大地を守る会 企業情報[ソーシャルビジネス(社会的企業)]

菌茸類生産基準

【1】生産上の基本姿勢

きのこ生産者は、きのこの生産にあたり、利用する原材料は内容が明らかなもの、できる限り地域で自給できる資材を利用し、エネルギーと環境にも配慮した安全なきのこの栽培に取り組む。また遺伝子組み換えのおそれのある原料や重金属類を含むおそれのある原料、化学処理された栄養材や添加材は極力排除するべく努めるものとする。
原木栽培および菌床栽培の栽培および生産施設においての病害虫防除は農薬や化学薬品に頼らない生産を目指す。
きのこ生産者として地域の林業と農業との循環を心がけ、地域及び地域林業と農業の発展を目指す。

【2】生産基準

1.原木および菌床培地基材  <オガコ(チップ)、オガコ代替材、ワラなど>

推奨

すべて地域内で生産されたものを用いる。わらについては、地域で有機栽培されたものを用いる。

許容

地域内で生産されたものが入手不可能もしくは量的に不足する場合、生産地等の由来が明確な国産のものを用いる。

禁止

輸入された原木および培地基材の使用を禁止する。また、国産であっても生産地等の由来が明確でないもの、集成材由来のもの、ならびに古紙は使用を禁止する。
それ以外のものは、表1に定義する。

《表1》原木および菌床培地基材の具体例
菌茸(きんたけ)類一般 マッシュルームの特例
推奨 省略(基準文章どおり) 省略(基準文章どおり)
許容 省略(基準文章どおり)
  • 敷料などで使用されていた輸入ワラが、馬厩肥(ばきゅうひ)を製造する前の段階から混入していた場合。
  • 覆土として利用するピートモスは輸入されたものでもやむを得ないものとして許容する。
禁止
  • 輸入された原木。
  • 輸入された培地基材(輸入材由来のオガコ、コーンコブ、コットンハルなど)。
  • 国産であっても由来不明のもの。
  • 集成材由来のもの。
  • 古紙。
  • 遺伝子組換え技術を用いたもの。
  • 馬厩肥の製造段階以降に、輸入された原材料を使用すること。
  • その他は左項「菌茸類一般」に準じるが、遺伝子組み換えについては、どうしても代替資材が入手できない場合は、事務局との合意のもとで許容する場合がある。

2.菌床培地の栄養材、添加材など

推奨

すべて国内で生産されたものを用いる。国内で有機栽培されたものがあれば、その使用を優先する。

許容

国内で生産されたものが入手不可能、もしくは量的に不足する場合、生産地等の由来が明確で、食料として輸入されたものを用いる。 その際、有機栽培されたものが入手可能であれば、優先的に使用する。

禁止

遺伝子組み換え作物から生産された原料の使用は禁止する。ただし、どうしても代替資材が入手できない場合は、事務局との合意のもとで許容する場合がある。
輸入された米から生産された米ぬかの使用は禁止する。
非食用途で輸入された米麦由来のものの使用は禁止する。
それ以外のものは、表2に定義する。

《表2》菌床培地、栄養材、添加材などに関する具体例
菌茸(きんたけ)類一般 マッシュルームの特例
推奨 省略(基準文章どおり) 省略(基準文章どおり)
許容
  • 輸入された副原料のうち、許容されることがあるのは下記3点。
    1. 食料として輸入された麦由来のもの。
    2. 食料として輸入された大豆由来のもの。
    3. 食料として輸入されたトウモロコシ由来のもの。
  • これらを使用する場合、基準文章の条件を満たすと同時に、有機JASのものが望ましい。
  • 左項に加えて以下のものを許容する。
    1. 1)コーヒーの搾り粕
    2. 2)PH調整剤としての石こう(カルシウム資材)。
禁止
  • 遺伝子組換え技術を用いたもの。もしくは、遺伝子組み換え技術を用いていないことが確認できないもの。
  • 輸入米から生産された米ぬか。
  • 非食用途で輸入されたもの。
  • であっても由来不明のもの。
  • 集成材由来のもの。
  • 古紙。
  • 菌床への化学肥料の混合。
左項に準じるが、遺伝子組換えについては、どうしても代替資材が入手できない場合は、事務局との合意のもとで許容する場合がある。

3.原木および菌床培地の管理

許容

菌床培地の殺菌は、蒸気殺菌のみとする。

禁止

原木および菌床培地に農薬を用いることを禁止する。

4.生産のための用具、生産施設およびその周辺の管理について

推奨

全ての工程において、物理的防除(通風、排水、日照、温度、原木や培地の保管方法等の管理、虫よけネットの使用等)を忠実に行なうことで、雑菌や害虫の繁殖を極力防止する。特に菌床栽培においては、栽培施設内の衛生管理に留意すること。

許容

施設、用具類の清掃、殺菌に薬品を使用する場合は、消毒用アルコールもしくは食品添加用アルコール、次亜塩素酸ナトリウム、逆性石けん(塩化ベンザルコニウム)、オゾンの4種のみとする。

禁止

農薬(除草剤を含む)の使用を禁止する。

禁止例外

大地を守る会事務局との協議により、農薬取締法の範囲内で農薬の使用が許可される場合がある。

5.栽培開始から出荷完了までに使用する水

栽培開始から出荷完了までの期間、菌茸類の管理には清浄な水を用いる。

6.包装資材について

出荷時の包材については、内分泌かく乱物質(環境ホルモン)の疑いのある資材を使用しない。また、塩化ビニル、塩化ビニリデンは使用しない。
また、収穫物の品質を損なわない範囲で、できる限り省資材とするように努める。

