大地を守る会 企業情報[ソーシャルビジネス(社会的企業)]

放射線照射食品反対運動

放射線を当てた野菜は要らない

殺菌と発芽を止めるための、放射線。
どんな危険があるかは、分かっていないのです。

放射線で作物の生長を止める

「放射線照射食品」なんて言葉を聞くと、ギクリとしませんか?日本人にとっては、放射線という言葉は意外に身近な、イメージしやすいものなんですね。この放射線照射食品とは、収穫したあとのジャガイモなどを保管するときに、発芽を止めたり、殺菌・殺虫をするために放射線をあてた食べもののことをいうのです。日本でも、放射線照射食品は市場に出まわっています。北海道河東郡の士幌農協のジャガイモは、日本で唯一、照射が認められていて、1972年から実際に照射しています。ですが、この照射ジャガイモがどこに出荷されているのかは誰も教えてくれません。また、2007年6月には、ある食品会社の健康食品の原料となる輸入大豆原料に、同じ年の12月には、輸入パプリカに照射食品が見つかりました。

スパイスを皮切りに、放射線解禁?

照射食品は安全なのでしょうか?実際にはそれを証明するためのデータは不足しています。放射線を照射され、菌が死んだり芽が出なくなるということは、その作物そのものが変質するということ。照射を行うと発ガン性物質が増えるともいわれています。また照射臭という独特の匂いがするようにもなるのです。それでも安全だといえるでしょうか?2005年、日本スパイス協会が食品への放射線照射を認めてほしい、と厚生労働省に申し入れをしました。スパイスの中には野菜やハーブが含まれています。にんにく、ニンジン、セロリ、玉ねぎなどの野菜もみじん切りにするとスパイスで、照射の認可申請の対象です。それにスパイスは、ほとんどの加工食品に入っています。スパイスに許可が下りて既成事実ができてしまうと、食品照射解禁の流れが止められなくなってしまいます。

誰のため、何のための照射なのか

実は2000年にも認可申請をしていたのですが、その時は認められませんでした。しかし政府の原子力委員会が「照射線の有効利用」という名目で照射食品を推進する方針を決めたことで、再び申請したのです。世界一、照射食品を多く食べている国はアメリカですが、アメリカの消費者も拒否反応を示しはじめています。しかしそのアメリカの照射食品業界が次に狙っているのが、日本の市場。もし食品への照射が行われるようになれば、照射用の施設を新しく作ることもできるし、コバルト60という放射線物質の需要も生まれ、原子力産業は潤っていく構造になってます。スパイスを突破口にして、畜産物やくだものなどの照射認可を狙っている可能性すらあります。

まずは、話し合いの席につくこと

コバルト60などの高エネルギーの放射線をあてて、菌を殺したり芽の成長を止める。大地を守る会は、放射線の安全性はもちろんのこと、こうした「手の加えかた」に見られる食べものと人間との関係そのものがおかしいと考えています。照射食品を支持する人たちのなかには「照射は煮炊きなど、古来からの調理法と同じ」と主張する人もいます。本当でしょうか?火と放射線では物理作用がぜんぜん違います。大地を守る会では、たくさんの消費者団体や、市民団体といっしょに厚労省に質問状を送付したりして、許可を止めるよう要望しています。以前、健康食品の原料の大豆が照射食品だったことが分かったときにも、輸入量や自主回収についてのデータの提出を求めました。また、照射を推し進めている人たちと共同イベントを開催して、話し合いの場を持とうともしています。まずは、テーブルに着くことから。反対するだけでなく、建設的に話をすすめるのも、大地を守る会のポリシーなのです。

放射線照射と放射能汚染

放射線照射と放射能汚染との違い、わかりますか? ちょっとややこしいのですが、放射線とは、放射性物質から飛び出してくる粒子線や電磁波のこと。放射能とは、放射線を出す能力のこと。一定の条件のもとで照射をすれば、食品が放射能を帯びることはありません。ジャガイモが放射性物質(ここではコバルト60)と接触するということではなく、コバルト60から放出されるガンマ線という高エネルギーの放射線を受けるということになります。