の瀬山さん。コロナ禍で世界が揺れ動く今、改めて、有機農業を見つめ直します。

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少量多品目の有機農業の名人

夏野菜の代表格の一つ「なす」。大地を守る会のなすの生産者といえば、瀬山グループ(埼玉県本庄市)の瀬山さんです。会員歴が長い方はそう思い浮かべるのではないでしょうか。また会員歴が短い方も、「あっ!このなすおいしい」と思ったそのなすは、もしかしたら瀬山さんのものだったかもしれません。

7代にわたり養蚕農家だった瀬山家は、8代目の明さんで野菜農家となり、有機農業を始めました。高度経済成長期、工場から発生した水質汚染や大気汚染、農薬使用の急激な増加などが問題になり、環境に負担をかけない農業を模索していた明さん。そんな折、大地を守る会に野菜を出荷していた黒沢グループ(埼玉県深谷市)の故・黒沢賢一さんに出会ったことで有機農業の道に進むことになったのです。今のようにインターネットが普及していなかった当時、黒沢さんをはじめとする埼玉の農家たちは月に1回集まり、有機農業について情報を共有し合って学び、栽培技術の向上に努めていました。その時の学びが、今の瀬山さんの有機農業のベースとなっています。

瀬山家の親子3代のポートレート。明さん (左から2番目)、公一さん、その次の農家後継者やいかに!


「大地を守る会に初めて出荷した野菜がなすだったんです。当時の大地を守る会では、なすの生産者がまだほとんどいませんでした。それもあって瀬山といえばなすのイメージが強いのかもしれませんが、実は育てているのは冬野菜の方が多いくらい。一年を通して約40品目の作物を栽培しています」と話す明さん。さまざまな種類の作物を少量ずつ育てる「少量多品目栽培」の有機農業を確立してきました。

少量多品目の有機農業を営む瀬山さんに欠かせない作付表。どの時期に、どの畑で、何を栽培するのかが記されています。

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生き物が共存する”小さな森″

夏の朝5時。なす畑では息子の公一さんがすでに作業を始めていました。「なすは皮の色が黒いから熱を吸収しやすくて、日に当たり過ぎると皮が茶色く焼けちゃう。だから日差しが弱い早朝に収穫するんです」。少量といえども、収穫期を迎え、どんどん生長するなすの収穫に公一さんは大忙しです。

父・明さんの後を継いだ息子の公一さん。「昔は大地を守る会の社員がうちに集荷に来ていて、よく一緒にごはんを食べていました。小さい頃から大地を守る会の人たちは身近で、イベントなどでお会いする消費者の皆さんも近くに感じています」。
みずみずしさを秘めたはりとつやは、生態系を巡るエネルギーで育った証。


瀬山さんの畑には、他の生産者の畑とは違う特徴があります。どうやらなすの畑は、背の高い植物に囲まれています。「あれはデントコーン。風除けになるから、風でなすの樹が倒れたり、実が樹や葉にぶつかって擦れたりしないですむ。あとは、『バンカープランツ』といって虫除けにもなります。虫がなすの方に入って来る前に、周りにあるデントコーンの方に棲むようになるんです」。植物や虫、長年培った土壌にいる微生物までもが共存する、緑に覆われた静かなこの空間は、まるで〝小さな森〞のよう。瀬山さんは、作物ごとに異なるこの〝小さな森〞をたくさん持っています。

中に入ると涼しい“ゴーヤの森”。公一さんの妻・祐里さんもゴーヤの収穫に大忙し。
埼玉の地に昔から伝わる在来作物「埼玉青なす」も瀬山さんは育てています。「日本むかし野菜」を注文すると、夏は埼玉青なすが届くかもしれません。


「作物にはいろいろなことが起こるから大変。前に虫対策に失敗した時は、テントウムシダマシというテントウムシに似た虫がなすの葉を食べちゃって、なすが全滅したこともあります」。そう話しながら公一さんは着々となすを収穫し、かごはなすでいっぱいに。ぱんと張った深い紫色の実はつややかで、美しい光を放っています。

バンカープランツの他にも、異なる種類の作物を植え続けることで病気を防ぐ「輪作」や、栽培した植物を青いまま土にすき込むと雑草の防止や栄養の補給になる「緑肥」など、瀬山さんは農薬・化学肥料を使わない代わりに、畑の生態系に合わせた自然の力を生かして作物を育てています。そして公一さんは言います。「有機農業は、微生物の命、虫や植物の命、さらに私たち作る人や食べる人の命、すべてがつながって、共存していくことなのです」。

里芋の隣りの畑で育っているのがイネ科のソルゴー。売る作物ではなく、青いまま土にすき込んで地力を上げる「緑肥」です。刈る時にはそこに棲んでいた虫が舞い上がり、鳥がその虫を食べに飛んでくるそうで、その様子はまさに生態系そのもの。
瀬山さんが長年、自家採種してきた埼玉青なすの種。命の源である種も、つながって持続していきます。

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コロナ禍を経て感じたこと

世界中を襲った新型コロナウィルスの猛威を受けて、明さんは語ります。「お金があれば便利で何でも手に入るという考え方が蔓延していて、人と人のつながりが希薄になっていると感じていました。そんな中、今回のコロナを経験して、人とつながる温かさや大切さに、みんな気付いていると思います。食べ物も一緒で、かつて私が消費者と会った時に、『ああ、この人たちの食べ物を作っているんだ』と自負し、責任を感じたのと同じように、消費者もまた、『これがあの瀬山さんのなすだ』と思って食べてもらえたら、一味も二味もおいしくなると思います」。

この味、きっと忘れられません。塩もせず、なすを切って油で焼くだけ。お試しを。
なす、埼玉青なす、きゅうりを薄く切って塩でもみ、みょうがをちらして。夏、瀬山さんの食卓に毎日上がる一品。


〝つながりによって味をも変えてしまう〞と明さん。大地を守る会でお届けしている野菜にはすべて、生産者名が記されています。「これはとうもろこしに囲まれた畑で穫れた瀬山さんのなすだ」「これはブルームに包まれた鈴木さんのおしろいきゅうりだ」。おうちに野菜が届いたら、ぜひ産地に思いを馳せながら食べてみてください。

※撮影は2019年7月に行いました。


「なす」を含む大地を守る会の野菜はこちら
※該当商品の取り扱いがない場合があります。

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。