【3】本基準に則った生産および出荷を行なうための原則

1.大地を守る会への入会

本基準に則って出荷する生産者は、大地を守る会の会員になるものとする。

2.約定書の締結

生産者会員は、大地を守る会事務局との間に、生産および取引に関しての基本的な約束事項を定めた約定書を取り交わすものとす

3.生産施設の登録

生産者会員は、事務局に対し、本基準に則った生産を行なう生産施設を登録しなければならない。

4.貯蔵・出荷の区別

生産者会員は、菌茸類栽培管理仕様報告書を定期的に事務局に提出しなければならない。

5.生産に関するデータの提出

生産者会員は、菌茸類栽培管理仕様報告書を定期的に事務局に提出しなければならない。

【4】生産方法の確認

1.確認行為

確認行為は、「栽培責任者」と「確認責任者」が以下のような責任をもって連帯して行なう。

(1) 栽培責任者

「栽培責任者」は、当該菌茸類を生産する生産者会員個人もしくは団体であり、本基準に即した菌茸類の生産および出荷を行なう。

(2) 確認責任者

「確認責任者」は大地を守る会事務局とし、「栽培責任者」による菌茸類の生産および出荷が、本基準に即して行なわれていることを確認する責任を負う。

(3) 基準確認行為

基準確認行為には、菌茸類への重金属、農薬、その他意図せざる化学物質残留の有無等について、必要に応じて分析等の検証を行なうことを含む。

(4) 虚偽の申告

虚偽・不当な申告を行なうなどして本基準の信用を著しく損うことがあった場合、事務局は当該栽培責任者との取引を停止する。

(5) 「有機農産物」と称する場合の条件

「有機農産物」(「転換期間中有機農産物」を含む)と称して出荷・販売を行なう菌茸類については、JAS法に基づき、第三者認証機関(登録認定団体)による認証を受けるものとする。

2.第三者認証機関(登録認定団体)による監査と認証

確認行為は、「栽培責任者」と「確認責任者」が以下のような責任をもって連帯して行なう。

(1) 第三者認証機関による監査

株式会社大地を守る会が販売する菌茸類がすべて本基準に適合していることを確認するために、第三者認証機関による監査を適宜実施する(自生採取のものを除く)。

(2) 現地監査受け入れの義務

「第三者認証機関により現地監査の指定を受けた生産者(団体・個人)は、監査を受け入れなければならない。

(3) 生産者独自の第三者認証取得

生産者が、第三者認証機関によるJAS有機認証を自主的に取得した場合は、その努力と結果を評価し、監査対象から除外する。ただし認定機関による認定証ならびに判定結果通知等の関係書類を事務局に提出するものとする。

3.生産行程管理規程等の策定

確認行為の具体的手順と記録管理のために必要な規程およびマニュアルを別途定める。

【5】表示

大地を守る会で取り扱う菌茸類(自生採取のものを除く)については、「栽培責任者」と「確認責任者」の合意のもとに、以下の要件を最低限満たした表示もしくは情報の提示を原則とする。

1.表示事項

  1. 本基準に準拠している旨。
  2. 栽培内容の明示(原木/菌床)。
  3. 「有機農産物(転換期間中有機農産物を含む)」と表示する菌茸類については、認証を受けた登録認定機関名が明記された有機JASマークの貼付。
  4. 「栽培責任者」の名称および所在地。
  5. 「確認責任者」の名称および連絡先。
  6. 上記の基本事項のほか、栽培方法の特徴や独自の表現等、「栽培責任者」が特に希望する表示がある場合については、「確認責任者」の合意を条件として容認されるものとする。ただし、あいまいな表示、優良誤認を招くような表示は禁止する。

2.表示様式

表示は、菌茸類の流通上の形態に応じて、容器包装類、通信物、掲示物、その他の媒体を利用し、最適と思われる様式で行なう。

3.表示の簡略化

上記「1.表示事項」で示された全項目について表示することを原則とするが、菌茸類の形態や表示媒体上の制約、その他の事情によりそれが難しい場合には、簡略化して表示することができる。ただしこの場合でも、全表示事項についての情報を正確に提示できるシステムを用意するものとする。

4.情報公開の原則

事務局は、消費者や販売先より表示内容についての情報の提供や公開を求められた場合は、速やかに必要な情報を提供・公開することとする。

【6】内規集

(1) 『地域』とは

社会通念上、人が無理なく往復できる範囲のこと。必ずしも行政区域と同一とは限らない。また、距離によって一律に規定されるものでもない。

(2) 『生産施設とは』

本生産基準における「生産施設」の範囲を以下に規定する。

  1. 屋外の原木栽培の場合…原木栽培する区域(玉切り、植菌、ほだ場など)全て。
  2. ハウスによる栽培の場合…そのハウス内全域。
  3. 接種室、培養室など各々の区域を外界と仕切ることができる構造を持った建築物の場合…それら各々の区域。

(3) 『生産施設の周辺』とは

本生産基準における「生産施設の周辺」の範囲を以下に規定する。

  1. 屋外の栽培ならびにハウスによる栽培の場合
    1. 栽培する区域と区域、もしくはハウスとハウスの間。
    2. のり面(道路と、栽培する区域もしくはハウスの間)。
    3. 栽培する区域もしくはハウスに隣接する、自分が管理する敷地。
  2. 接種室、培養室など各々の区域を外界と仕切ることができる構造を持った建築物の場合は、「周辺」を設定しない。すなわち、「生産施設の周辺」に関する基準項目の適用は除外される。

(4) 『清浄な水』とは

本生産基準における「清浄な水」の条件を以下に規定する。

  1. 水源が明らかであること(水道水・地下水など)。
  2. 水道水以外の原水を使用する場合、上流の環境汚染の有無、もしくは汚染の恐れの有無を確認していること。
  3. 水道水以外の原水を使用する場合、水質検査を定期的に行なっていること。