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素材の豚を知る養豚からハム作りへ
ネットが巻かれたハム、手びねりされていくソーセージ、大きな鍋でことこと煮込まれる角煮……。ここは、栃木県益子町にあるとん太ファミリー(前 益子手づくりハム工房)の小さな工房。食品添加物を使用しない、手作りの味を追求したハムやベーコン、ソーセージなどを、創業以来28年間作り続けています。 「祖父の代から養豚を営んでいました。私は食肉卸の会社に勤め、生体や枝肉を見て、加工や精肉の卸について学ぶ日々を6年間過ごした後、家業の養豚を継ぎました。そこで、『余った肉がもったいないから』と、地域の養豚仲間と一緒にソーセージを手作りしてみたんです。初めは趣味として楽しむ程度でした。一方、子どもがまだ小さかった当時、〝赤いウインナー〞が多く出回り、加工食品の材料に対する不安もありましたね」。そう話すのは、創業者の浦壁秀明さんです。 日本にハム・ソーセージを普及させた大木市蔵氏の製法を3年間学び、ドイツのメーカーからハム・ベーコンの伝統的な製法を教わった浦壁さんは、自宅の隣に工房を設立。「分からないことがあったら、自分で答えを探してみる。もちろん工房の立ち上げでは大変なこともありましたが、興味のある素材も作り方も確かなハム作りは、やっぱりおもしろいんです」。今やハム・ベーコン・ソーセージだけでなく、モツやタンなどを使った商品開発にも取り組んでおり、創業当時からの思いと姿勢は変わらないどころか、とどまることを知りません。 そして、養豚から始まり、素材の豚を知り尽くしているとん太ファミリーが貫き通すのは、直火スモーク製法です。【送料無料】おいしい・便利・安心がかなう宅配!まずはお得に、お試しセット1,980円!
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じっくりと流れる煙と時に委ねて
まな板の上に置かれたのは豚ロースのブロック肉。「一つのポイントは熟成」と浦壁さんが話すベーコンを、ロース肉で作ります。 まずは小さな骨や軟骨を取り除き、余分な脂身を削いでいきます。包丁を握るのは、創業当時から働いている小原美津子さん。「目と手の感覚で、だいたいどこを削げばよいかが分かります」。脂身を一定の厚さに整える的確な動きは、体に染み込んでいます。 次が、調味液への漬け込みと熟成です。「塩や砂糖、にんにく、セージ、タイム、黒胡椒など、家庭にもあるような材料で作った調味液に約2週間漬け込みます。1℃の冷蔵庫に入れて低温熟成させることで、弾力のあるジューシーな肉質とうまみをじっくりと引き出します」とは、浦壁さんの娘・綾子さんのお連れ合いである溝口司さん。一般では、注射針で調味液を肉に注入し、短時間で「熟成風」に仕上げているものもあります。 窓から太陽の光が差し込むスモークハウスの部屋。「最初に、80℃に熱したスモークハウスに肉を入れ、3時間表面を乾燥させます。こうすることで、スモークの香りがつきやすくなるんです」と綾子さんは山桜のチップを準備します。 前回の残り火をぽっとチップの上に置くと、緩やかに煙が立ち上り始めます。「62℃の低温で15時間、80℃の高温で3時間、自然の対流にまかせて直火スモークします。じっくりと時間をかけることで、ゆっくりと水分が蒸発して肉そのもののうまみが凝縮するとともに、保存性も高まります」。効率のよさと生産量の多さが重視される市販品は、合成保存料や燻製液などを使用することもあり、商品ができるまではわずか2〜3日。一方、とん太ファミリーのベーコンは2〜3週間かけて完成します。 スモークハウスの部屋でゆっくりと、そして確かに刻まれる時。そこから感じる安心感と、探究心旺盛で明るい父の背中を見て、綾子さんと司さんはとん太ファミリーを受け継ぐため、ハム作りに真っ直ぐ向き合う日々を過ごしています。【送料無料】おいしい・便利・安心がかなう宅配!まずはお得に、お試しセット1,980円!