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ブルームという名のおしろい
「ブルームきゅうりはおいしさが違うんです。食べてみて」。手で割ったきゅうりの断面からは、水分がみるみるあふれ出ています。一口かじると、みずみずしさとほのかな甘みが、心地よく口の中に広がります。きゅうりを手にして微笑むのは、きゅうりの一大産地・福島県の郡山市で、ブルームきゅうりを50年近く育て続ける福島わかば会の鈴木正幸さん・栄子さん夫婦です。 「ブルームは、きゅうりの表面に付いている白い粉のこと。これは、水分の蒸発を防ぐため、きゅうり自身が生成する成分です。ブルームで覆うことで、病気にかからず健康な状態を保つよう、実を保護しているんです。ブルームきゅうりは果肉がしゃきっとみずみずしく、甘みがあるのが特徴の、昔ながらのきゅうりです」。 まとった〝おしろい〞の内においしさを秘めるブルームきゅうり。しかし、今では、目にする機会はほとんどありません。「白い粉が農薬のように見えるということで、見た目がよくないと敬遠されています。そのため、一般の市場では商品価値が低く、出回らないという状況です。今、出回っているきゅうりの多くは、ブルームレスきゅうり。よい見た目で売りやすいと開発された、白い粉が付いていないきゅうりです。ブルームレスきゅうりは、ブルームがない分実を守るため、皮がかたく、果肉がやわらかいのが特徴です」。見た目がよくないという理由だけで、きゅうりの本来持つ力が生かされた昔ながらのおいしさが、なくなってきている現状があるのです。【送料無料】おいしい・便利・安心がかなう宅配!まずはお得に、お試しセット1,980円!
いつでも一緒で通じ合う存在
「まわりでブルームきゅうりを作っている人がいると聞いたことはありませんが、私はやっぱりブルームきゅうりです」。そう話す鈴木正幸さんは、毎朝5時に畑に向かいます。きゅうりは生長が早いため、朝と夕方の2回収穫を行うのです。「1回で、春は600本、最盛期の夏は1000本以上を2人で収穫します。きゅうりも頑張って育ってくれるので、頼もしいです」。 さらに、鈴木さんはブルームきゅうりを、極力農薬を使わずに育てています。きゅうりは病害虫の影響を受けやすく、慣行栽培(参考:福島県慣行使用基準)では40回以上もの農薬を使用します。一方、鈴木さんは畑に足しげく通い、きゅうり自らの力がのびるよう環境を整えることで、10回ほどにとどめられています。 収穫しながら鈴木さんが手にするのは、きゅうりの葉。「具合が悪そうな葉があれば、より悪くならないよう、また他に広がらないようすぐに取ります。葉が多すぎる場合も、先々の葉まで順調に育つよう間引きします」。 ふと根元に目を向けると、「きゅうりはほぼ接ぎ木で栽培されますが、土台となる根はかぼちゃの根を利用します。病気に強く吸収力があるので、繊細なきゅうりにぴったりです」と鈴木さん。栄養源である土には化学肥料ではなく、ボカシ肥料や有機質液肥などを使用しています。 「暑過ぎて元気がない、栄養がほしいなど、きゅうりの状態を肌で感じるんです。気が付けば一緒にいて、通じ合っている存在です」。鈴木さんにとってブルームきゅうりは、まさに相棒のようです。【送料無料】おいしい・便利・安心がかなう宅配!まずはお得に、お試しセット1,980円!