大地を守る会 企業情報[ソーシャルビジネス(社会的企業)]

日本むかし野菜

ちょっと珍しいけどなつかしい、ふるさとの野菜

ふだん、ごくふつうに親しんでいる野菜の多くは、クセのない、万人むけの味わいです。これらは、見た目がきれいで揃いもよく、大量生産・大量消費の市場のニーズにあわせて品種改良された「交配種(F1種)」がほとんどです。生産性や流通効率は良いものの、1代限りの性質のため、種を採ってまいても親野菜と同じようには育ちません。

一方、在来品種は、日本各地の農家が長年、栽培とタネ採りを繰り返しながら、そこの気候風土や地域特性をいかして育て、継承してきたもの。種の採種や栽培の手間、さらに収穫量も少ないというのがネックですが、土地本来の特性にあわせて育った個性豊かな形や味が魅力です。

高度経済成長を経て、効率や経済性を追求しつづけてきたこの数十年。「交配種(F1種)」の栽培は全国的に広まりました。その一方で、栽培に手がかかり、大量生産・大量流通に向かない在来品種はどんどん廃れていきました。「日本むかし野菜」は、そのような状況でも、「貴重な種を守りたい」という思いを持った生産者と連携した、在来品種の野菜の商品化シリーズです。

その魅力は、手間暇かけて育てられたからこその「おいしさ」、土地の風土に寄り添った生活、その豊かさを教えてくれる「生きた文化財」として価値、在来品種の野菜作りにチャレンジする意欲的な「生産者の笑顔」です。

手間暇かけて育てた野菜だからおいしい

「昔の野菜はもっと野菜の味がしておいしかった」というように、代々受け継がれてきた種から育つ在来野菜は、土地本来の特性にあわせて他にはない個性豊かな形や味に変化していきます。在来品種を育てる農家には、種をとるひと手間、少し手厚く管理するひと手間、さらに収穫時期がばらついたり量も少ないという苦労がありますが、手間暇かかる野菜だからこそ、美味しく育つのです。

「生きた文化財」としての魅力

農学博士の故・青葉高さんは「在来品種には食べものとしての価値だけでなく、歴史や文化を知るための文化的価値がある」「『生きた文化財』である」ということを提唱され、ほんとうに絶滅してしまう前に、こうした在来品種の保存を急がねばならない、と警鐘を鳴らしました。在来品種の野菜は、漬けものに加工されたり、郷土料理の材料となったりし、日本各地の豊かな食文化を教えてくれます。

在来品種の野菜作りにチャレンジする意欲的な農家を応援!

在来品種の野菜のめずらしさ、おいしさに魅力を感じて注文する消費者が増えることで、日本各地で「貴重な種を守りたい」という生産者が増え、収穫量も増えてきました。「交配種(F1種)」の野菜を育てるのとは違う手間や苦労があるからこそ、チャレンジする農家にとってもやりがいにつながっています。

1998年~大地を守る会の在来品種の野菜への取り組み

大地を守る会が在来品種に注目したのは、遺伝子組み換え作物が話題になりはじめた1998年ごろ。さまざまな観点から「種(タネ)を守る」ということをあらためて考えるうちに、在来品種の大切さにも気がついたのです。ひとたび種が失われてしまえば、二度と取り返しがつかない、何とか守らねば。その一心で、市場から消えてしまった品種の保存と普及をめざして「種プロジェクト」を立ち上げました。そして、2003年に在来品種の商品化シリーズとして「とくたろうさん」が誕生しました。2013年からはめずらしくておいしい在来品種の野菜をもっと広めたいという思いから、「日本むかし野菜」と名前を改めて販売をしています。