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命と努力と夢の結晶

【NEWS大地を守る5月号】歩みをとめない開拓者

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畑や川、山など、今日も現場に立つ澤村さん。一つ一つ積み重ねてきた経験からにじみ出る佇まいは凛としている。

全国1位の生産量を誇るトマトの王国・熊本で、トマトの有機栽培にいち早く取り組み、野草や昆布など地元で採れる〝自然〞を活用した〝循環型の有機農業〞を実践する肥後あゆみの会(熊本県宇城(うき)市)の代表・澤村輝彦さん。地域の有機農業を牽引する開拓者の次の歩みは、農地、種、文化の継承と止まることを知りません。

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有機栽培のもう一つの価値

「有機野菜」と聞くと、「農薬を使わないから安心」とイメージする人が多いのではないでしょうか? たしかに、有機野菜は、種まきまたは植え付け前の一定期間、および栽培期間中に、許可された資材(農薬・肥料など)以外を使用せずに栽培され、かつ認証機関が有機の格付けをしたものに「有機JASマーク」の表示が義務付けられており、基準に沿った栽培であることを担保してくれます。

一方で、有機野菜の価値は、安心だけなのか?というと、そうでもありません。有機栽培では、一般栽培で当たり前のように使用される除草剤、土の中の微生物や虫を殺してしまう土壌消毒剤の使用が禁止されています。それゆえに、環境への化学物質の放出が少なく、生態系を破壊しない〝持続可能な農業〞であると言えます。

大地を守る会が1975年の創業以来、有機栽培、また持続可能な農業(水産業、畜産業を含む)を応援している理由も、この持続可能であるという点に尽きます。これまで多くの消費者、生産者の皆さんとともに、オーガニック食品を選択することが、日本の第一次産業の応援、ひいては環境保全に一翼を担っているという想いを共有してきました。特に大地を守る会の生産者は、それぞれの地域でその風土に合った〝循環型の有機農業〞を実践する人が多くいます。トマトの生産量日本一の熊本県で、特に難しいとされるトマトの有機栽培にいち早く取り組み、地域の有機農業を牽引する肥後あゆみの会(熊本県宇城(うき)市)の代表・澤村輝彦さんもその一人です。

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自然になる野いちごのように

3月中旬の朝日が昇る頃、澤村さんは川にいました。「今はせりがよく生えているんです。伸びるためのエネルギーは、特に夜明け、一番伸びる先端に蓄えられる。だから上の方を刈り取る。4・5月になると山に筍を掘りに行くよ」。澤村さんが集めているのは、「天恵緑汁(てんけいりょくじゅう)」と呼ばれる、旬の植物や海産物などを黒糖に漬けて発酵させて作る栄養液の材料。1カ月もあればできるという澤村さん手作りの天恵緑汁は、材料ごとに甕(かめ)で保存してあります。「これを水で薄めてトマトに散布すると、植物に付いている菌や成長点のエネルギー、黒糖の糖やミネラルが栄養になり、虫や病気が出にくくなります」。そう話す澤村さんは、ニッキと黒糖で作った天恵緑汁を味見しました。同じく味見してみると、甘い香りと味がしました。人間も口にできるほど安心でもあるのです。

天恵緑汁の材料を求めて、3月はせりをとりに川へ。植物のエネルギーは主に成長点に蓄えられるので、上の方を刈り取ります。
材料ごとに甕で保管している天恵緑汁。野草堆肥も天恵緑汁も、キムチをはじめとする発酵文化の応用で土着微生物を活用した土作りを提唱する、韓国自然農業の父・趙漢珪(チョウ・ハンギュ)先生の教えから。
野草や昆布など自然のもので手作りする栄養液「天恵緑汁」は、水で薄めて1週間に1回散布します。散布時間はトマトがよく成長する朝。


有機農業の基本と言えるのが土作りです。澤村さんは、河川敷の葦(よし)や茅(かや)などを3年山積みにしておき土に還らせる「野草堆肥」と、米ぬかや菜種かす、昆布、牡蠣殻などを混ぜて発酵させる自家製ぼかし肥料を、土にすき込みます。シンプルに見えるかもしれませんが、だからこそよいのでした。「野いちごは誰からも肥料ももらわず消毒もされないけれど、病気になることなく、あんなに甘くてしっかりと酸味もある。それが俺の理想の農業です。野草堆肥もぼかし肥料も微生物だらけ。微生物が土を耕し、土の中の生物のバランスがよくなります。そうするとトマトの根が伸びやすくなり、病気にもかかりにくくなるんです」。

野草を3年山積みにしておき土に還らせる「野草堆肥」。微生物の働きで草が分解されている真っ最中は温かい。
毎日よく観察しながら、トマトにとってよいように、風通しや日当たりなど一つずつ丁寧に行います。トマトも気持ちよさそう。


ちなみに、澤村さんが海産物を活用するのは、父が漁師だったこと、江戸時代からの干拓によりできたこの土地は塩分濃度が高くけっして肥沃ではないが、トマト栽培に適していたことから。「海も含めて生態系はずっと循環しているんだよね。すごいなぁと思う。目に見えないから分かりづらい時もあるけれど、その中で五感を使ってする農業がおもしろいです。必ずトマトが還してくれるから」。厳しさをも秘めた熱い眼差しで有機農業について語る合間に、はじけるような笑顔にもなる澤村さんは、トマトという子を育てる親のようです。

微生物、土、水、空気、太陽……、すべての命がつながってできたミニトマト。“命の結晶”は美しい輝きを放っています。

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山へ、海へ、そして未来へ

トマトの有機栽培を始めて、味もだめで、3コに1コは病気になるほど量もとれない状況が10年近く続いたと言いますが、澤村さんはそれも含めて経験を一つ一つ積み重ね、澤村さんならではの循環型の有機農業を確立してきました。しかし、近年、澤村さんが危機を感じていることがあります。「有機農業だけでなく、農業そのものの後継者が少ない。でもそれは、農業に将来性や魅力を見い出せない状況があるからではないかと思うんです」。

そこで澤村さんは、肥後あゆみの会で若者や新規就農者を積極的に受け入れ、なるべく自分たちで実施する形式で、有機農業の確かさとおもしろさを次世代に伝えています。

澤村さんの息子・光大(こうだい)さん(後列右から3番目)を含み、若者が多い肥後あゆみの会のメンバー。すでに独立した人もおり、次世代が育っています。


澤村さんが始めたことはそれ以外にもあります。「夏になると、ここでは暑すぎて栽培ができないから、涼しい山の上で栽培をしようと、阿蘇の山で畑を開拓しています。挑戦しているトマトの自家採種は今年で5年目です。そして、家の裏にある海も見える山に〝コミュニティーガーデン〞を作っています。いろいろな人が集まって、作物を育てて食べて、くつろげればいいなぁ。あと、次の世代が育ったら、小さな船を買ってまた海に出たい」。

風土に根差した種「固定種」を目指し、 選抜を繰り返しながら続けているトマトの自家採種。うまくいけば今年、固定種ができるかも。
澤村さんが“コミュニティーガーデン”を作り始めた山にて。山の下のトマト畑も、幼い頃、父と一緒に船で出た八代海も見渡せます。


有機トマトの開拓者の歩みは止まりません。


「有機トマトは」こちら
※該当商品の取り扱いがない場合があります。

大地を守る会編集部

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。