震災から11年を経てなお、戻らないものがある現実。それでも、種をまくことができれば、前を向いていける。東北の生産者が、今抱えている思いとは―。
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【稲田稲作研究会(ジェイラップ)】待っていてくれる人のため臆病なほど安心を追い求める
種をまき続け次の楽しさ見つけたい
福島県が2012年から行ってきた、コメの全量全袋検査。放射性セシウムの値を計測するものです。2015年以降、基準値超過がなかったことから、20年産からは一部の地域を除いて全袋検査を終了しました。ひと区切りがついたようにも見えますが、ジェイラップの伊藤大輔社長は、11年前から特段何が変わったわけではないと話します。収穫前にも収穫後にも、同社では独自に測定を重ねます。「臆病なほど」に不検出の確認を徹底するのは、お客様の安心を守るため。
それでも一度離れた消費者は、震災前の半分も戻っていません。
「安全安心を、これ以上いったいどう伝えていけばいいのか…。」
稲田稲作研究会設立当初からのメンバーの一人・関根政一さんはそう苦しい胸の内を明かします。
93年の大冷害による米不足がきっかけでできた、同会の米の優先予約システムですが、種をまき続けることができるのは、待っていてくれる人がいるからこそ。今、その喜びは前に進む大きな力となっています。
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【福島わかば会】ブルームきゅうりリスク負って作り続けるのはおいしいから
ブルームきゅうりはみずみずしさが違う
表面がブルームという成分で白く覆われたブルームきゅうり。水分の蒸発を防ぐためにきゅうり自ら生成する成分ですが、白い粉が農薬のように見えると言われ、一般の市場ではほとんど出回っていません。
この品種を作り続けているのが福島わかば会。同会の事務局の佐々木寛之さんはきゅうりを作り始めて20年弱ですが、「まだまだ奥が深い」と言います。例えば湿度管理もその一つ。湿度を上げればきゅうりはよく育ちますが、病気にもなります。農薬を使えば病気を防ぐのは簡単なことですが、極力使わずに技術でカバーするのが腕の見せ所です。
「ハードルが高いことやってるなぁと自分でも思いますよ。でもおいしいんだから、仕方ない」
2011年当時、震災後の半年程度は放射能の数値が高く出た品目もあったと言いますが、後に基準値以下に戻りました。あれから11年。
「自分の気持ちとしては、もうすっかり元に戻った感じです」
と佐々木さんは言います。ブルームきゅうりを買ってくれる消費者が支えになっています。
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【いわき夏井ファーム】畑を立て直し夫婦二人で新たなスタート
次の栽培のこと考えて気を紛らわせた
2011年2月に有機JAS認証を取得したいわき夏井ファーム。
「明日からやっとラベルを貼って出荷できる」
まさにその日に、震災が発生しました。自宅は全壊し、津波はハウスまで押し寄せました。
「もう畑はできないんじゃないか」と落ち込み、塩水で枯れ果てたハウスの片付けをしながらも、「種を撒かなきゃ」と次の栽培のことを考えることで気を紛らわしていた、と二人は振り返ります。
いわき市は当時の風向きから放射能の影響はほとんどありませんでしたが、原発事故の影響で仲間は散り散りに。震災前は福祉作業所として障がいを持つ人たちと共に畑を運営していましたが、その後も大きな地震が複数あったため作業所は閉鎖し、畑は夫婦だけで続けることに。
「コロナ前は『大地を守る東京集会』にも通わせてもらいました。会員さんたちの熱心さ、安全なものを求めて勉強している様子に驚きました」と美知さん。
「(気候の変化や病気の発生など)今までやってきたことが通用しないことも多いけど、農薬を使わないで育てるのは楽しいですよ。私たちも日々勉強です」
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【(株)高橋徳治商店】違和感を大切に、「抗う」先に理想があるから
悩み、迷いながら作る食べる人へのメッセージ
震災後から3年2ヶ月、携帯電話に書き綴ってきた日記があるという高橋英雄社長。今年、それをまとめた冊子を発刊します。
タイトルは「抗う」(あらがう)。人的被害が一番多かった石巻。家族を亡くした従業員もいます。命を絶とうと考えたこともあります。それでも、抗うことで今ここになんとか立てている。「抗い続けるとこうなりたいという理想が見える」と高橋社長は言います。
再開した工場でやっとの思いで作ったおとうふ揚げ1000キロを苦渋の判断で廃棄したこともあります。
「この10年、毎日試食と迷いは続く。こだわりじゃない。執念です」
迷うことが自分たちの「抗い」。そんなメッセージを込めれば、食べる人にはきっとわかってもらえる。そう信じています。
2018年に作った野菜加工場では、引きこもりだった若者たちにも働いてもらっています。
「就労支援ではなく、彼らから学んでいます。彼らを作ったのはこの社会で、そのうちの一人が私」
生産性は求めない。上から目線ではない向き合い方が社員の間にも広がりました。
震災であぶり出されたのは社会的弱者の存在。コロナ禍でも今、同様のことが起きています。
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【川印村田漁業】気仙沼のプライド持続可能な漁業でマグロを守る
船は3隻から1隻に、コロナで船員も不足
「20、30年前は海にたくさん魚がいた」と振り返るのは同社の佐々木工場長。気候変動による水温変化や、未成魚まで獲ってしまう巻き網漁の増加で年々魚が獲れなくなり、燃料の高騰も重なって漁業を取り巻く状況が厳しくなっていた時に、追い討ちをかけるように震災が発生しました。
同社では本社社屋と鮮魚工場、製氷工場、冷凍工場の3工場が被害に遭いました。当時3隻稼働していた船は無事でしたが、売上が戻らず2隻は廃船し今は1隻だけが漁に出ています。
さらに暗い影を落としたのがコロナ禍です。出漁に必要な乗組員が集まらなくなりました。
苦境は続きますが、ここにしかないおいしいものを届け続けたい、という思いに変わりはありません。独自の選定基準を設け、その基準をクリアしたものだけを、超低温冷凍で管理し販売します。
昨年豊漁だったカツオ、気仙沼を代表するメカジキ、マカジキも、自信を持っておすすめできる身質。
「魚が減っている時だからこそ、年間通じて同じものばかり食べるのでなく、その季節季節に取れる魚をぜひ味わって欲しいです」(佐々木さん)
「マグロ」はこちら
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