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魂のおすそわけ

【NEWS大地を守る4月号】大地のたまごブルース

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自然が相手の卵農家の仕事は、お盆、年末、そしてお正月も休みなし。本田さんは今日も、卵を集めます。

もう何十年も、畑を耕し、鶏を育て、卵を集めて命をお届けしてきました。自分で育てた作物を与え、国産穀物飼料100%で鶏を育てる卵農家・本田孝夫さん(埼玉県深谷市)の卵物語をご紹介します。

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効率重視から生命の尊重へ

戦後からずっと日本の物価が上がっている中、〝物価の優等生〞であり続けているのが卵です。1985年で、1kg当たりの販売価格は350円、10コ当たりで計算すると230円となり、それは現在に至るまでほぼ変わっていません(※1)。時には、「特売」として1パック100円未満で売られている光景を目にすることもあります。

安く販売されている卵の裏側には、鶏を窮屈なケージで密飼いにし、輸入に頼った飼料をひたすら食べさせるという、効率重視の生産方法があります。日本では、何段か積み重ねて並べたケージで鶏を飼育するのが一般的(※2)。1羽が入れられるケージの広さはコピー用紙のB5サイズ程度ともいわれ、動き回ることができない状態です。また、窓のない鶏舎では、温度や光の管理、給餌などをコンピューターで行い、採卵も自動化されています。鶏たちがおひさまを見るのは、廃鶏となって鶏舎を出ていく時なのだとか。与えられる飼料の国産自給率は12%で、原料の多くを占めるトウモロコシはほぼアメリカ産です(※3)。アメリカ産のトウモロコシの大半は遺伝子組み換えともいわれています(※4)。手間を省き、安く、大量に卵を生産するという効率重視の流れに対して、海外では疑問の声が上がり、ケージ飼いの卵の生産・販売の禁止や、世界的なスポーツ大会で使用する卵や肉などの畜産物を平飼いや放し飼いのものにするなどの動きが多くなってきています。

それ自体も生命である卵を尊重し、食べる人も安心でいられるように、大地を守る会は平飼いの卵を扱ってきました。1996年から始めていた、家畜の穀物飼料を国産のものにしようという試みは、卵では2000年に実現。以来、大地を守る会では「平飼卵」「国産穀物育ち・平飼卵」を皆さんにお届けしています。

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麦ふみから始まる卵の生産

「これは麦畑。12月に種をまいたから、2・3月に麦ふみをして、 6月に収穫するよ」。朝日が降り注ぐ麦畑を見ながら話すのは、「国産穀物育ち・平飼卵」の生産者・本田孝夫さん(埼玉県深谷市)です。「輸入トウモロコシは遺伝子組み換えかもしれないのが不安だし、日本の食べ物の自給率が低くて危機感を覚えるよ」という本田さんは、飼料の主原料である穀物が国産100%。トウモロコシの代わりとなっている米は麦同様、自分で育てています。

家の隣りには自家採種した種から育てる麦畑が広がっています。この先には田んぼもあり、麦も米も鶏たちの飼料となります。
集めた卵が入ったかごはずっしりと重い。「でも、大事なものを運んでいると思えば……」と穏やかに話す本田さん。


本田さんの一日は、朝7時からの飼料作りから始まります。米、米ぬか、ふすま、大豆……とフォークリフトのショベルに入れていきます。「今日は人参の皮がたくさんあるよ。大地を守る会の生産者で近所の惣菜屋・誠晃産業やパン屋・マリーレン、豆腐屋・みやに、飼料の原料になるものが出ると車で取りに行くんだ」と安心のミネラルなどもたっぷりです。

朝起きて最初に行うのが飼料作り。自分で育てた米をベースに、3袋の米ぬかや消化しやすいようにゆでた大豆などを加えます。
飼料の材料は国産原料にこだわります。近所の大地を守る会の生産者を車で回り、その日にあるものもブレンドします。
毎日作る飼料の量は400kg。「撹はんする機械も重たがっている音を出しているよね」。畑仕事に、機械仕事にと、本田さんを見ていると何の生産者だったかを忘れてしまいそう……。


飼料を撹はんする間はつかの間の朝ごはん。「時間がない時は卵かけごはんだね」。そう笑って食べる本田さんは、食事のたびに食べるほど卵が大好きです。

「卵や鶏がいなくなったらさみしい」という本田さんは、食卓でも卵と一緒。


作りたての飼料が入ったバケツを持って本田さんが鶏舎に向かうと、鶏たちの元気な声が聞こえてきます。日差しが入って明るく、通る風が心地よい鶏舎は広々としており、鶏たちは砂遊びをしたり止まり木で休んだりと、のびのびと過ごしています。「こういう場所が好きなんだよな」と話しかけながら歩く本田さんの傍で、鶏たちはリラックスしたままです。端に並べてある箱では、鶏たちが自分たちのペースで卵を産んでいます。かごを持った本田さんは、静かに手をのばし、卵をかごに入れていきます。「卵を守りたいんだろうね。だからつつかれても、俺は怒らない」。ここでは、自然の営みが淡々とつむがれていました。

コッ、コッ、コッ……。「えさが食べたいんだろう」。鶏たちは本田さんが“朝ごはん”を 持ってきてくれるのを心待ちにしています。
日差しも風も入る平飼いの鶏舎での心地よさはご覧の通り。地面には藁や玉ねぎの皮などが敷かれて土に還り、有機の畑のよう。
卵を産む鶏はこの箱にやってきます。柱の近くの地面に卵が1つあるのを見ると、「多分間に合わなかったと思うんだ」と本田さん。
産んだ卵をおなかの下に寄せる親鶏。春が一番卵を産む季節だそう。
生まれて3日目のヒナたち。3日目までは玄米と水を与えて胃を丈夫にします。

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未来へつむいでいく

本田さんは、365日休まずこの営みを繰り返します。また卵の安売りのチラシが配られても、日米自由貿易協定でアメリカ産トウモロコシの輸入量を増やすことが決まっても。それはまさに自然の摂理と信念が貫かれた力強いブルース。「ウィンドレス鶏舎の中で光を見ることなく、ケージ飼いでほぼ身動きがとれず、〝予防〞として薬を一生与えられるような生き方は、鶏に合ってない。それで産まれてきた卵を食べることは、俺はできない。未来の子どもたちも安心して食べ続けられるものを作っていきたい」。本田さんは卵を一つ一つていねいに拭きながら語ります。

一つ一つ、形や大きさ、殻の色が違う卵。「個性だよ。こういう個性も大事だよね」。


生命あるもの皆、それを全うするように生きたい。本田さんと鶏たちが、その源をおすそわけしてくれます。


※1「鶏卵の需給及び価格の動向」(日本養鶏協会、2020年3月2日更新)
※2「aff 」(農林水産省、2009年11月号)
※3「飼料をめぐる情勢」(農林水産省、2020年2月)
※4「遺伝子組み換え農作物の現状について」(農林水産省)


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大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。