大地を守る会 企業情報[ソーシャルビジネス(社会的企業)]

フードマイレージ

食べものがCO2を出している

日本は食料自給率が40%と非常に低い国です。そしてその分、CO2を出しています。というと、えっ、と思われる方も多いのですが、食料自給率が低いということは、その分海外から食料を持ってきているということで、その移動には必ずエネルギーが燃やされ、その分CO2が出ているのです。当たり前の話なのですが、見たことがないので、普通のひとは、なかなか実感がわきません。フードマイレージというのは食料の移動距離がもともとの意味ですが、それぞれの食材の移動距離から排出CO2を割り出し、輸入食材よりも国産食材を選ぼうという呼びかけも含めて、フードマイレージ運動と呼んでいます。

大地を守る会は以前から「THAT'S 国産」運動をすすめ、食料自給率を高めよう、日本の農業を持続可能にしよう、と働きかけてきました。そこで、このフードマイレージという考え方、なるべくCO2を出さないためにも国産の食材を選ぼうという運動を、新しいビジュアライズの手法を使って広めていくために、何百という食材の国内外の主要産地を割り出し、距離を割り出し、データを整備し、それを元にウェブクリエーター玉利康延さんのちからもかりて、フードマイレージ計算器搭載のウェブサイトを立ち上げました。羽金和恭さんの撮影によるメインビジュアルも人気です。

CO2の新しい単位、ポコ。

計算すると食料の移動から出るCO2は、省エネと比べてもぐっと高く、国産の食材を選ぶ温暖化防止効果が意外と高いことがわかりました。これを何とか実感してもらいたい。そこで100g-CO2をひとつの単位として数える「poco(ポコ)」でフードマイレージを数えてみることにしました。そうするといろいろなものをひとつの基準でくらべることができます。

たとえばガソリン1リットル23ポコ。でんき1キロワット3.6ポコ。アイドリングストップ5分で0.6ポコ。5分のアイドリング・ストップで0.6ポコ。テレビを1時間消すと0.1ポコ。炊飯ジャーの保温をやめたら0.4ポコ。

エアコン冷房の温度設定を26度から28度にすると1日0.8ポコ。シャワーの使用時間を1日1分短くすると1日0.7ポコ。食パン1斤国産小麦のものを選ぶと1.1ポコ。うなぎ一串国産を選ぶと3ポコ。ジャガイモ国産1個0.7ポコ。キャベツ国産1個2.8ポコ。

食べものから出ているCO2は、意外と食べものを運ぶために使っている石油燃料からのものが多いのです。

フードマイレージの考え方は新しく、情報発信もまだまだこれからですが、このごろは新聞や雑誌、テレビなどで取り上げられることも多くなってきました。有機農業や農業の持続可能性と温暖化が同時に取り組める接点はなかなかなかったのですが、これからこのフードマイレージを足がかりにして、国民の9割といわれる環境に興味のある人の目を、もっと農業や漁業、林業などの第一次産業に向けていきたい、と考えています。