大地宅配の商品カタログやお買い物サイトに出てくる良く見かける様々な用語。そんな用語をわかりやすく説明する連載です。
第五回目は、抗生物質・合成抗菌剤・抗菌性物質です。(※大地宅配のカタログ『ツチオーネ』2010年109号掲載)
微生物が作り出し、細菌やその他微生物を死滅させる、あるいはその増殖を阻害する化学物質を「抗生物質」といいます。
抗生物質の大半は細菌に作用する抗菌剤ですが、最近ではウイルスや腫瘍など必ずしも微生物ではないものに働きかける化学物質も、抗生物質に数えられます。
一方、人間によって化学的に合成された、抗菌作用のある化合物を「合成抗菌剤」といいます。
これら抗菌作用のある抗生物質と合成抗菌剤をあわせた総称が「抗菌性物質」です。
畜産分野における抗菌性物質の用途は、①疾病の治療または予防に使われる「動物用医薬品」と②病気予防や成長促進を目的として配合飼料に添加される「飼料添加物」。
いずれも対象は鶏(産卵鶏・肉用鶏)・豚・牛などすべての家畜で、畜種や成長段階に応じてさまざまな抗菌性物質が与えられています。医薬品は高用量が処方されますが、獣医師の管理下にあり、用法・用量や出荷前の使用禁止期間などが定められています。
一方、飼料添加物は低用量で長期にわたり飼料に混ぜて使用され、こちらにも併用の制限や出荷前一定期間の添加禁止など各種の規制があります。
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抗菌性物質につきまとう難問
病気予防から成長促進まで畜産現場で日常的に使われている抗菌性物質ですが、看過できない問題があります。
それは薬剤耐性、つまり薬剤が効かない、または効きにくい性質を獲得した菌の出現です。すでに医療現場ではヒト用医薬品の薬剤耐性菌が見つかっており、治療の難しさや院内感染の危険が問題化しています。
畜産分野における抗菌性物質の多投、ことに飼料への添加は、こうした薬剤耐性菌を通じた周辺環境の汚染、ひいては人への伝播との関わりも懸念されています。
2015年5月にWHOが薬剤耐性に関する国際行動計画(グローバルアクションプラン)を採択し、薬剤耐性に関して関連分野が連携して世界的に取り組むべきとされたことを踏まえ、2016年より行動計画(アクションプラン)が策定・公表されました。
薬剤耐性は、人医療、動物その他の関係分野が連携して対応すべき課題であるため、アクションプランは関係省庁・関係機関が協働して集中的に取り組む対策を取りまとめています。
(動物医薬品検査所HPより)
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大地を守る会では
大地を守る会の畜産生産者は、効率最優先の密飼いを行うことはなく、家畜を健康に飼い、育てることを基本としています。
このため、抗菌性物質の使用頻度は一般よりも低いですが、治療目的での動物用医薬品の使用については、薬事法をはじめとする法令に準じています。
一方、飼料添加物としての抗菌性物質の使用については、原則不使用としています。
ちなみに、EUでは現在、成長促進目的での抗菌性物質使用を全面的に禁止。日本国内でも飼料添加物となる抗菌性物質を全面的に見直し、ヒト用と共通する成分の抗生物質の使用を禁じるなど一定の規制を設けています。