「しろたまり」というお醤油を知っていますか?関東の人にはちょっと聞き慣れないお醤油ですが、味にこだわる人にファンが急増している「究極の白醤油」なんです。今回はその「しろたまり」の真実に迫るべく、製造元である日東醸造の社長、蜷川洋一さんによる「手作りしろたまりワークショップ」に潜入!いったいどんなおいしいお醤油が待っているのでしょうか。
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「究極の白醤油」なのに「醤油」とは呼べない?
最初から話をひっくり返すようですが、「究極の白醤油」を目指して完成した「しろたまり」は、法律的には「醤油」と呼ぶことができません。なんで?という理由を知るために、まず「醤油とは何ぞや?」からお話しいたしましょう。
醤油と聞いて思い浮かべるのは、どこの家にもある「濃口醤油」。それ以外にも大きく4種類の醤油――「たまり醤油」「再仕込み醤油」「淡口しょうゆ」「白醤油」があります。
どれも原料は「大豆」「小麦」「塩」「水」「麹」で、味の違いを作るのは「大豆:小麦」の比率と、「仕込み期間」。
「大豆が多く、仕込み期間が長い」と「濃色・コクとうま味系」に、逆に「小麦が多く、仕込み期間が短い」と「淡色・塩分と甘味系」なります。というわけで「濃・コクうま」から「淡・塩甘」の順番は、こんな感じ。
「たまり」→「再仕込み」→「濃口」→「淡口」→「白」
面白いのは、この両極の「たまり」と「白」が、両方とも東海地方、主に愛知県が産地であること。実はこのふたつ、全く別物のようですごく似ています。両方とも東海地方を中心に食べられている味噌――「たまり」は豆味噌、「白」は金山寺味噌――の上にたまった液体、つまりどちらも「たまり」なんです(そもそも愛知県では、いわゆる醤油を「醤油」と呼ばず、「たまり」と呼ぶのがスタンダードなのだとか)。
そんな場所で生まれた「究極の白醤油」=「しろたまり」を、「醤油」と呼べないのはなぜか。なんと蜷川社長、「おいしさ」と「色の美しさ」を追求するあまり、消費者庁が定める醤油の品質表示基準で必須の原料=「大豆」を入れるのをやめてしまったのです。なんと大胆な!
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味も色も上品に、いつもの料理をワンランク上に変える調味料=しろたまり
さてそんな「しろたまり」、「究極の白醤油」たる理由に迫ってみましょう。
開発のきっかけは、「昔の白醤油は違う味だった気がする」という先々代のつぶやき。違いは原料にあると考えた蜷川さんは、まずはそれらを見直すことから始めます。小麦は流通の大半を占める輸入小麦から、愛知県産小麦に。塩は精製塩から、海水のみを原料に作られる伊豆大島の「海の精」に。
さらに、「味が濃くなるのでは…」と仕込み水を通常の白醤油の半量でためし、その結果濃くなってしまった色をきれいな琥珀色に戻すため、大豆を入れるのをやめてしまいます。
そして最後に探し当てたのが、奥三河・大多賀の豊かな自然が育む「足助の湧水」です。醤油づくりで最も重要な水を得たその地で、伝統的な木桶の仕込みにより「しろたまり」は完成しました。
その味は、白醤油のストレートな塩っぱさとは異なる、丸みと奥行きがあります。そもそも白醤油は「煮物がきれいな色に仕上がる」「素材の味を邪魔しない」ということでプロのお料理人さんに愛用されてきたものですが、「しろたまり」ではそうした特徴を保ちつつ、さらにまろやかとうまみを加わえることができます。「少しみりんが入っているのかな」と勘違いしそうな甘みも感じられます。
「レシピの濃口醤油の分量を少しだけ減らし、隠し味的に使うと味が決まりますよ」とは、ワークショップにご参加いただいた料理家・山本たか子さん(大地宅配会員)からのアドバイス。例えば「しろたまり」をお料理の最後の塩分調整に使えば、さまざまな素材の味をまとめてくれるとか。また濃口醤油と「しろたまり」を併用することで、料理は味も色も上品に、ワンランク上の仕上がりに。特に淡白な味の野菜や白身魚の煮物などの場合、素材の繊細な味を引き立ててくれること間違いなし。
塩や醤油とはちょっと異なる新たな塩分の調味料として、お料理のバリエーションを広げてくれる1本と言えそうです。
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「しろたまり」活用レシピ
最後に「しろたまり」のレシピをご紹介します。レシピ提供は、山本たか子さんです。
【人参の煮物】
材料) 2人分
- 人参 1本
- だし(昆布と干し椎茸の戻し汁) 適量
- 三河みりん 大さじ1/2~1
- しろたまり 大さじ1
- 醤油 大さじ1/2
作り方)
- 人参は皮付きのまま、3~4センチの長さで縦に4つ割りにし、面取りをする。
- 人参と、かぶる程度のだしを鍋に入れ火にかける。
- 2~3分たったら、みりん、しろたまりを入れ、柔らかくなるまで煮る。
- 煮あがりぎわに醤油を回し入れ、強火でひと煮たちさせる
【蓮根のしろたまりきんぴら】
材料) 2人分
- 蓮根 1節
- 赤唐辛子 1本
- 金白胡麻油 大さじ1
- しろたまり 大さじ11/2
- 三河みりん 大さじ1
作り方)
- 蓮根は、皮付きのまま縦の棒状に切り、さっと水洗いして水気をを切る
- フライパンで金胡麻油と唐辛子を熱し、蓮根を加え炒める。
- 蓮根の周りが少し透き通ってきたら、みりん、しろたまりを加え、火が通るまでしっかり炒める。
【冬瓜の炒めもの】
材料) 2人分
- 冬瓜 300g
- ショウガ 1かけ
- 菜種油 大さじ1
- 酒 大さじ1
- しろたまり 大さじ11/2
作り方)
- 冬瓜の種を取り皮を剥いていちょう切りに。ショウガは千切りにする。
- フライパンに菜種油とショウガを入れ、香りが立ってきたら冬瓜を加え、中火で炒める。
- 冬瓜が少し透き通ってきたら、酒・しろたまりを加え、全体に火が通るまで炒める。
(取材・文)渥美志保