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マグロの未来を見据えた目利き

【NEWS大地を守る12月号】俺たちマグロの応援団

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抱えているのは、60キロクラスの「大鉢」と呼ばれるメバチマグロのロイン(4つ割り)。これがマグロの漬けなどの原料になる。

延縄原料へのこだわりは、漁業と海を守るため。マグロと共に70年、漁師の誇りを受け継ぐマグロ加工生産者・マストミ(徳島県徳島市)を訪ねました。

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資源の回復が追い付かない現状

静岡・焼津に水揚げされた巨大なマグロは、4つ割りにされた「ロイン」という状態で、徳島まで運ばれてきます。大西洋をはじめ世界の海で釣り上げられ、船上でマイナス50℃に急速冷凍されたものです。
4つ割りでも、人がやっと抱えられるほどの大きさ。元のマグロの大きさを想像すると、その迫力に圧倒されるようです。
マグロ。世界の「食」の現在地を語る上で、その存在は、魚体と同じように巨大です。特に日本がマグロの消費大国であることは言うまでもありません。食卓にお刺身が並べば、その中心的立ち位置にいるのは、いつもマグロ。筋の多い部分からすき身を「ねぎ取った」ことに由来するネギトロは、軍艦から丼まで、子どもも大人も大好きな一品です。
この数十年間、世界的にマグロの消費量が拡大するにつれ、漁獲量は急激な増加を見せてきました。かつて中心だった「延縄漁」ではなく、より効率的に漁獲できる「巻き網漁」へと漁法が変化したからです。 結果、乱獲によりマグロは減少し現在では漁獲規制などが設けられています。世界的なルールが設けられ、強化されつつありますが、世界各国の海で資源の自然回復力は追いついていない現状だと言われています。

皮を切り落とす前の本マグロ。彫刻のような美しさがある。これはカワラ(皮側の身)で、中トロの刺身の原料。

徳島県南部で代々漁業を営んできた枡富家は、1951年から神奈川県三崎を拠点にマグロの遠洋漁業を始めました。枡富漁業として延縄船を操業したのち、75年にはマグロ卸売業・加工製造業に業態を転換し現在までマグロに関わり続けています。
「マグロの恩恵を受け、マグロと共に成長してきた私たちだからこそ、そしてこのような危機的状況だからこそ、資源を守るため、マグロの価値を守るためには、延縄漁で漁獲した原料にこだわり続けないといけないんです」と話すのは、マストミの営業部部長・佐川和也さん。

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マグロの力強い赤、延縄だからこそ

延縄漁は、たくさんの釣り針がついた1本の長い縄を漁場に流し、マグロを1匹ずつ釣り上げる日本伝統の漁法です。餌や針のサイズで狙うマグロのサイズをある程度選定することができ、さらに船上で1匹ずつ処理するため品質も保証されます。
一方、巻き網漁は網で魚群を追い込み、魚群ごとまとめて獲る方法。まだ成長していない魚や、狙っていない魚も大量に獲ることになってしまうのです。水揚げのときに魚同士が接触して圧迫されたり、酸欠状態になったりして品質にばらつきが出やすい欠点もあります。
マストミが扱う延縄漁で獲れた天然マグロの中でも、さらに大地を守る会では日本籍の船で揚がったマグロに原料を限定しています。長く魚食文化を育んできた日本ですが、この30年、魚の水揚げ量は半分以下に減少。不足分は輸入に頼っているのが現状です。日本籍の船にこだわることは、漁業に携わる人たちを守り、応援すること。ひいては日本の第一次産業を守り応援することにつながると考えるからです。

