2012年11月25日アーカイブ
2012年11月25日
福島の海を考える
昨日(24日)は、
中小企業診断士の方々による流通問題の研究会に呼ばれ、講演した。
メンバーは診断士の資格を持って多様な業界に籍を置く方々で、
3連休の真ん中の夜にも拘らず、
大地を守る会の話を聞きに来てくれるのかと思うと、
人数に関係なく手は抜けない。
パワーポイントのスライドだけでなく、紙資料も用意して臨んだ。
与えられたテーマは、
「食品の安全・安心に向けた取り組みを通じ、今後の流通を考える」。
大地を守る会の流通事業の概要について、組織論から食に対する理念も含め、
歴史を辿りながらお話しさせていただいた。
放射能対策の取り組みについての関心も高く、
質疑では放射性物質の基準のあり方にまで及んだ。
何か一つでもお役に立つ情報が提供できたなら嬉しい。
講演後は、お誘いもあり、居酒屋で懇親会。
他人事ながら、皆さん家庭のほうは大丈夫なのでしょうか・・・
さて、遅れ遅れになりながら、ではあるけれど、
この日のレポートも記しておかなければ-
11月18日(日)、前日の 「藤本敏夫没後10年を語る」 会を終えて、
肩の荷がひとつ下りたところでボーっと過ごしたい日曜日だったのだが、
気持ちを取り直して、朝から品川にある東京海洋大学に出向き、
「福島の海と魚を知ろう」 というワークショップに参加した。
主催は 「東京海洋大学・江戸前ESD協議会」 。
お誘いをいただいたのは、海洋科学部准教授の川辺みどりさん。
大地を守る会の会員で、三番瀬のアオサ・プロジェクトや
専門委員会 「おさかな喰楽部」 の活動にも関わってくれている。
ちなみに 「ESD」 とは、
「Education for Sustainable Development」
- 持続的発展のための教育 - の略。
今回の参加動機は、
福島の漁師さんたちの " 今の声 " が直(じか) に聞けることと、
海洋汚染の何か新しい情報が手に入らないか、という期待だったのだが、
後者に関しては未だ継続調査の段階で、
安全性について明解に語れる状況ではないと再認識させられたのみ。
例えば、マダラやアイナメといった魚種で、
相当に低い値のデータが蓄積されていく中で、突然濃度の高いサンプルが出る、
といった具合なのだ。
基準値を超えたものが一本出るだけで、出荷は制限される。
そんな状況下で、相馬原釜(はらがま) 地区の漁師さんたちは、
魚を獲るためではなく、瓦礫撤去や調査のために船を出す日々が今も続いている。
この日来られた方々は、「相馬漁業産直研究会」 という組織を立ち上げ、
新たな産直ルートの開拓や消費者との交流などを進めてきたところで
震災と原発事故の直撃を受けてしまった。
ホームページでの直販ページも開店休業状態である。
お店を開きながら、棚に並べる魚がない。 やり切れない話だ。
3.11当日の様子や被害の悲惨さが語られ(家族を亡くされた方もいる)、
何としても漁業を再建したいという思いでやっているが、
トンネルの出口が見えないのが辛い・・・・・
淡々と語る4人の漁師さんたち。 年齢は30~50代か。
脂が乗った世代だけに、この悔しさは僕らの想像を超えたものだろう。
漁師さんの話を聞き、放射性物質の動向をおさらいした後は、
参加者同士で問題点と方策について話し合う時間となる。
考えたことをポストイットに書き、模造紙に貼りながら、
テーブルの意見をまとめ上げていく。
最後にテーブルごとに発表し、質疑をやって、全体のまとめへと進む。
不安が拭えない原因は、やはり情報の信頼性の問題が大きい。
そして専門家の役割へと。
基準と安全性についてのリスクコミュニケーションをどう進めればいいのか、
という迷いも見受けられた。
リスクコミュニケーションがうまくいかない理由は・・・
自分なりに回答の鍵を持っているつもりだが、まだうまく構成しきれてないことも知る、
色々と考えさせられるワークショップとなった。
福島と海の問題については、
11月14日に東大で開催された一般向け講演会も聴講したので、
次にその報告も重ねてみたいが、
とりあえず、今日はここまで。
海洋大学を後にして、午後3時半、日比谷公園を覗いてみる。
『土と平和の祭典 2012』 は、前日の雨とうって変わって、
秋晴れの清々しい天気の下で、たくさんの人出で賑わったようだ。
日が暮れていく時間帯ということもあって、
人の流れは帰る方向に変わりつつあったけど、
それでもまだステージは充分盛り上がっている。
あとで聞いた話では、登紀子さんのボルテージは
前夜からさらに上がっていたとのこと。
大地を守る会のブースは、すでに完売。
反応は上々との事。
片づけも終わって、「お疲れ様でした!」 。
二日連ちゃんで疲れ気味のスタッフもいて、ブース組はこれにて解散。
僕も上がらせてもらう。
お登紀さんや Yae ちゃんのステージもパスしちゃって、すみません。
ま、あとは元気な若者たちにお任せで。