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清らかな伏流水と天然により近い環境で育てる

【NEWS大地を守る7月号】土用の丑の日。うなぎ出荷完了!

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薩摩川内うなぎの産地では、土用の丑の日のうなぎの出荷を終え、次の稚魚を受け入れるための準備中。養殖池に石を敷き詰めるのは、水質維持に欠かせない仕事のひとつ。

7月25日・8月6日は土用の丑の日。滋味あふれるうなぎで、暑い夏を乗り切りましょう。 でも、うなぎの稚魚が獲れない時もあると聞くと、このまま食べ続けていいのだろうかと不安になることも……。そこで、大地宅配のうなぎの産地・鹿児島県薩摩川内を訪ね、私たちとうなぎについて考えてみました。  

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夏の風物詩・うなぎが食べられなくなる!?

土用の丑の日といえば、うなぎ。古来、中国から伝わった思想「陰陽五行説」で呼ぶようになった土用のころは、季節の変わりめにあたり、栄養価の高いものを食べて、元気に過ごそうという文化が日本にあります。暑い夏を乗り切るために、うなぎを食べる習慣が始まったのは、江戸時代といわれています。夏場に客が入らず困っていたうなぎ屋が学者・平賀源内に相談し、「今日は土用の丑の日」と書いた看板を店先に貼り出したところ、飛ぶように売れ、他のうなぎ屋も始めたことがきっかけになったという説が有名です。

古くから土用の丑の日に食されてきたうなぎについて、今年の夏、ちょっと考えてみてはいかがでしょうか。

しかし、うなぎは、2010年から4年連続で稚魚(シラスウナギ)の不漁が続き、それ以降、「価格が上がった」「将来うなぎが食べられなくなるかもしれない」など、メディアを騒がせたことも記憶に新しいのではないでしょうか。うなぎの稚魚は、今でこそ比較的安定して獲れていますが、ニホンウナギは、国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト」生物の絶滅危惧種に指定されています。これは、トキと同等レベルといわれています。

活うなぎは手さばきの前に氷でしめます。

  「うなぎの稚魚は、最近は安定的に獲れています。でも、貴重であることに変わりはありません。薩摩川内は水に恵まれ、地元を流れる川内川は県内有数のうなぎの稚魚の採捕地として知られています。うちのうなぎも、川内川産の採れたての稚魚から大切に育てています」。そう話すのは、大地宅配のうなぎを育てている養鰻場・岩崎商店の児玉和之さんです。

うなぎの稚魚が獲れる川内川。

 

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伏流水と環境作りでより自然に育てる

鹿児島県薩摩川内は、霧島山系の水が豊富な土地。〝霧島の水〞というと、コンビニエンスストアで販売されている水を知っている方も多いかもしれません。鹿児島県の北に悠々と佇む霧島連山に降り注いだ雨は、長い年月をかけて自然ろ過され、ミネラルバランスのよい水となって人々に親しまれています。その美しい水に育まれたうなぎは、天然により近い環境で育てることで、うまみがしっかりとのりながらも、澄んだ味わいになります。

清涼な伏流水がうなぎを育みます。

  「うなぎのおいしさを決めるのは、水質管理、環境作り、飼料です」と言う児玉さんが目線を向けるのは、霧島山系の伏流水がたっぷりと張られた養殖池。岩崎商店では、清らかな伏流水を使い、水質管理をきちんと行っています。 養殖池には常に新しい水が流れ込む、いわゆる源泉かけ流し。各池に設置されている水車は、有機物を拡散させながら、水の中に空気をたっぷりと送り込んでいます。

より自然な環境を目指す養殖池。

  「池の底には石を敷き詰めています。これは、石に付いている微生物が有機物を分解して、水をきれいにしてくれます。一見汚れにも見える天井の緑色の苔は、水中を含むこの空間に有機物が存在することを知らせる大切なもの。これが適度にあるかないかで、環境のバランスが取れているかどうかが分かります」。有機物の力を借りて、水質を維持する〝水作り〞は、有機農業でいうところの〝土作り〞に相通ずるところがあります。 ちょうど取材当日、土用の丑の日のうなぎの出荷を終えて次の稚魚を受け入れるため、養殖池の一つに石を敷き詰めていました。広々とした池を隅々まで掃除して石を敷き詰め終えるまでは、1週間近くも時間がかかるそうです。

10 名のスタッフとともにうなぎを世話する児玉さん。

  さらに、おいしいうなぎを育てるには環境作りと飼料も重要です。 「うなぎはとても繊細な生き物。ストレスがかかると、3日間飼料を食べなくなることもあります」と児玉さんは話します。暖かいところを好むうなぎのために水温は常に30℃前後を保つ、日差しが入りすぎないよう養殖池のあるハウス全体は黒いシートで覆う、基本的にうなぎに触れないなど、細やかな配慮を徹底しています。また、飼料はスケソウダラやアジなどが栄養バランスよく配合されています。

栄養バランスよく配合された飼料でうまみもアップします。

  こうして健やかに育てられたうなぎは、岩崎商店から車ですぐの加工場で、熟練の職人の手により1尾ずつさばかれると、備長炭に近い波長を持つ電気ヒーターでじっくりと焼かれ、さらに、過熱水蒸気でふっくらと蒸焼きされます。味付けは、ちば醤油の「こいくち醤油」をベースにした、食品添加物不使用の特製ダレ。丁寧に焼き上げられたうなぎは、本来のうまみが生きたおいしさです。

職人さながらの焼き上がり。

 

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うなぎのために私たちができること

今年の夏は2回やってくる土用の丑の日。やっぱりうなぎは食べたい。でも、どんなうなぎを食べたらよいのでしょうか。 「大切なのは、どこで採れた稚魚なのか、誰が、どのように育てたのかが分かるうなぎを食べることだと思います。実は、こうして取材で人が来ると、うなぎは警戒してしまいますが、毎日、池に入ってうなぎの体調をみている私たちは大丈夫。稚魚の時からずっと一緒にいるので、友達なんだよね」 児玉さんに寄り添うように、のびのびと休んでいるうなぎたちの姿が、信頼関係を表しています。 おいしく食べたいうなぎのこと、この夏、ひとくち食べる前に、ちょっと考えてみてください。大地を守る会では、2015年から、「ささエールうなぎ基金」を始めました。うなぎのお買い上げ代金のうち、1点あたり50円を基金として積み立て、うなぎの資源保護・回復を目的とした活動に充てます。私たち一人ひとりの選択が、うなぎの未来を変えていきます。   大地宅配のうなぎはこちら

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。