お母さんが子どもにおいしいパンを食べさせたくて一生懸命作ったパンは、おいしい。ごくごく当たり前のこと。材料にこだわり手間ひまかけ「おいしくなあれ」と気持ちのこもったパンはおいしいに決まってます。サラ創始者であり、前社長の大塚せつこさんはそんなお母さんのひとりでした。
子どものためにつくったパンが評判になりその後、秋田県にしか存在しない製パンに非常に適した白神こだま酵母に出会い、もっとたくさんの人においしくて安全なパンを。ということで始められたのがサラ白神こだま酵母のパン工場です。
ほとんど毎朝、パン食の私はパンの焼ける匂いで「よし、きょうも頑張ろう!」と思うのです。私の目覚めとやる気のスイッチでもあるのです。なのでサラさんの工場のドアを開けたとたんやる気スイッチが入りました。ほんのり暖かくてパンの焼けるいい匂い。この幸せな空間でパンづくりがされています。
パン屋さんは朝早い時間から動き出すと聞きますが、何時から稼働されているのか聞いたところなんと0時から動き出しているそうです…。朝ではなくまだ夜ですよね。そこから16時間工場は動いているそうです。私が伺ったのが11時頃だったのですでに11時間。もう稼働時間の半分以上は経過しているわけです。
今回見せていただいたのはサラさんの代表選手とも言える大地でもおなじみ、白神ソフトフランス。朝(私的には夜)一番に始められるのが材料を合わせてミキシング。
それを箱に入れて一次発酵。ここでポイントなのが箱に油を塗らないこと。油を使うと離れが良くなるのですが、酸化が早くなってしまうので使用しないのだそうです。そこで職人さんの熟練の取り出す技が必要です。
その後同じ大きさに分割。職人さんはほぼ一発で決めていきます。
簡単そうに見えるけど、これが難しい!体験させてもらいましたが何度も細切れを追加していくので表面が美しくないのです。
これがもう手遅れだそうで焼き上がりに大きく差がでてしまうのだそう。
次に丸めてベンチタイム。
そして成形。見ていると簡単そうにくるくるっと職人さんの手の中で綺麗に同じ形に成形されていきますが私がやってみると状況悪化です。
左が私です。
ホント、すみません。こうして職人さんの手元を見ていると我が子を慈しむような手つきです。ちょっとやんちゃだった子が愛情を感じて文字通り円くなる感じ。私の関わった子はトンガってます。要更生…。なので工場長の黒須さんにお手伝いしてもらいました。
そして二次発酵後にクープ(切れ目)を入れ焼かれます。
オーブンでどんどんきつね色になり焼き上がったソフトフランスはパチパチと音がします。そしてこんがりいい香り。
ほんとうに焼きたてのあつあつをほおばらせてもらいました。熱い!けれど、おいしい!ああ、なんて幸せなんでしょう。
この焼きたてパンは冷まされて翌日には大地を守る会の会員さんのお宅に届けられます。白神こだま酵母のパンの材料は国産小麦、酵母、天然塩、国産きび砂糖、これだけです。
サラさんは無添加のパンです。無添加のパンと言うと固いけど、体にいいからよく噛んで食べなくちゃいけない。よく噛んでいくうちにパンの甘みがでておいしくる。そんなイメージです。体にいいものはおいしい。もちろんそうなのでしょうが、どこかで「固いな、でもよく噛まなくちゃ。噛むことでおいしくなると言われているし」。と思いながら食べるものって果たして体にいいのだろうか。そんなことを最近考えます。
見た目がほんわか柔らかそうでおいしそう!噛んだら柔らかくてほんのり甘くておいしい!がまんしなくてもちゃんとおいしい。さらにそれがオーガニックなスタイル。それがいちばん身体にも心にもおいしい食べ物じゃないかと。サラさんのパンってまさにそれなのです。
もともとは家庭のキッチンでつくられていた身体によくておいしいパン。それをもっとたくさんの人に食べてもらいたい、となると工場を作り人員も必要です。規模が大きくなると、どこかでコストを押さえたり効率を求めて長期保存のための添加物、おいしそうな仕上がりに安くできる添加物など人の健康よりも効率を優先させてしまいます。「食べ物に父性を求めてはいけないと思うんですよ」。と社長の津田雅俊さん。
父性とは経済力。外でお金を稼いで家族を養う。稼ぐには効率も考えなくてはなりません。そして母性は家族の健康を考えおいしいごはんを作る。食品工場というのは母性がまずなければなりません。もちろん母性だけでは成り立ちませんが、なにはなくともまずは母性。人の健康が第一です。その次に働いている人たちを養うという大切な役目もあるので父性も必要になってきますが何かを犠牲にして成り立つ父性ではいけません。
サラさんには白神こだま酵母があります。
いいところを挙げてみると
1. 種起こしが不要→時間がかからないので短時間で多く作れる
2. トレハロースを酵母の体内で作るので甘みと保湿力→添加物なしでも甘くしっとりおいしい仕上がり
3. -30℃で冷凍しても100%酵母は生存→いつでもおいしいパンが食べられる保存料要らず
4. 発酵力強いので グルテンが少ない国産小麦でも 製パンできる→日本の農家を守る
どうです?何かを犠牲にしなくても無添加、オーガニックスタイルでおいしいパンが作れるのです。それを実践されているサラさんはすごい!我慢しないとオーガニックなこと、ものは成り立たない。そんな常識はもういらないじゃないか、といただいたパンを噛みしめながら思うのでした。
社長の津田雅俊さん、副社長の創業メンバー、島崎裕子さんと一緒に。
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香菜子 プロフィール
クリエーター・モデル
時にはモデル、時にはイラストレーターやデザイナー。
ときどき執筆、ディレクション。いいものができるなら手段はいろいろ。
LOTA PRODUCT www.lotaproduct.com
所属事務所 FRIDAY http://fridayfarm.net
近著 「ずっと好きなもの、これからのもの 心地いい暮らしのアイテム77」(KADOKAWA)
雑誌連載
Plus 1 Living(主婦の友社) 「季節のクラフトレシピ」
リンネル(宝島社)「家事効率化計画」
Web連載
ELLE maman 「こどものからだにいいこと」
暮らしとおしゃれの編集室「日々にピタリなもの」