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もったいないを恵みにする

【NEWS大地を守る10月号】食べるべき魚がある

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サイズが小さいという規格外のレンコダイを開き、一夜干しに。その姿はまるで生きているかのように美しい。

魚の漁獲量が減っています。今、私たちにできることは何でしょうか。新潟で3代にわたり、干物や漬込魚などを作る魚屋、まえた(新潟県新潟市)を訪ねました。

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減りゆく、限りある海の恵み

秋の味覚・サンマが今年、大不漁となっています。8月における全国のサンマの水揚げ量は約1千トン。約9千トンの昨年どころか、約7千トンで48年ぶりの大不漁となった2017年をも下回るといわれています(※)。深刻な不漁に陥っているシラスウナギも記憶に新しいように、今、さまざまな魚種で不漁が続いています。温暖化の影響による海水温の上昇や他国による大量漁獲など、その原因が挙げられていますが、正確には分かっていません。

不漁の声は全国各地から聞こえてきます。「新潟でも魚の漁獲量が減っていますね。漁師や水産加工業者の数も減ってきているんです」。新潟で干物や漬込魚などを作る魚屋、まえた(新潟県新潟市)の3代目・前田隆さんは話します。本来、持続可能な資源である魚が減少する中、私たちにはどのようなことができるのでしょうか。答えの一つは、魚をより大切に食べることです。

新潟駅からも近く町中にある新潟市場に、漁船が次々と戻ってきます。
すべて正品になる立派なマダイ。量や種類、サイズなど、何があがるか分からないのが海です。


大地を守る会は2010年、「もったいナイ魚」シリーズを始めました。「もったいナイ魚」となるのは、「傷が付いている魚」「規格外の魚」「廃棄される部位」そして、「なじみのない魚」。現在の加工段階や市場などで価値を見出されずにいる魚です。これらを大切に食し、買い支えることは、生産者の収入となります。食べておいしいと消費者からも好評で、現在は商品の数が150種類を超えています。

「もったいナイ魚」誕生のきっかけは、全国の水産生産者を訪ねて回る、大地を守る会の水産担当歴25年の浅海博志が、流通されない魚や部位がたくさんある現場を見て、〝もったいない〞と感じたことから。生産者も同じように感じていました。前田さんもその一人です。「規格外の魚など、地元の朝市では前から少し売っていました。大地を守る会と出会って『もったいナイ魚』に共感し、今も日々、浅海さんと商品開発を続けています」。

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毎日、魚の目を見る

まだ町が眠っている朝3時。毎日この時間に起きる前田さんは、魚を仕入れるため、4時と5時からの競(せ)りに足を運びます。漁協や仲買人と言葉を交わしながら、ずらりと並べられた魚をあちこち歩いて見て回ります。「今年の夏も魚の量は多くなかったね。イカも少なかったし。それに、10年前から新潟でサワラが増えてきました。南から北へ移動しているらしいんです。海の状況は読むのが難しい」。並んでいる魚は、量や種類、サイズなど実にさまざま。
いかに私たちが今、お店で目にする魚が魚種にとぼしく、画一化されたものだと分かります。ちなみに、本日の「もったいナイ魚」の原料魚の仕入れはなし。そこは自然のもの、毎日あるとは限りません。

朝4時からの競りは熱気にあふれています。「スルメイカを買おう」という前田さん(右から2番目)は、質や値段、使い方などを常に考えながら競りに挑みます。
日本海で獲れたタイ類やホッケなどさまざまな魚が並ぶ中、あちこち歩いて見て回ります。


朝 8 時半、加工場ではレンコダイを開いて干物にしていました。サイズが小さいという規格外のレンコダイです。「大きいものとやることは一緒。小さいと数をこなさねばならず、作業も細かいので大変です。魚体や鮮度によって状態も違うので、手の感覚で判断して扱い方を微調整しているんですよ」とは、実家が漁師という丸山晶子さん。手間を省くことなく丁寧に、そして手際よく包丁 1 本で開いていく姿は気持ちがいい。

手の平サイズのレンコダイ。
数があっても、丁寧かつ手際よい。


また、食品添加物が使われることも少なくない干物ですが、まえたは塩と水のみ。「今、水に氷を入れたので、その分少し塩を足しました。塩できちっとやれる魚屋でありたい」と前田さんは話します。網に並べられたレンコダイは、その尊厳が守られたかのように、美しく輝いていました。

レンコダイはその尊厳が守られたかのように輝きます。
食品添加物が使われることも少なくない干物ですが、「塩できちっとやれる魚屋でいたい」とまえたは塩と水のみ。

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魚は海で生きていたかった

「『安値をつけられてもったいない』『これ、まだ食べられるでしょ?』と毎日のように思っています。消費者に届いていない魚はまだまだあります。魚は獲られたくて獲られたわけじゃない。海を泳いで生きていたかったはずです。大切にされないとかわいそうです。本来の価値に値する値段をつけて売るのが、私の仕事です」。前田さんは、魚離れもある中「まずは気軽に食べてほしい」と、冷凍のまま焼くだけでよい「もったいナイ魚」も作り始めました。海からのバトンを受け取り、消費者へ渡すために、今日も考えながら魚屋の仕事をしています。

「分からない時は、魚の目を見ろ」という前田さんの言葉通り、魚ときちんと向き合うまえたの皆さん。


近年、「食品ロス」が注目されていますが、世の中にはもったいないと感じる食べ物があふれています。食べ物は自然からいただくもの。それを尊重する姿勢こそが、私たちに今改めて必要なことなのではないでしょうか。前田さんのように取り組んでいる生産者がいます。彼らからのバトンを受け取り、もったいないを恵みにしていくのは、食べる私たちです。


※朝日新聞2019年9月7日「サンマ漁の出足、過去50年で最低目黒の祭りも冷凍物」参考


「もったいナイ魚」シリーズはこちら
※該当商品の取り扱いがない場合があります。


大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。