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まじめにまっすぐにレタスを育てる

【NEWS大地を守る4月号】陽春のきまじめレタス

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ラッピングを待つ、採れたてほやほやのレタスたち。

冬の寒さに耐えておいしさをじっくりたくわえた春どりのレタスは、バリバリ、シャキシャキの食べ応え。茨城県の坂東市岩井でレタスを育てる飯塚一実さんを訪ねました。

2倍の手間と時間がかかる

2月下旬。寒い冬をじっと耐え抜いた春レタスが、ついに収穫の初日を迎えました。ふんわり結球したレタスの根元を包丁で切り、外葉を落としたらコンテナの中へ。畝と畝の間は切り落とした外葉で埋まり、畑一帯がレタスの青々とした香りに包まれます。

関東平野が広がるこの地域では、古くから農業が盛んに行われてきた。

茨城県西部に位置する岩井地区は、県内でも有数のレタス産地。レタスと長ねぎを生産している飯塚一実さん(67)の畑にお邪魔すると、妻の春美さん、息子の雅弘さんの3人で収穫作業の真っ最中でした。
ずっしりとしたレタスを手にし、「今年はいい出来ですね」と春美さんがにっこり。
この春レタスは昨年10月20日に種をまいて、12月20日に定植したもの。4ヶ月を経て収穫を迎えました。飯塚さんは、春レタスと秋レタスを年2回栽培しています。秋レタスは生長が早く、8月に種を巻いて10月には収穫が始まるので、栽培期間は2ヶ月。春レタスの約半分の期間です。温度差の大きい季節に育てる春レタスは、時間だけでなく手間もかかります。例えばその一つが換気作業です。春レタスは、寒さから守るため畝にビニールのトンネルがかけられています。このトンネル内の温度調節が、レタス栽培の要。換気をしないとトンネル内が高温になり、葉の裏に白いカビがつく「べと病」が発生してしまうこともあるそうです。

飯塚さんのレタスは、柔らかさとシャキシャキ感が同居していて、葉からパワーがあふれ出ているよう。

収穫作業に精を出す息子の雅弘さんと妻の春美さん。

毎朝夕のトンネル換気

トンネル内の空気を換気するには、ビニールをたくし上げたり下ろしたりする必要があります。換気棒と呼ばれる棒を手にした飯塚さん、畝の間を歩きながら、棒を器用に使ってトンネルを開けていきます。1列終わったら隣の列、そして次の列。片側だけ開けるのか、両側を開けるのかなど、レタスの生長とその日の気温や天気を判断しながら調節します。「やってみる?」と飯塚さんが作業を代わらせてくれました。簡単に見えた作業ですが、意外と腕の力を使います。1列終わっただけでへとへとに。朝早くからこれを毎日繰り返し、夕方には閉める作業もあるというのだから、その手間は並大抵のものではありません。
こうして手間をかけたレタスたちだからこそ、「(秋レタスより)春の方がおいしいよね」と飯塚さん。
春どり品種の中でも、「ビルボード」「ブロディ」など、時期をずらしながら複数の品種を育てていますが、この日収穫した「クールガイ」という品種は、「歯ざわりが柔らかく感じる」と飯塚さんもお気に入りです。

朝早く、換気棒を手にした飯塚さんが、トンネルの窓を開けていく。

レタス栽培は「品種が50%、肥料が50%」と考えている飯塚さん。
栽培が終わった後は、ライ麦、エンバクなどを栽培して緑肥としてすき込んで地力を回復させたり、プラソイラーで土を掘り起こして水はけを改善したり、土作りに余念がありません。
慣行栽培では土に殺虫剤を混ぜて防虫する場合もありますが、「レタスが吸い込む可能性もあると思うんだよね」と考える飯塚さんは、行っていません。有機質肥料での土作りや農薬を極力使わない考え方は、お父さんの代から続いているものです。

収穫が終わった後の畑に、緑肥としてライ麦を植えている。

代々農家の飯塚家は、現在4代目。初代から2代目は、米や麦を中心に作っていましたが、お父さんの代からレタスを作り始めました。大地を守る会との取引も、もう30年以上。同じく茨城県内でメロンを生産している義理の兄が先に取引していたのを知り、飯塚さんから大地を守る会に電話をかけたのがきっかけなのだそう。
レタス名人・飯塚さんのレタスは、一度食べれば誰もが認めるおいしさ。会員さんの中には長年のファンも多く、会員さんの声で選ばれる「農家・オブザイヤー」にノミネートされたこともあります。
レタスというと、野菜の中ではそこまで目立つ存在ではないかもしれません。サラダの中になんとなく入っている脇役のようなイメージがありますが、飯塚さんのレタスは違います。柔らかさと力強さが同居していて、食卓で主役を張れる存在感。ノミネート時も、「葉の厚さ、柔らかさ、シャキシャキ感が絶妙で、今まで食べたレタスの中で一番おいしい」などの声が集まりました。

息子が受け継ぐレタスへの愛情

なぜ飯塚さんのレタスはおいしいのか。今回畑を訪ねてみて、その秘訣が垣間見えた気がしました。それはなにより、几帳面できっちりしたお人柄。頻繁に草取りがされていることがわかるきれいな畑や丁寧な作業に、人柄が表れているようです。
「ここはいつ種を巻いたんですか?」
などと質問すると、すぐにポケットから手帳を出して、正確に答えてくださいます。手帳には、どの品種をいつどれだけ植えたのか、記入してあるのです。

飯塚さんの手帳にはいつ種をまき、定植したのかなどがメモされていた。

さて、収穫したレタスは、トラックに乗せて作業場まで運ばれます。このあとはラッピングと出荷の作業です。こちらも3人で手分けして行います。
まずは春美さんが包丁で6〜7枚外葉を落とします。それを受け取るのは霧吹きとタオルを手にした雅弘さん。レタスについてしまった土や砂ぼこりを、水を吹きかけて拭き取っているのです。現在36歳の雅弘さんは、3歳の頃には包丁を持って外葉を切り落とす手伝いを始め、高校生の時点で農家を継ぐことを決めていたそうです。
柔らかいレタスに傷がつかないようにそっとタオルを当てる雅弘さんの優しい手つきからは、レタスへの愛情と、几帳面さがうかがえます。

レタス名人の真面目でまっすぐなレタス作り。次の代にもしっかり受け継がれていくからこそ、これからも食べ続けることができる。私たち消費者にとって何よりの安心と喜びではありませんか。

収穫されたレタス第1号がトラックに乗せられ運ばれていく。
出荷作業も家族3人で。一つずつ丁寧にラッピングし箱詰めされる。

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大地を守る会編集部

大地宅配編集部は、“顔の見える関係”を基本とし、産地と消費地をつなぐストーリーをお届けします。