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悠々と逞しく育つ山形村の短角牛

【NEWS大地を守る9月号】短角牛、悠々たり

山と人が育てた、牛の本来の食事である草を、気の赴くままに食べる山形村短角牛。

私たち現代人の食生活に寄り添っている牛。その姿を、どれだけ感じられているでしょうか。和牛の一つ「短角牛」を育てる、山形村短角牛肥育部会(岩手県久慈市)柿木敏由貴さんを訪ねました。

 

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牛と人が共生する短角牛の里

朝4時。しとしとと降っていた雨が上がり、深みを増した緑の香りが牧野一面に立ち込めています。艶やかな赤褐色の牛たちは、穏やかに、でも黙々と草を食んでいます。ときより顔を上げ、連なる山々を見つめると、「もぉー」。精悍(せいかん)な鳴き声がこだまします。

面積の95%が山林の岩手県久慈市山形町にある、短角牛の放牧地。傾斜地で歩き走り回り、足・腰、そして胃も丈夫に育ちます。

 

ここは、岩手県久慈市山形町、かつての九戸郡山形村。面積の95%は山林で、平地が少なく田畑が作れない、かつ冬は雪に閉ざされる厳しい自然条件に合う、炭焼きや雑穀の栽培、牛の飼育などで暮らしを営んできました。江戸から明治にかけて、牛は荷物を運ぶ重要な働き手でもありました。東北地方の山間で生まれ育った在来種の南部牛は頑強で忍耐強く、特有の赤褐色から「赤べこ」と呼ばれ、人々に親しまれていました。明治、イギリス原産のショートホーン種と南部牛を交配して生まれたのが、「短角牛」という名で知られる、4種ある和牛の一つ「日本短角種」です。昔から短角牛が育てられている岩手県久慈市山形町は、まさに短角牛のふる里でもあります。

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自然の摂理に沿って生きる

高く昇った太陽がじりじりと草木を照らすと、牛たちは木陰に身を寄せます。「暑い時はどうする?涼しい所に行くでしょ。牛さんたちも人間と一緒」。牛たちが自然と近寄ってくるのは、父親の代から短角牛一筋の、山形村短角牛肥育部会(岩手県久慈市)・柿木敏由貴さんです。12戸のメンバーが所属する山形村短角牛肥育部会は、主に東北地方で飼育される短角牛の中でも、独自の基準のもと「山形村短角牛」と名付けて育てています。

暑い時は木陰で一休み。豊かであり厳しくもある自然の中で忍耐強く。

見知らぬ人は一歩引いて見ていることが多い中、柿木さんには自然と近寄っていきます。

 

木陰での一休みを終え、山腹に出て行く牛たち。気の赴くままに生い茂る草を食み、子牛は母牛のお乳を一生懸命に吸っています。山形村短角牛の飼育方法は伝統の「夏山冬里」方式。春に「山上げ」という放牧を行い、牛たちは山で夏を過ごし、秋になると牛舎(里)に戻って冬を越します。

子牛は母牛のお乳を一生懸命に吸い、すくすくと成長します。

 

「牛さんは本来草を食べる動物。この放牧地では、おいしくなる時季の違いや植生の相性などを考えて、オーチャードグラスやイタリアンライグラスなど数種類の草を組み合わせて種を播く。海からの風『やませ』も吹くから、ミネラルもプラスされる。子牛は母牛のお乳だけで育って、山を下りる頃には約2・5倍の大きさになってるよ。山での放牧で、足・腰、そして胃も丈夫になる」。牛にとって当たり前の生き方ができる環境が、山と人により整えられています。

広々とした山を、のびのびと歩き、走り回ります。

自然交配で夏に新しい命が宿り、冬に誕生します。短角牛は自然の摂理に沿って生きています。

 

太陽の光を受けて眩しく映る緑の中を、子牛が走っています。ふと違う方向に目を向けると、大きめの牛がもう1頭の牛に覆いかぶさっています。「これが自然交配。夏に新しい命が宿って、冬に牛舎で出産を迎えます」と柿木さん。自然の摂理に沿って生きる牛たちは、逞しさを兼ね備えた悠々たる佇まいです。