マイナス50℃の冷凍庫。マグロが一番おいしく保てる温度だ。
電動バンドソーでサクに切り分けていく作業は真剣そのもの。

さて、ロインで届いたマグロをカットするところから、マストミの仕事が始まります。切り分けてサクとして販売するほか、マグロを使用した惣菜なども自社で作っています。ビンチョウマグロはくせのない味わい、メバチマグロは熱を入れるとくせが強く酸味が出るので加熱に向かず刺身向き、など魚種や身質、部位にあった調理法を熟知しているマストミだからこそできること。中でもマストミが強いこだわりを持っているのがネギトロです。他社の商品と比べてひと目で違いがわかるマストミのネギトロ、その特徴は鮮やかな赤い色にあります。原料は延縄のメバチマグロ。
「天然のマグロの力強い赤色をできるだけ落とさずにお届けしたいんです。メバチの赤い色を出すために、機械と手作業、3段階でていねいに筋取りをします。ミンチにする時に粒を残すことで、マグロのもちっとした食感も出ます」
筋の部分は加熱すればゼラチン質に変わるので、つみれなどに加工し、無駄なく使います。「自然の恵みをいかしきる」はマストミがずっと大事にしてきた指針なのです。マグロというと、本マグロが王様、のように言われることが多いですが、それぞれのマグロにそれぞれの良さがあり、特徴を生かすも殺すも、加工と調理の技次第なのだと気付かされます。

打ち身(釣り上げた際にマグロが暴れて船の甲板にぶつかり内出血し、シミになった部分)や血合いなどを落とすトリミングの作業。
洗浄し、一度解凍した後、冷水で締める。船上では死後硬直する前の新鮮な状態で処理するため、この段階で初めて死後硬直が起きる。
ネギトロ用に筋を取り、ミンチにする機械。最後に手作業で残った筋を取り除く。
惣菜用にビンチョウマグロを一口サイズにカットする。作業はていねいで無駄がない。
「まぐろの酢豚風」を揚げる様子。大釜に人が付きっ切りで作業する。

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持続可能なマグロに誇りを持つ

マストミでは営業担当の社員も、全員が製造の現場を一度は体験すると言います。社員が誇りを持って働ける会社にしたい、そう佐川さんは言います。
「目指しているのは、小さくても輝いている会社。社員もマグロも輝いている会社なんです」
商品はそこで働いている人が実際に買って食べたいと思えるか、社員が誇れるものかどうかが大事。大手メーカーから、大量に安くネギトロを作ってほしいと依頼がきたこともありますが、そうした商品は断ってきました。流通しているネギトロの中には、pH調整剤、酸化防止剤、グリシン、トレハロースなど複数の食品添加物が使用されていることもあります。マストミのネギトロに使うのは、マグロと菜種油だけ。ネギトロだけでなく、惣菜品の加工時にも食品添加物を使用せず、国産の質の良い原料を使います。
手間がかかっても、原料費がかかっても、「帰って子どもに食べさせたいと思うかどうか」を考えれば、自然とマストミが選ぶべき選択が見えてくる、と佐川さん。天然マグロの魅力を最大限に生かすためには一切妥協はしません。

営業部部長の佐川さん(右から4番目)と、チームの皆さん。アットホームな職場の雰囲気もマストミの自慢だ。
お刺身に徳島の名産すだちを添えて。サクを解凍するコツは、3%ほどの濃度の温塩水(人肌程度)に1~2分漬けること。水気を取ってクッキングペーパーで包み1~2時間冷蔵庫に置くと半解凍の状態になるので、切る。
ネギトロはパックのまま水につけて5分で解凍。「マイナス50℃の工場の冷凍庫を出た瞬間からマグロの鮮度は落ちていきます。届いたらぜひすぐ食べてください」(佐川さん)

漁師さんが命がけで獲ってきたマグロを、いかにおいしく届けるか。自然の恵みであるマグロの、本物の味をいかに伝え続けていくか。
「価値観を共有できる取引先、お客さんも増えてきました」(佐川さん)と手応えも感じています。持続可能なマグロにこだわるマストミの挑戦は、これからも続いていきます。

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※該当商品の取り扱いがない場合があります。

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。