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近年、「食品ロス」が話題の日本

【NEWS大地を守る10月号】余さず、いただく

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規格外となった桃でジャム作り。一つ一つ手 でつるんと皮をむくと、完熟桃の芳しい香りが漂います。

「もったいない」という心はあるものの、近年、「食品ロス」が話題となっている日本。毎日の〝いただきます〟で、私たちが大切にすべきことは何か。規格外や余剰の農産物を活用した加工食品も作り続ける「フルーツバスケット」を訪ねました。  

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1億2000万件の食品ロス

お皿に食事が残されているのを見て、「もったいない」と感じることは、誰しもあることではないでしょうか。 「もったいない」という言葉は、単に無駄になることが惜しいだけでなく、命に対する尊敬の念を表していることで、2005年 、環境保護と民主化の活動でノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイ氏により、「MOTTAINAI」として世界に発信されました。2000年以降、日本では 、企業のCSR活動が盛んになったことも手伝い、植林や節電など環境に配慮した 取り組みが増加。食品においては、「オーガニック」や「無添加」などの言葉もよく目にするようになりました。 しかし、こと食品ロスに関しては、「もったいない」を横目に厳しい現実が広が っており、近年、メディアにも多く取り上げられて問題視されています。まだ食べられるのに捨てられてしまう食べ物「食品ロス」は、日本では年間約632万トンに上ります。国民1人当たり1日お茶碗1杯分の食べ物を捨てているとされ 、総人口にすると、実に1億2000万杯以上にもなるのです。 少しずつでも、環境に寄り添った暮らしを実現したい。大地を守る会は物流センターで余った青果物や加工食品をフードバンクへ提供、規格外の水産品や青果物を「もったいナイ」シリーズとして商品化、また、皮まで料理に使い切るエコクッキングのイベント開催などにも取り組んできました。 一方、畑に目を向けると、わずかな傷があっても味は問題のない作物や、豊作で余剰となった作物などがまだまだたくさんあります。農業は自然相手の仕事であるうえ、これらの作物は販売の受け皿がないため、捨てることも少なくありません。 そんな農産物を活用して、ジャムやジュースなど無添加の加工食品を製造しているのが、フルーツバスケット(静岡県函南町)です。1987年、大地を守る会の農産加工を担う会社として設立されました。

駿河湾を背に、丹那盆地の真ん中にある本社と工房。

 

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傷ついた作物に命を吹き込む

フルーツバスケットのジャム工房に入ると、真っ白い霜をまとった桃が、水を張った水槽に浮かべられ、本来の色を蘇らせていました。 「この桃は、山梨県笛吹市の久津間紀道(くつまのりみち)さんたちが育てたものです。桃はもともとデリケートなうえ、久津間さんの桃は樹上で完熟させているのでやわらかく、届いたらすぐ冷凍しておくことで鮮度を保ち、傷みが進むのを防いでいます」。桃を見つめながら話すのは、製造責任者の芦澤真史(あしざわまさふみ)さん。冷凍したことで皮がむきやすくなった桃を、一つ一つ手でむき、粒感が適度に残る大きさにカットします。熟した桃の芳しい香りが工房内を満たしています。

「固めのものがあるとカットするのが大変」と言いながらも、手さばきは迅速かつ的確なこの道20 年のスタッフ。

  「1週間前の夕方、久津間さんの所へこの傷ありの桃を受け取りに行きました。日中だと暑くて、輸送中に傷みが進みやすいからです。今回は全部で500㎏の入荷。ジャムにすると約3000本分になります」。収穫量の2〜3割は規格外となり、そのうちの一部だといいます。

線の部分に少し傷があるだけで規格外へ。

  「久津間さんは、おいしいジャムになるように、加工用にもいいものを選んでくれているんです」と言う芦澤さんは、畑からのバトンをしっかりと受け取り、責任感のある凛とした表情です。カットされた桃は、酸化防止のため、りんごとレモンの汁に浸した後、味見と火加減の調整を繰り返しながら真空二重釜で煮込み、ジャムに生まれ変わります。

原料もジャムも味見して常にその状態を把握する、ジャム製造歴12 年の“ジャムおにいさん” 芦澤さん。

  桃ジャム作りの真っ最中、工房に運ばれてきたのはパイナップル。「4日前、沖縄県石垣島の平安名貞市(へんなさだいち)さんたちから、『今年は育ちがよくたくさん収穫があって余っている』と電話があったんです」と芦澤さんは話します。

沖縄から豊作のパイナップルが急遽、到着。

眩しい色合いと甘酸っぱい香りで工房内は南国のよう。

4L 級の立派なパイナップル700㎏も、販売先がなければ捨てられてしまう、もったいない作物の一つです。まな板の上にずらりと並ぶと、工房内はまるで南国。パイナップルの食感まで楽しめるよう、大きめにカットしていきます。

熟れて待ったなしのパイナップルも手際良くカット。

食感まで楽しめるよう、ごろっと大きめです。

桃とパイナップルのカットが終わり、積み重なった種や皮、葉などが、一日の仕事の終わりを告げると、「これらも捨てずに、地元の牧場から出る牛糞と合わせて、堆肥にするんですよ」と芦澤さん。果肉だけでなく、ゴミとなってしまう種 や皮も丸ごと余さず、新しい役割を担い、生かされているのです。

果物の種や皮などは、地元で堆肥にして活用します。

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これから大切なのは、想像力を深めること

フルーツバスケットは、今年で創業30年を迎えました。元大地を守る会の社員で、現フルーツバスケット代表の戎谷(えびすだに)徹也さんは話します。

「これからも農産物を加工することで、生産者を応援していきたい」と前に進み続ける代表・戎谷さん。

  「創業のきっかけは、物流センターで余っていた果物を見て『もったいない』と感じたスタッフがジャムを作ってみたところ、おいしいと評判になったことでした。捨てられてしまう農産物を活用したいという想いは、当時も今も変わりません。今では、規格外品を販売するお店も増えてきました。また、オーガニックやフェアトレードの商品も、以前に比べると多く見かけるようになりました。しかし、選択肢や情報が多い分、見るべきものが見えづらいと感じています。見るべきものとは、畑や生産者の努力や工夫など、商品の向こうにある物語や価値。今日作っていた桃ジャムでは、桃そのものでもおなじみの久津間さんが、農薬を使わずに栽培することが難しい桃を、慣行栽培の3分の1の使用量に抑えて育てています。私たちが食べているものが何につながっているのかを、改めて語る必要があると思っています。これから大切なのは、商品の向こうを想像する力を深めることなのです」 おうちに届く野菜、果物、お肉、お魚……。そこから畑を想像してみてください。今日の食卓は、これからの畑へとつながっていきます。   大地を守る会のジャムはこちら  

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。