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姉妹で作る食の架け橋

【NEWS大地を守る11月号】はじまりのキムチ

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キムチの決め手である薬念(ヤンニョム)の素になる、イワシの塩辛、塩、砂糖、かつお節、ごま、煮干しと昆布、しいたけ、唐辛子。

創業30年を迎えた韓国食品(千葉県匝瑳市)。韓国伝統の製法を守りながら、日本の食文化に合わせた「ミンさんのキムチ」を作り続けている閔さん姉弟を訪ねました。

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食を通じた日韓交流を

決して主役ではないけれど、ピリ辛の風味と鮮やかな赤い色合いで、食卓で独特の存在感を放つキムチ。冷奴や納豆に合わせたり、チャーハンにしたり、と食べ方のレパートリーも豊富です。いまや焼肉屋さんだけでなく、日本の食卓にも欠かせない一品となった韓国の伝統食品ですが、世界に広まり各国で食べられるようになったのは1988年のソウルオリンピック以降だと言われています。日本も例外ではありません。
「ミンさんのキムチ」を製造販売する韓国食品を経営する閔南淑(ミン・ナンシュク)さんは80年代当時、都内の会計事務所に勤めながら、日韓交流にも参加していました。あるとき、事務所に出入りしていた新聞記者から「五輪を機に、日韓両国が食を通して日韓交流を推進することになった」そして「あなたにキムチをやってもらえないか」との思いを聞かされたと言います。
今でこそ韓流ドラマが世界を席巻し、韓国カルチャーは身近なものとなりましたが、当時はまだそのような社会のムードは醸成されていない時代です。
「経験もないし最初は無理だと断ったんだけど、『日韓の平和のために』と言われて、背筋がシュッと伸びる感じがしたんです。芯が入ったというか」

薬念(ヤンニョム)と言われるキムチのタレは、商品によって少しずつ配合が異なる。
韓国では通常煮干しでだしを取るが、同社では煮干しと昆布、しいたけ、鰹節でだしを取る。「鰹と昆布は日本のだしの特徴。うちのキムチは日韓の融合作」

導かれるようにして始まった食品業。輸入販売から始め、1990年3月に韓国食品を設立します。白菜の産地で有機農業の畑も多かった千葉県匝瑳市に工場を構え、弟で現在は専務を務める鉉基(ヒョンキ)さんも日本に呼び寄せました。鉉基さんは当時韓国で大学を卒業したばかり。来日してすぐに専門学校で日本語を学んだのちに、東京農業大学で栄養学を一から学んでキムチの研究を始めました。以来、姉弟二人三脚で30年。

葉の一枚一枚、丁寧にタレが擦り込まれた一本漬けのキムチ。

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白菜の個性に合わせて手を動かす

キムチ作りの最初の工程は、白菜の葉を1枚1枚めくりながら塩を振りかける作業。いちばん重要なこの作業は専任のスタッフが担当します。
「塩加減はキムチの要。簡単なように見えますが、長年の経験がないとできないんです。冬の白菜は根元がかっちりしているので塩を多めに振ります。夏は高原で取れる白菜を使っていますが、水分が多くふかふかしているので、塩は少なめに。さらに産地や個体によっても塩加減を変えます」(鉉基さん)
塩を振った白菜は、大きな樽で一晩漬けた後、水洗いを5回ほど繰り返します。水をよく切ったあとは、葉をめくりながら薬念(ヤンニョム)と呼ばれるキムチの素を塗り込んでいきます。これらすべてが手作業。一本漬けの白菜を手際よくクルンと丸めながら「これがとっても楽しくってね。全然苦にならないの」と話す女性スタッフは80歳。役員まで勤めた勤続25年の技が光ります。
このような伝統的な製法で作っている日本の生産者は多くないと言います。例えば多くのメーカーが採用しているのは、先に白菜をカットし、その後で塩水に漬ける工法。
「カットしてしまうことは、野菜にとっては傷を負うのと同じ。なるべく丸ごとの状態を保ったほうが野菜の生命を保てるのです」(鉉基さん)

いちばんの要という最初の工程。白菜の個性に合わせ、一つひとつ塩を振っていく。
約120個分の白菜に60キロの重しを乗せて一晩置き、真水で5回しっかり洗って塩を抜いた様子。

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人を作る信念と哲学

「食べ物は人の命を作っていくもの。 安全なもので作らなければいけない」という閔社長の思いがあり、材料にこだわってきた同社では、創業当初から大地を守る会との取り引きが続いてきました。「大地の藤田会長には、日韓平和を作るという理念の面でも共感して頂いた」と振り返ります。
キムチ作りの現場は専務の弟に任せ、姉の閔社長は理念作りや対外的な関係構築、人材育成に奔走しています。手順を教えるだけではなく、作業台に立つ姿勢や体の動かし方、みんながどんな気持ちで仕事に向かっているか、こまやかに目を配ります。社員の誕生日にはお花を贈り、日々一緒にご飯を食べながら、深い絆を作ってきたそう。
「私たちは食べ物だけ作っているわけじゃない。人間を作る、ということをやっている。信念と哲学がキムチより先にあるんです。社員が健全に働ける環境を作らないといけない」(閔社長)

カットした白菜をタレと混ぜ合わせる作業。ダイナミックな動きとともに、キムチにエネルギーが注がれて行くようだ。

昨今の腸活ブームもあり、発酵食品は消費が拡大しています。中でもキムチの乳酸菌は、過酷な状態で戦って生き残った菌だから強さが違う、と閔社長は胸を張ります。キムチ1グラムには何億個もの乳酸菌が含まれているといわれています。「ミンさんのキムチを食べるとパワーが出てくる」という常連のお客様の声もあるそうです。発酵が進むと酸味が増してまた違った味わいを楽しむことができるのもキムチの魅力の一つですが、鉉基さんのおすすめはむしろ、漬けたばかりのもの。「果物がもぎたてがおいしいのと同じで、キムチも出来立てがおいしいんですよ」

袋詰めの作業。手早く正確に詰めていく。

こうしたキムチの栄養価や韓国の食文化について、閔社長は全国各地で料理教室などを開き、広めてきました。
「キムチは今ではどこにでもあり、誰でも作れるようになりました。『ミンさんのキムチ』だから、この人が作っているから食べてみたい、そう思ってもらわないといけない」(鉉基さん)
苦労について多くは語らない閔さん姉弟ですが、日韓の架け橋を一から築き上げてきたという誇りがその語り口からは感じられます。過去に戻ってはいけない。明日の平和を思い描きながら、二人は今日もキムチを作り続けます。

二人の眼差しからは互いへの信頼感が感じられる。家族経営の難しさや、意見が食い違うことは?と聞くと「一度もない」との答え。「(姉は)理念がある人。理念は常に正しいので、それに私自身が努力して添えるかどうかだと思っています」


「ミンさんの白菜キムチ」はこちら
「ミンさんのマイルドキムチ」はこちら
※該当商品の取り扱いがない場合があります。

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。