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ここでしかできない在来種受け継いで

【NEWS大地を守る1月号】甘楽の殿様ねぎ

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この力強さと存在感が、下仁田ねぎならでは。冬の寒さに耐えながら地中で旨みを増していく。

鍋に入れれば主役を張る旨さの冬食材、下仁田ねぎ。江戸時代、殿様がこのねぎを気に入り献上させたことから「殿様ねぎ」とも呼ばれます。自家採種で在来種を作り続ける、群馬県の甘楽町有機農業研究会を訪ねました。

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畑の中で循環させる

空に向かってズンと伸びた青い葉っぱ。地中に埋まった白い部分は、寒さに耐え、甘みを蓄えていきます。下仁田ねぎを有機栽培で育てている甘楽町有機農業研究会の皆さんの畑にお邪魔したのは10月下旬。収穫まであと数週間という畑を案内してくれたのは同会の吉田恭一さん・斉弘(なりひろ)さん親子と、依田肇(よだはじめ)さん・美代子さんご夫婦です。
現在35歳の斉弘さんが農業を本格的に継いだのは3年前。それまでは東京で製薬会社に勤めていました。小さい頃は農家の仕事には興味がなく、有機農業に取り組む両親の姿を見ても、「なんでうちは人と違うことをやっているんだろう」と思っていたと言います。ところが、学生時代に実家から送られてきた野菜を友達におすそ分けしたところ、すごくおいしいと驚かれたことがきっかけで、両親が作る野菜のおいしさに気づきました。
製薬会社で働くうち、「病気になる前に体のもととなる食から変えていくことが大事ではないか」と考えるようになった斉弘さん。今では父や先輩である依田さんたちに教えを受けながら、毎日畑で汗を流しています。

左から息子の吉田斉弘さんと父・恭一さん。依田肇さん・美代子さんご夫婦。
四方を山に囲まれた畑で、下仁田ねぎの世話をする斉弘さん。

甘楽町有機農業研究会は昭和62年頃に発足した会で、メンバーの入れ替わりを経ながら、現在も20人ほどが所属しています。
「いい堆肥を作るべ、と言って始めた会が発展して、せっかくやるなら有機はどうだい、ということで仲間が集まりました」(恭一さん)
恭一さんは、平成10年からすべて有機農業に切り替えたと言います。
有機農産物には、有機JAS規格の中で使用が認められている農薬がありますが、吉田さんたちはそれらの農薬も使っていません。堆肥もほとんど使わず、米ぬかと油かすを混ぜたボカシを少し撒く程度。あとは極力自然任せで、水も雨だけを頼りにしています。
「過保護にしてしまうと、栄養過多になって野菜も病気になりやすい。なるべく畑の中で循環させるイメージでやっています」(斉弘さん)

甘楽町有機農業研究会の吉田恭一さん。

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16ヶ月間手がかかる

農薬を使わないため、年中雑草取りの作業に追われますが、あえてすべては取り切らないと言います。雑草は野菜を食べてしまう虫の天敵を残すためにも、特に苗が小さいうちは雑草を残しておくのだそう。
「雑草も植物だし、虫のすみかでもある。共存を大事にしたいと思っているんです」(斉弘さん)
下仁田ねぎは、収穫する前年の10月中旬に種をまくところから始まります。5月に定植し、11月から冬にかけてが出荷シーズンです。種まきから収穫まで、一般的なねぎは半年ですが、下仁田ねぎの場合は13カ月から16カ月。倍以上の時間がかかるのです。
「育つ時間が違うから、下仁田ねぎは管理が大変。収量も3分の1から4分の1です」(依田さん)
それでも作り続けるのは、「ここでしかできないものだし、買ってくれる人がいるから」と恭一さん。
同じ理由で、下仁田ねぎの中でもずんぐりした形が特徴のだるま系という種類も栽培しています。だるま系は柔らかくてとろみがあり味は絶品と言われますが、病気に弱い種類でもあります。
「他に作っているところはほとんどないから、つないでいかないとなくなってしまう。大変さを突破するのは、その人の心がけじゃないのかな」(恭一さん)

種まきを終え、芽が出てきたばかりの下仁田ねぎ。ここから収穫までまだ1年以上、手間ひまをかけて育てていく。
長ねぎと比べて、ずんぐりした形が特徴の下仁田ねぎ。もちろん青い部分まで食べられる。

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種採りでつなげていく

「ここでしかできない」の言葉通り、下仁田ねぎは、群馬県の下仁田町を含む甘楽・富岡地域で長く伝わって来た在来種です。同地域は「浅間おろし」と呼ばれる西からの乾燥した季節風が強く吹く土地です。この乾燥した気候こそが、下仁田ねぎの栽培に向いているのだそう。
「在来種」(在来作物)とは、その土地で長く作り続けられて来た品種を指します。親から子へ、同じ形質が代々受け継がれている種を指す「固定種」の一つでもありますが、在来種は長い年月をかけてその地域の風土や気候に適応したものであり、他の地域で栽培してもうまく収穫できません。下仁田ねぎのほか、山形県のだだちゃ豆や高知のリュウキュウ(はす芋)、沖縄の島人参などもその一例です。在来種や固定種に対して、対照的な存在がF1種。顕性の法則を利用し、同じ形質を持った作物を収穫するために作られた種です。病気に強く形が揃い、安定して収穫できますが、第2世代以降は潜性の形質が出現してしまうため、使えるのは一代限り。現在、大量生産されている慣行栽培の野菜は、ほとんどがF1種で、多くの農家が種苗会社から毎年購入しているのが実情です。
一方で吉田さんは、自家採種で種を採り、下仁田ねぎを育てています。他にもイモやショウガ、宮内菜など20〜30種ほどを自家採種して栽培していると言います。
「種採りは当たり前にやってきたことだから」と、事もなげに恭一さんは話しますが、自家採種をしている農家は現在ではごくわずかです。
F1種のように画一化してしまえば、何かをきっかけにそれが全滅してしまうリスクがあるのは想像にかたくありません。在来種はいわば、多様性の象徴でもあり、本来の自然の姿と言えるのかもしれません。
「どこの県にもそういう特徴のある作物があるはずだよ」(依田さん)

浅間おろしと呼ばれる空っ風が吹く乾燥した気候が下仁田ねぎを作るのに向く
吉田さんが自家採種した種。葱坊主が出たあとの6月に、50 ~ 60本から種を取る。他にもイモやショウガなど20~30種類を自家 採種している。

吉田さんたちはこの日、伝統的な食べ方である「下仁田ねぎの一本焼き」を再してくれました。寒い冬に収穫作業をしながら暖をとるため、かつては畑の横で焚き火を焚いていたのだそうです。炎がおさまり熾火になったら、引っこ抜いたばかりのねぎを放り込み、真っ黒に焼けた皮を1枚剥いだらそのままかぶりつきます。
「下仁田ねぎは、霜が3回降りてからがおいしくなる。糖を体に蓄えて、甘くなるんだよ。1月がベストかな」(依田さん)
火を通すととろみと甘みが出て、主役級のおいしさになる冬のごちそう、下仁田ねぎ。
種から始まる自然の循環を大切にして、長年受け継がれてきた貴重な在来種の味わいを、ぜひ味わってみてください。

下仁田ねぎ」はこちら
※該当商品の取り扱いがない場合があります。

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。