田んぼに水を張る季節といえば、春。しかし、冬、水を張る田んぼがあるのです。さまざまな生きものの居場所でもあり、おいしいお米を育てる方法の一つでもある、「ふゆみずたんぼ」をご紹介します。
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冬、田んぼに水を張ると何が起きるの?
中山間地から平地まで、多彩な自然環境が共存する宮城県大崎市。蕪栗沼(かぶくりぬま)を含む周辺地域では、冬、水が張られた田んぼで、天然記念物でもある渡り鳥・マガンが落ち穂をついばむ姿が風物詩になっています。
蕪栗米生産組合(宮城県大崎市)の代表・千葉孝志さんの田んぼもこの地域にあり、 「ふゆみずたんぼ」という農法で米作りを続けています。一般的には、稲刈りを終えると、翌年の田植え直前まで水を入れることはありません。では、冬の田んぼに水を張ると、どんなことが起こるのでしょうか。
「ふゆみずたんぼ」でお米を作る代表・千葉孝志さん(中央)と、蕪栗米生産組合の皆さん。
越冬のために飛来するマガンなどの水鳥だけでなく、菌類やメダカ、ドジョウ、カエルなど。田んぼは、たくさんの生きものの棲みかになります。
多くの鳥たちが集まり、水が張られた田んぼで過ごします。
その多様な生きものの存在によって田んぼの土に変化が表れます。生きものたちの糞(ふん)が肥料となり、泥の中にイトミミズが増え、イトミミズが排泄物を積もらせることで、土の上層にトロトロの層を作ります。このトロトロ層に雑草の種が埋もれ、太陽の光が奥まで届かないため、雑草の発芽を抑制してくれるのです。
良いことばかりのように思える「ふゆみずたんぼ」ですが、水の管理など苦労は少なくありません。それでも千葉さんは、手間と時間を惜しまず、環境保全と有機栽培に取り組んでいます。
生きものの棲みかとなり、土壌も豊かにする「ふゆみずたんぼ」。
そんな千葉さんが、ことのほか愛情深く育てている品種があります。それは、1963年に地元・大崎市にある古川農業試験場で開発されたササニシキです。ササニシキは、栽培が難しく生産者泣かせ。肥料に敏感で、多過ぎると稲が倒伏してしまいます。その反面、肥料が少なめでも十分に育ち、有機稲作の良さが生きる品種だといえます。
あっさりしている食味のササニシキは、よくかんで食べるとほのかな甘みが感じられます。粘り・甘み・うまみの主張が強い品種が、昨今主流になるなか、控えめでおかずを引き立てるササニシキは和食との相性抜群。誕生から半世紀以上が経ちますが、寿司めし用のごはんで、ササニシキを超える品種はないのかもしれません。
渡り鳥をはじめさまざまな生きものの居場所でありながら、米も育てる 「ふゆみずたんぼ」。四季を通じて田んぼの中で繰り返される大自然の循環を見守りながら、安全で安心して食べられるお米を育てています。
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