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新規就農者が明日の農業を耕す

【NEWS大地を守る10月号】私もかぼちゃも只今、追熟中

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栽培技術も身に付き、日に日に“熟度”が上がっている、就農10年目の石田慎二さん(中央)、就農7年目の宮沢祐貴さん(左)、就農6年目の神津有菓さん(右)。

農家の減少と高齢化に不安の声が寄せられる今、新規就農する若者たちがいます。30・40代、新規就農者が中心となっている、佐久ゆうきの会(長野県佐久市)の皆さんに会いに行きました。  

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増えている“若者農家”

「この黄色い部分は『グラウンドマーク』と呼ばれていて、栽培中にかぼちゃの実が地面と接していた部分です。実の中の色と同じで、収穫した時は薄いけれど、追熟すればするほど濃くなります。熟度を見極めるバロメーターなんです」。かぼちゃを手にして話すのは、有機栽培で野菜や米を育てる佐久ゆうきの会(長野県佐久市)のメンバーの一人・石田慎二さん、36 歳。平均年齢が66.8歳という現代日本の農業において、まぎれもない〝若者農家〞です。

「グラウンドマーク」の黄色が濃いほど、熟している印。

食の安全や食品廃棄、食品表示など、さまざまな課題を抱える食。中でも、その根本を支える農家の減少・高齢化は深刻です。食べ物について気になることはたくさんあるかもしれませんが、そもそも作る人がいなくなる、つまり食べ物そのものがなくなるという可能性もあるのです。しかし、そこに、小さな光が差してきています。実は今、農業を始めようとする若者の人数が増えているのです。 北に浅間山、南を八ヶ岳連峰に囲まれ、住宅地とともに畑と水田が広がる長野県佐久市。水が豊富で日照時間が長く、昼夜の温度差も大きいため、米や野菜、果物などが多く栽培されています。この地に拠点を置く佐久ゆうきの会は総勢17名。ほとんどが30・40代、新規就農者で、全員が有機JAS認定を取得し、トマトやかぼちゃ、いんげん、ズッキーニなど年々、栽培品種を増やしています。

江戸時代、徳川幕府の直轄地で水田が開墾されて以来、良質なお米が育つ米どころ・長野県佐久市。

かぼちゃの隣りでは、ミニトマトチームも出荷作業中。

 

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野菜もチームも有機的に育てる

雨上がりの白菜畑にいたのは、佐久ゆうきの会の副代表・吉田典生さん、41歳です。以前は国税庁に勤務していましたが、7年前、新規で就農しました。「学生の時、『よし、これやってみるか』くらいの気持ちで、畑でのアルバイトに行ったことがきっかけですね。いろいろなことにチャレンジしたい性格でもあるので、畑での仕事が自分に合っていると思いました」。

前職は国税庁勤務という異色の経歴を持つ吉田典生さんは、林や20年来の耕作放棄地を開墾するほどエネルギッシュ。

  隣りの畑の奥にある林を指差して吉田さんは、「来年には畑として使えるように今、開墾中です!」。2009年、10人で発足した佐久ゆうきの会は、今年もメンバーが1人増えています。「定例会議や品質確認、イベント企画などすべてを自分たちで運営しています。コミュニケーションもよくとれているので支えになり、新規就農者でも続けやすいですね」。

生長度合いや病気がないかなどをていねいに見回ります。

突然の雨にも負けず、力強く育つミニ白菜。

青空が広がったかと思えば、明日やってくる台風で再び雲が出てきて、表情がくるくると変わる空の下、佐久ゆうきの会のかぼちゃ部会長でもある石田さんは、せっせと畑仕事をしていました。「ここは前、水田だった所です。水田を好む雑草や病害虫と畑のそれでは種類が違うので、水田と畑の輪作を行うことで雑草や病害虫がリセットされます」。土の上には乾燥した稲が見えます。

経済環境論を学び、農業に関する出版社での勤務経験がある石田さんの栽培方法は、理論に基づいています。

稲の次にかぼちゃを植えると、雑草や病害虫がリセットされます。

  「1本のつるに1つのかぼちゃがなるように、太陽の光と風がまんべんなく届くように、つるや葉などを間引きます」と話す石田さんと一緒に間引きを行うのは、地元のお姉さんたち。石田さんは学生時代、経済環境論を学び、その後、農業に関する出版社に勤務していました。「いい栽培方法や情報があれば、メンバー同士でシェアし合っています」。

「石田さんは仕事がきっちりしてる」と地元のお姉さんたち。

つるの向きをきちんと整えると、育ってもこの通り。

 

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農業から学べること

風土を生かしながら有機栽培を行い、メンバー皆で知恵を出し合って生産から販売まで真っ直ぐに取り組み続ける佐久ゆうきの会。就農する際には大きな壁もありました。「一つは、土地探しです。あの白菜畑は20年来の耕作放棄地で、それまで何人もの人が交渉しても難しかったのですが、地元の方々の協力のおかげで使わせていただけることになりました」とは吉田さん。「もう一つは、資金調達ですね。機械や施設には何千万円ほどの資金が必要になることもありますが、例えば、かぼちゃの貯蔵庫は皆で使うことで負担を軽減しています」と石田さんも話します。

かぼちゃは収穫後、貯蔵庫に置いて追熟させます。

かぼちゃのシーズン到来。収穫、貯蔵、出荷と大忙し。

「スープやケーキにしてもおいしいけど、やっぱり煮物かな」。

  メンバー同士や地元の皆さんと一歩ずつ、今日も前に進み続けています。「農業を始めた頃は、主に栽培すること自体が楽しかったです。でも、ある日、畑をきれいに手入れしていたら、散歩している地元の方々に『いつもありがとね』と言われて、とても嬉しかったんです。人とのつながりや地域という風景もつくっていると実感しました」(吉田さん)。「今の時代、効率性が優先されがちですが、そうではない経済を実践したいと思っていました。それは、農業でできると思います。人は自然からもっと学ぶことがあります」(石田さん)。野菜だけでなく価値観や生き方も、確実に育ち、熟しています。   【コラム】49歳以下の新規就農者数が増加 農業就業人口数は2015年209.7万人で、5年前の2011年260.6万人より50.9万人減り、2015年以降も減少の一途を辿っています。農業就業人口数における65歳以上の割合は2015年63.5%で、5年前の2011年61.6%より上がり、2015年以降も上がり続けています。顕著な人口の減少と高齢化を表しています。一方、新規就農者数における49歳以下の割合は2015年35.4%で、5年前の2011年32.9%より増え、2015年以降も増え続けています。新規就農者数は上下しつつも大きな変化はありませんが、その中の“若者”の割合は高くなってきているのが事実。“若者農家”を応援しましょう。   「佐久ゆうきの会を含む大地を守る会のかぼちゃ」はこちら ※異なる産地のかぼちゃをお届けする場合があります。

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。