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陸前高田の10年とともに

【NEWS大地を守る2月号】陸前高田の復興の缶詰

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タイム缶詰で働くみなさん。写真中央が小向長悟社長。岩手県南部は取材数日前に大雪が降った。

岩手・陸前高田で、工場の全壊というゼロからのスタートを余儀なくされたタイム缶詰。3・11から10年、地域とともに復興の道のりを歩んできました。

穏やかな海が広がる広田湾の風景。カキやホタテの養殖も有名だが、震災では大きな被害を受けた。

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開けた時の喜びを大事に

缶を開けると、美しい花が現れます。その正体はイワシ。内臓を取り除いたイワシを筒切りにすると、断面はまるで花びらのような形になります。その腹側が缶の中心を向き、身が詰まった背が外側になるように並べていくと、イワシの花ができあがるのです。
「菊詰めと言われているんですよ。缶を開けたときの第一印象はとても大事ですから、きれいに仕上げることにはこだわりを持っています」

「菊詰め」と呼ばれる方法で詰められたイワシは、まるで花のよう。

作業場を眺めながらそう説明してくださったのは、タイム缶詰の社長・小向長悟さん。タイム缶詰は岩手県陸前高田市にある水産加工品会社で、2005年に創業しました。
取材に訪れたのは12月。数日前に大雪に見舞われた岩手県南部は、工場の周囲もあたり一面真っ白です。少し車を走らせれば、10年前の東日本大震災の爪痕と、そして復興の軌跡を街のいたるところで目にします。
同市の広田湾には高さ12.5メートル、全長約2キロに渡る巨大な防潮堤が完成しています。かつてあった松林7万本のうち、唯一生き残った復興のシンボル「奇跡の一本松」は一度枯死した後に保存整備され、凛々しい立ち姿で街をながめています。

「奇跡の一本松」と震災で全壊したホテル。現在は公園の一部として保存されている。

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工場は津波で破壊状態になった

震災による壊滅的な被害はタイム缶詰にとっても例外ではありませんでした。震災以前から働いているスタッフの村上さとるさんは「まさかまさかあんなことになるとは思わなかった」と当時を振り返ります。海の近くにあったメイン工場は津波で全壊し、山の中の倉庫だけが残りました。残った倉庫のほうに設備を新調して2011年11月に再スタートを切るまで、村上さんはボランティアで倉庫の片付けや立ち上げ作業に尽力したそうです。
「そのときは当時の社長と工場長と私しかいなかった。本当にやっていけるのかなと不安でした。ここまでよくやってきたなぁと思います」(村上さん)

ラベルを貼る作業一つをとっても手際よく進める村上さん

その後、2015年に缶詰のプロフェッショナルである現在の小向社長を顧問として迎え入れ、現在の体制が確立しました。昨年にはオイシックス・ラ・大地を退職した吉田和生さんが専務として就任。吉田さんは90年に大地を守る会に入社して以来、水産部門で仕入れを担当するなど三陸エリアとは長い付き合いになります。同社の定年退職を前に、60歳以降のキャリアを見据えて個人事業として様々な仕事を手伝っていたところ、タイム缶詰から次期社長のオファーが舞い込み、家族を東京に残して陸前高田に移り住んできました。

オイシックスラ大地を退職し、次期社長として働く吉田和生さん。

「食の課題を解決すること、地域の役に立つことをしたい。これまでの30年間が全て陸前高田につながっています」と吉田さん。「男の缶タン料理」と題してYouTubeで缶詰を使った簡単レシピを紹介したり、地元の漁協とのコラボ商品を試作したり、奔走している毎日だと言います。

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缶内熟成が進むとさらにおいしくなる

そんな吉田さんを突き動かしているのは「缶詰」の魅力そのもの。
「こちらで暮らしてみて、素晴らしい食材がいっぱいあることに改めて気づきました。缶詰の中身は魚だけじゃなく、果物でも肉でもいい。地域の生産者さんたちの食材を使って、様々な商品開発ができそう。人と人とを繋いでくれるのが缶詰の魅力なんです」
普段ひっそりとキッチンの片隅で出番を待っている缶詰ですが、そこに秘めた可能性は無限大です。常備食、非常食として保存が効き、しかも時間が経過したほうがおいしくなるのだとか。
「煮汁に溶け出した魚のうまみが、再び魚に染み込んで缶内熟成が進みます。ひと夏越えるとさらにおいしくなるので、ぜひ試してみてください。ちゃんと科学的な根拠もあるんですよ」(小向社長)

三陸沖で捕れた、丸々としたマイワシ。

もちろん、素材のおいしさ、そして工場でのていねいな手作業もその品質を支えています。三陸沖で獲れたイワシの頭と内臓を取り除くところから、4頭分にカットする作業、缶に詰める作業、そしてラベル貼りに到るまで、小さな工場でスタッフが一つずつ手を動かしています。
カットしたイワシは、ひと晩水に晒して充分に血抜きを行うため、青魚特有のくさみがなくなり、さらに塩水に漬け込むことで身が締まるのだそうです。

心を込めて形を整えるのは、缶を開けた時に喜んでもらいたいから。

ほんのり塩味が効いていてそのままでもおいしくいだけますが、「食卓でのイメージがつく缶詰を作りたい」とレシピ考案に余念がない吉田さんのイチオシのレシピは、「イワシ水煮缶の豆乳トマトみそラーメン」。魚と相性がぴったりのトマトを加えることで洋風になり、子どもたちのカルシウム補給にもぴったりのメニューになります。
もうすぐ3月がやってきます。震災から今年で10年。冗談を言い合い和やかに談笑しながら働くスタッフの皆さんを横目に、村上さんは「メンバーがいいからこの歳でも続けられています。自分に与えられた仕事をまっとうしたい」と語ります。復興はまだ終わっていません。
「20年先も、30年先も続く会社にしていきたい」(吉田さん)
希望と未来への思いが、タイム缶詰の缶詰には一緒に詰め込まれています。

タイム缶詰の缶詰はこちら
※該当商品の取り扱いがない場合があります。

吉田さん考案の「イワシ水煮缶の豆乳トマトみそラーメン」。この日はほうれん草をトッピング。大きなイワシを筒切り

レシピ 】
材料(2人分):イワシ缶1缶、中華麺2人前、水400cc、ミニトマト4つ、味噌60g、豆乳200cc、トマトペースト大さじ1.5、(あれば八丁味噌パウダー)
作り方:鍋にイワシ缶の出汁と水を入れて火にかける。煮立ったら、半分に切ったミニトマト、味噌、豆乳を入れる。イワシを加えてトマトペーストで味を整える。あれば八丁味噌パウダーを混ぜるとコクが出る。別の鍋で茹でた麺を入れて完成。豆乳の代わりに牛乳+バターでも。

大地を守る会編集部

大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。