2013年10月10日

命を頂く企画第2弾

CSR消費者運営委員4年目の陶武利と申します。

大地を守る会の商品でもある「お肉」。
食材と言えば、それまでですが、生き物が大好きな私は、
昔から「肉を食べる」=「動物の命を奪う」という関係に常に葛藤を持ち続けてきました。

「命を頂く」ということは、私にとって大きなテーマですが、
食品流通に携わる人にとっても避けては通れない重要なプロセスの一環であると思います。

実は、運営委員に就任当初から、このテーマについて社員の方と一緒に考える機会を設けたい
と思っていました。
ここにきて、ようやくその機会を作ることができましたので少し報告させて頂きます。

7月に、初回として「いのちの食べ方」というドキュメンタリーを見て、
参加者で感じたことを共有しました。

そして第2段として、「屠場見学」を実施することになりました。
まずは鳥からということで、福島のエーアンドエーブロイラーさんを
「大地を守る会の社員」6人の方と一緒に訪ねてきました。

こちらの会社では、「大地を守る会」の多くの鳥が処理されています。
今回処理されていた鳥は他社さんのものでしたが、プロセスとしては同様ですので
簡単に流れを紹介したいと思います。

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まずは、羽や内臓を取り除かれた状態の鶏を「モモのついた足部分」と
「胸肉や手羽がついている体部分」に分ける作業が機械によって行われます。
その際、正確に切り分ける為には、一羽一羽の特徴を把握する必要があるそうです。

この機械は、一羽ずつの特徴を把握する為に画像を撮影する装置です。
特徴を把握された上で、最適な解体が行われています。
2つの部位に切り取られお肉は、それぞれ別のラインへ流れていきます。

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体部分は、手羽、首等を外されこちらの胸肉ラインに入ってきます。
奥にある機械が、自動で肉を肋骨から外し、更に余分な骨を除きます。

人の手が入っているのは、機械が抜けきらなかった骨をとったり、
形を整えたりして調整している部分です。
最終的にはやはり人間の目と手の感触が重要だそうです。

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こちらは、余分な所や血の残った部分、そして小骨が残っている部分等を切り落とした部位です。
東南アジアにいけば、鶏なんて骨付きが当たり前だし、
魚の骨のことを考えれば気にすることもないかと思いますが、
日本では鳥肉に小骨が残っているのは駄目なんだそうです。

誰が決めたのか知りませんが...。実はこの部分、廃棄されてしまうとのことです。
そのまま十分焼き鳥ができるほどしっかり肉が着いています。
この辺りは消費者の考え方次第なところがあると思います。
私はこの肉をきちんと利用してあげたいと強く思いました。

大地を守る会で、是非「もったいない鶏」として活用して下さい!期待しています♪

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こちらは、砂肝の加工。
昔からどうやって黄色の丈夫な袋を取り除くのか気になっていたのですが、
中央にある巻き取り機に引っかけて取り除いていました。

この作業のみ、手袋をしていません。
手袋があると、指が中に巻き込まれる危険があるからだそうです。

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骨なし肉は、約2kgに計量された後、真空パックにされます。
この状態でお店に流通していくようです。物によっては2次加工業者へ送られ、
小分けされたりトレー入りにされるようです。

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最後に、案内して頂いた方に手さばきで鶏を解体して頂きました。
私も解体は何度もやっているのですが、やはりプロの技は凄いですね。
実にリズミカルにさばかれていきました。
機械化されていても手さばきは必要な技術だそうです。

なぜかというと、地鶏のように大きさにバラツキがあって機械に入れられない鶏は、
今でも手で解体するしかないからだそうです。
「大地を守る会」で取り扱っている北浦シャモも、
こちらの処理場で「手さばき」されているとのことです。

当然、処理できる羽数は機械よりも少ない訳です。
解体にかかる費用も肉の価格に反映されているんだと納得しました。

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エーアンドエーブロイラーさんでは、なんと手さばき用のラインが予め設けられていました。

金属の枠が吊してあるラインがありますが、写真の左側の列が手さばきライン。
右側の列が機械ラインになります。
ここなら、地鶏の解体も安心して任せることができるんでしょうね。

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解体の見学を終えた後、外に従業員の方が皆出てこられました。

実はこの日は、鶏の魂を供養する年に一度の特別な日だったんです。
お坊さんも呼んでの本格的な供養祭です。

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立派な石碑もあり、我々も参列させて頂きました。

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日頃の感謝の気持ちを込めて。

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私も、「命を奪って生きている」ことへの懺悔と感謝の気持ちを込めて手を合わせさせて頂きました。

「生き物さん、ご免なさい。そしてありがとうございます。」

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従業員の方も全員、ご焼香されていました。毎日数千羽の鶏が処理されていく中、
命の重みも軽くなってしまうこともあるかもしれません。

でも、こうやって今一度鶏の命を頂いて生きているということを振り返り、
受け止める機会を設けているこのエーアンドエーブロイラーさんは、
本当に素晴らしい会社だと思いました。

以上、鶏の解体現場をかいつまんで紹介させて頂きました。
今回紹介したのは、ほんの一部ですので、
こんな内容で鶏の解体を分かったつもりには決してならないで下さい。
きっと、今回参加された社員の方は同じ気持ちだと思います。

現場に行ってこそ分かる感覚がありますし、説明だけで伝わるものではないと思います。
未だ現場を訪れたことのない食品流通に関わる方がいらっしゃるなら、
是非とも足を運んで欲しいと思います。

今回は、事故渋滞の為に、屠畜の作業や羽抜きの作業に間に合わない到着となってしまいましたが、
それを見る為にも、また是非行きたいと思っています。
今度はキャッチングと言って「鶏を夜中に捕まえる作業」からやったらどうだという
素晴らしい提案も頂きましたので...。

「命を頂く」というテーマについては、第3段、4段と続けていきたいと思っています。
ゆくゆくは、会員さん向けにも企画ができればと思っていますが、
まずは社員の方と共有して企画できる土壌を作ることから始めたいと思っています。

最後に、このような機会にご協力をして頂きました多くの関係者の方々には、
心から感謝申し上げます。非常に良い勉強になりました。

どうもありがとうございました。
また別の企画ができましたら報告できればと思っています 。

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