 

「夏の放牧中に、冬に牛舎で与える飼料を育てる」と言う柿木さんが見せてくれたのは、牛舎の裏にある畑。「冬、牛さんのごはんになるとうもろこし。実だけでなく、葉や茎などすべてを乳酸発酵させて作る『デントコーンサイレージ』は、人間のごはんに例えると混ぜごはん。牛さんの胃の調子も整えてくれる」。その隣りには、干し草が一面に敷かれています。「干し終わったから、ロール状にして保管しようと思っていたけど、雨が降ってきたからまた乾かさないと」。飼料作りも〝自然に沿って〞です。

冬の牛たちの食事になるデントコーンサイレージや干し草も、柿木さんが育てて作ります。

牛舎でも、柿木さんが現れると、自然と近寄ってくる牛たち。

柿木さんはゆでた大豆も飼料として与えています。牛たちの大好物。

 

「牛さんの体調が悪い時は、地元の特産品でもある炭の粉をなめさせるよ。老廃物を吸収して外に出し、体調を整えてくれる」と話す柿木さんは、どこまでも牛の健康を気遣い、牛に合わせて生活しています。山形村短角牛の飼料は、サイレージや干し草など繊維質が豊富な粗飼料が中心で、すべてが非遺伝子組み換えのもの。各生産者の工夫で、素材や配合はさまざまです。

岩手県は炭の生産量日本一で、炭は牛の“お薬” としても活躍。

「山にお世話になっているから、炭焼きをやる」という炭の生産者・木藤古修一さん。

 

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牛肉をいただくということ

黒毛和牛に代表されるように、サシと呼ばれる脂が多い霜降り肉が「おいしい」とされ、また、牛肉を販売する際に日本食肉格付協会が行う等級の格付でも、サシが多いと評価が高くなる牛肉。その多くは、人工受精で生まれ、牛舎の中で一生を過ごした牛です。「運動をさせず、脂肪分を多く含む濃厚飼料ばかり与えて、とにかく肥らせ、最後に失明するかしないかで出荷するのがベストともいわれています」と柿木さんは話します。近年、赤身肉が注目されていますが、サシよりも健康な肉のうまみという趣向は、まだまだ浸透していません。


「畜産の目的は食べること。それは、命をいただくことです。だからこそ、命を全うする育て方をして、〝おいしく〞食べてほしい。黒毛和牛のように儲けることはできなくても、短角牛は家族や友達に自信を持ってすすめられる。牛も人も、いい気持ちで生きていきたい」。柿木さんは願いを込めて話します。

「カッキー」という愛称で、牛たちだけでなく(?)、大地を守る会の消費者の皆さんからも親しまれている柿木さん。

柿木さんは闘牛も飼っています。「食肉は死んでから価値が出るけど、生きているうちにも価値を」という思いで、地元の闘牛大会にも出場しています。


山形村短角牛肥育部会は、牛や自然に対する感謝を込めて、畜霊祭を行っています。その後の懇親会では短角牛の肉を囲み、生産者や関係者で意見・情報も交換しています。

畜霊祭後の懇親会で語らう、短角牛の生産者・関係者の皆さん。

串焼きやべこ汁など短角牛の料理を、有り難く囲みながら。

 

「ぜひ食べてって」と言われて口にした短角牛は、脂がさらっとして、赤身は噛むほどに味わい深い。まるで、私たちの本来の姿を、牛たちが教えてくれるかのように。


【コラム】
黒毛和牛97% 、短角牛0.6%
肉用の和牛4種における品種別頭数の割合は、霜降り肉の代表格・黒毛和牛97%に対して、短角牛は0.6%。注目を浴びつつある赤身肉ですが、まだまだ少ないのが現状です。一方、肉や料理のプロからはその実力を認められており、全国各地のお店で取り扱われています。「あっさりとしながらも濃いうまみの赤身と、しつこくなく香り高い脂身が魅力」と語るのは、青森県八戸市にある短角牛専門焼肉店の柳隆幸さん。心まで満たされるおいしさを味わいましょう。

 

山形村短角牛はこちら

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大地を守る社会貢献活動(CSR)をすすめる会

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