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梅干し食べて元気になろう

【NEWS大地を守る9月号】悠久の梅干し

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梅干しの甘酸っぱい香りに満ちた天日干し場。満遍なくしっかり干すため、ざるに並べた梅干しをころころと転がしていきます。

日本に古くから伝わる保存食・梅干し。身近にありながら、実はその作り方は変わりつつあります。昔ながらを守り続ける、王隠堂農園(奈良県五條市)を訪ねました。

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保存食に保存料はいらない

白いごはんに、赤い梅干し。梅干しは昔からごはんのおともとして親しまれており、それは日本の食卓の原風景ともいえます。そこで皆さん、そんな梅干しごはんをいつ食べましたか?

「箸でこないやって梅干しをほぐしてから食べます」と王隠堂さん。実は、昔ながらの赤い梅干しごはんは、今や少なくなっています。


「昔からの梅干し作りは、畑で採れた梅を塩漬けしてから天日干し、ほんでしそ漬けをして熟成させます。でも今は、原料の梅は輸入物が多くなっとるんです。輸入量は2000年代前半には国内生産量と同等になったこともあり、現在でも供給量全体の3〜4割を占め、主に中国から輸入しています(※)。塩漬けの状態で輸入されるので、一旦、塩抜きをして天日干しはせず、調味液に漬けて完成します。その方が安く、はよできるから。また減塩志向で、しょっぱない梅干しが増えてますけど、国産の梅を使っとっても、作り方は同じことが多いんです。その場合、塩を多く抜いた分、保存がきかんので保存料を使わなあかんし、天日干しからできるうまみがない上、さらに甘くするんでうまみ調味料や甘味料など、食品添加物を使うんですわ。店頭で梅干し、もしくは味付け梅を手にしても、一括表示を見ると、保存料のV・B1やうまみ調味料のアミノ酸等、甘味料のステビアなどが並んでいることも多いでしょう。実は、日本の昔ながらの梅干しを食べていると思いきや、そうではない現実があるんです」。梅の一大産地・紀伊半島で梅と梅の加工品を生産する、王隠堂(おういんどう)農園(奈良県五條市)の代表・王隠堂誠海(まさみ)さんは話します。

揺るがぬ想いで日本の伝統の食を守り続ける、王隠堂農園の王隠堂誠海さん。


王隠堂さんという苗字は珍しいですが、700年近く前の南北時代、京から奈良・吉野に逃れてきた後醍醐天皇一行を堂にかくまったことから授けられたといわれています。その頃からこのあたりの山々では梅と柿が栽培されていたそうで、奈良県は梅の歴史が非常に古いことが分かります。王隠堂農園は、奈良県を中心に和歌山県と三重県にまたがる自社農園・契約農園で、農薬を極力使わず梅を栽培し、昔ながらの梅干し作りを守り続けています。

今でも奈良の山々は、梅と柿の樹で覆われています。

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おてんとさんと一緒にこしらえる

緑がみずみずしい6月。奈良の山で、朝から梅を収穫するのは仁志与士久(よしひさ)さん・美歌さん夫婦。昔からある梅は急斜面に植わっていることもあり、一歩一歩地を踏みしめて登りながら、一粒一粒手でもいでいきます。

梅は一粒一粒、手作業で収穫します。
「山と一緒に梅を育てる」、梅農家の仁志与士久さん・美歌さん夫婦。


除草剤を使っていないので、樹の下も一面緑です。「根を張るレモングラスが自生しとるおかげで他の草が抑えられるし、最後は土にすきこんで肥料にしてます。梅は品種を4〜5種類育てて、病気の蔓延などを防いどるんです」とは与士久さん。梅がしっかり光合成できるよう、収穫の半年以上前に丁寧に行った剪定で適度に葉を残し、たくさんの梅が元気に樹になっています。「山と一緒に梅を育てている感じやね。畑仕事ばっかやった親父の習慣がしみついてもうて、俺も気づくと山におりますわ」。そう話す与士久さんは汗を額に浮かべつつも笑っていました。

梅の収穫とともに始まる梅仕事。今年は6月15日に新梅の塩漬けが始まりました。塩漬けされて鮮やかな黄色になった梅は、ざるにのせられて天日干しへ。

塩漬けされた梅は鮮やかな黄色に。


「しっかり干して水分をとばします。そしたらうまみが凝縮され、果肉が干したふとんのようにふんわりとやわらかくなり、赤じその色入りがようなるんです。見た目はしわの寄ったこれが、梅干し本来の姿です」。暑い中、ざるの上で梅干しをころころと転がしながらも明るい笑顔で、加工場長・西本大介さんは話します。満遍なくしっかり天日干しされた梅干しは、落ち着いた橙色になっていました。

「新梅が出て仕事に追われる時季は、夢に梅干しが出てきます」と笑う加工場長・西本大介さん。
天日干しされ、見た目はしわが寄っていても、干したふとんのようにふんわりとやわらかいのが、梅干し本来の姿。


そんな梅干しを待っていたのが地元産の赤じそ。梅干しと赤じそを交互に重ねて漬け込み、熟成させれば完成です。

赤じそも地元の契約農家のもの。
梅干しと赤じそを交互に重ねて漬け込み、熟成させます。

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その一粒ができること

「梅はその日の難逃れ」といわれるように、梅干しは体によいものとしても重宝されてきました。「俺も毎日梅干し食べとるよ。伝統食は長い月日をかけて、人の体に合わせて残されてきたもんです。梅の産地・紀伊半島は、日本有数の山間地。畑が入り組んどる山間地は、地域で連携することが必要で大切なんです。梅の栽培で農薬を減らしたり梅の加工を共同で行ったりと、これまでお互いを認め合いながら関係を築き上げてきたんです。今、梅農家も減ってきとるけど、これから改めて、自分たちの食を持続可能にするために、何ができるんか皆で考えていかなあかんと思います」。王隠堂さんは力強く語ります。食文化、作り手、地域、そして私たち自身を元気にする日本の伝統の食・梅干し。その滋味深い味わいを、日々の食卓でいただきましょう。


※農林中金総合研究所「調査と情報2016 .1」参考


「王隠堂農園の梅商品」はこちら
※該当商品の取り扱いがない場合があります。


大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。