2008年5月 8日アーカイブ

2008年5月 8日

カンブリア・・・

 

さてさて、お騒がせのテレビ東京 『カンブリア宮殿』 である。

放送された翌日 (6日) から、反響は予想をはるかに超えて、

入会問い合わせを受ける部署の電話回線が一杯々々になった。

ホームページでお詫びのお知らせがアップされたほど。

 

周囲もこの話題で喧しい。

しかし、そんな突如降って湧いた "嬉しい悲鳴" とは裏腹に、私の心は晴れないでいる。

私の生産者に対する監査のところでは、案の定、あの場面が編集されていたから。

ああ、やっぱりここんところが "インパクト" ってやつなんだね、である。


隠すつもりなど毛頭ないよ。

だから、テレビカメラの前でも潔く、堂々とやったつもりだ。

でもね、もっと自慢したい場面もあったんだ。

なのにね。

道路の脇に撒いた除草剤と、アブラムシびっしりの大根・・・の二場面。

黒沢賢一さんのプライドとしては、忸怩たる思いに違いない。

虫にやられた大根は、「これぞ無農薬の証し!」 とか言われても、

プロの生産者としては 「こんな状態は恥ずかしいんだよ」 と漏らしていた。

『無農薬だって、ホントはもっと上手なんだ、オレは』 と叫びたかったことだろう。

道路脇の除草剤だって、できることなら撒きたくなんかなかったんだし。

向かいの畑に草の種を飛ばすことを、無農薬の生産者はとっても気を使う。

地域の目はまだまだ、けっして彼らに甘くはないのだ。

ごめんね、黒沢さん。

オレがもっと上手に説明できていたら、もう少しいい場面が採用されたかも知れないと思う。

 

大事な一人の生産者が、番組の '盛り上げ役' みたいになってしまって辛い。

しかし、さぞや黒沢さんはご機嫌ななめかと思いきや、

意外とサバサバしたもので、

「まあ、農家にはこんな悩みもあるということで、現実を知ってもらってよかったと思う。」

 

こっちが救われたような気分になる。

  

スタジオでの、村上龍さん、小池栄子さんの質問に対した藤田社長は随分穏やかな感じで、

こちらは大変好評である。

強い期待を持って見た方には、話の内容に物足りなさを感じたところもあると思うけど、

ああいう場所で落ち着いて言葉を選びながら話すのは、かなり難しいし、

藤田のしゃべりも相当カットされたようなので、まあ許してやってください。

 

格差社会の拡大と食料高騰、そんな中での安全な食の安定供給は可能か、

というテーマも、どの視点から応えるかで全然ウケは違ってくる。

藤田が語れなかった (カットされた) 部分は、いずれフォローしてみせるつもりです。

もちろん、黒沢さんへの借りもね。

 

それにしても編集恐るべし、だな。

あれやこれや、埼玉に三浦に、岩手・山形村から青森のニンニク生産者・留目さんまで、

フィルムに収めた時間は、たっぷり100時間は優に越えたと思うのだが、

見事な切りっぷりである。 全部ひっくるめて買い取りたいくらいだ。

 

加えて、この反響。

世間の耳目が我々の活動に向かれてきたということは、嬉しくもあるが、

それだけ世の中の病いが進んできているということなのかもしれない。

また注目されるってことは、批判の目も厳しくなるってことだから、

大地諸君! 酔っ払って駅の階段転がってる場合じゃないです。

 



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