2008年4月26日アーカイブ
2008年4月26日
春の総人足
日本列島の彼方此方 (あちこち) で、今年も米づくりが始まっている。
世界的に穀物が高騰する中で国内の米価は下がっても、
地球の反対側の熱帯林が大豆畑に変わってるのに減反を強化する国で、
当たり前のように田の準備に入ってくれる農民たちがいる。
福島県喜多方 (旧山都町) の棚田で米を作っている浅見彰宏さんから、
例の案内が届いている。
前にも紹介した、堰 (水路) の清掃作業、「春の総人足」 のお誘いである。
まるごと書き写してみたい。
このところ話題にしてきた有機JASよりも大切なものがここにあると思うのだ。
喜多方市山都町本木および早稲谷地区は、町の中心部から北に位置する
併せて100軒足らずの小さな集落です。
周囲は飯豊山前衛の山々に囲まれ、濃緑の森の中に民家や田畑が点在する静かなところです。
そんな山村に広がる美しい田園風景には、ひとつの秘密があります。
それは田んぼに水を供給する水路の存在です。
水路があるからこそ、急峻な地形の中、川沿いだけでなく山の上部にまで
田んぼが拓かれ、田園風景が形造られているのです。
その水路は本木上堰と呼ばれています。
早稲谷地区上流部から取水し、早稲谷川右岸をへつりながら下流の本木地区大谷地まで
山中を延々6キロあまり続きます。
水路の開設は江戸時代中期にまで遡り、そのほとんどは当時の形、
すなわち素掘りのままの歴史ある水路です。
深い森の中を澄んだ水がさらさらと流れる様を目の当たりにすると、
先人の稲作への情熱が伝わってきます。
しかし農業後継者不足や高齢化の波がここにも押し寄せ、
人海戦術に頼らざるを得ないこの山間の水路の維持が困難な状況となっています。
水路が放棄されたとき、両地区のほとんどの田んぼは耕作不能となり、
美しい風景も失われてしまいます。
もっとも重労働である春の総人足 (清掃作業) のお手伝いをしてくれる方を募集しております。
皆さん、この風景を守りつづけるために、是非ご協力ください。
浅見君からはじめてこの作業の話を聞かされたのは、昨年2月の 「大和川交流会」 の席だった。
米と水と人の手の和でつくられる日本酒を愛する者として、
「行くしかないね」 が僕の答えだった。
昨年の様子は過去の日記を参照いただくとして、
(12月8日:http://www.daichi-m.co.jp/blog/ebichan/2007/12/08/
7月10日:http://www.daichi-m.co.jp/blog/ebichan/2007/07/10/ )
今年も作業日は 5月4日に行なわれる。
浅見君からのメールによれば、
昨年は降雪量が少なかったものの、水路には雪折れの木や崩落ヵ所が多く、
昨年よりも苦戦しそうだとのこと。 ......ヤな予感がするが、行くしかない。
山あいの小さな集落の人々の手で守られている水路。
その水路があることによって、麓の田園も恩恵を受けている。 我らが 『種蒔人』 も-。
これこそ農業の外部経済 (それがあることによって得られている経済効果) =力そのものであって、
この維持は、この国 (列島) の資産を守ることに他ならない。
もちろん地元のお年寄りたちは、お国のために骨を折っているのではない。
水路の補修を終えたあと、
「ああ、これで今年も田んぼに水がくる」 と素直に安堵していた
地元の老生産者の表情を覚えている。
当たり前の営みが育んだ自然観が、この国の豊かさの土台であったし、
私たちの精神世界の源でもあったことを、彼らから教えられたものだ。
この日記を読んでいただいた方で、参加してみようかという方がいらっしゃいましたら、
どうぞお問い合わせください (今からでも大丈夫だよね、浅見さん)。
コメントで投稿していただければ、個別に対応させていただきます。
GWに暇をもてあましている大学生とか、いませんか?
もちろん女性でもOKです。