2011年11月 5日アーカイブ
2011年11月 5日
米と塩と、酒 -原発を止めた町から
二つのシンポジウムの報告を約束したのだけど、
ベトナムに飛ぶ前にどうしても書いておきたいことが、もう一つ。
10月6日付の日記に書いた一節。
3日に巣作りを終え、4日は高知に飛ぶ。
「放射能対策特命担当」-このミッションを進めるからには、
まずはこの人に仁義を切っておきたかった。
20年以上前に原発計画を止めた男、窪川(現四万十町) の島岡幹夫さん。
15年ぶりの表敬訪問。
僕がこの任務を受けるにあたって、自分に言い聞かせたのは
「希望を示せなければ、全うしたことにはならない」 ということだ。
その意味で、この先駆者を訪ねることは恩師への報告のようなものだったのだけど、
それ以上に、ここは何より、先進地なのである。
この間しつこいくらいに 「備蓄米」 産地 (稲田稲作研究会とジェイラップ) の
取り組みを書いてきたけど、僕にとっての先駆的モデルは、ここにある。
僕と島岡さんとのお付き合いの発端は、原発ではない。
減反政策とのたたかいだった。
米が余っているからと言って、なぜ国から減反を強制させられなければならないのか。
生産調整などというものは、民の力 (主体性) に任せるべきだ。
それぞれの地域づくりと結びつきながら。
減反政策の失敗は、滋賀県の面積相当分の耕作放棄地が示している。
地球人口70億に突入した今日、耕地を荒らす国など、ありえない。
制度を強制しておいて、
荒らしたのは 「公」 じゃなく 「民」 だ、という政治家や官僚が、僕は大嫌いだ。
言っとくけど、社会科学徒の前では通用しないからね。
島岡幹夫にとっては、原発も減反もいらん、この町はワシらの手で作らせてよ、
ということだったんだと思う。
10月4日、秋晴れの日本列島を飛んだ。
あとは、
採用いただいた " 原発を止めた男たちが対案で示したアイテム " 3品
の同時販売にあたって、営業サイドに投げた粗原稿ですませたい。
原発を止めた町から生まれた、米、塩、酒、のコラボに挑戦してみました。
会員の皆様には、メニュー148で同時投入です。
会員外の方は、ウェブサイトで購入できます (近々登場)。
コンセプトは、「原発止めても、楽しう生きとりますきに!」 って感じか。
原発を止めて23年、
美しいふる里づくりは今も続いています。
高知県窪川町(現四万十町) で、
無農薬での米作りに励む島岡幹夫さんのヒノヒカリをお届けします。
島岡さんは1980年代、
町の原発誘致計画を8年かけて止めたリーダー。
原発に依存しない美しい地域づくりを目指して、
いったんは対立した農家も巻き込みながら有機農業の仲間を増やし、
耕作放棄された棚田の再生や森林保全そして自然エネルギーの創造と、
島岡さんの " どこよりも美しいふる里づくり " への挑戦は
尽きることなく今も続いています。
島岡さんたちは今、耕作放棄された棚田を開墾し直している。
この上の山林も手入れして、子どもたちの体験と憩いの森にしたい、と語る。
「ワシらの世代がやれることは、そんなことやろ、エビスダニ君。」
タイの農民自立のための支援活動も長く続けていて、
タイ北部のタラート村で 「島岡農業塾」 を開き、
私財を投じて3つ目の池を完成させました。
村の人々は 「島岡基金」 として大切に運営しています。
「原発に頼らんでも暮らしは守れる!」
-信念の男・島岡幹夫が育てた " 未来への懸け橋 "
のようなお米です。
限定70俵。 ぜひ食べて応援してください!
写真左は、二日間案内してくれた 「高生連」 代表・松林直行さん。
佐賀県出身ながら、高知大学時代に学生運動と原発問題に立ち会うこととなって、
この地に根を生やす羽目になってしまった (と僕は解釈している)。
島岡幹夫・愛直(まさなお) 親子と一緒に、次にに向かったのは
旧大正町にある、無手無冠 (むてむか) 酒造さん。
社長の山本彰宏さんは酔狂な人で、
店をたたんだ銀行の支店を買い取って、こんなふうにしてしまった。
四万十川焼酎銀行・・・
口座を開こうか、とも思ったが先が不安なのでやめた。
店内の中で、山本彰宏・頭取! を囲んで島岡親子。
う~ん、絵としてはどうも・・・ 使えないね。
しかし、山本社長には、こっぴどくやれれた。
「3.11のあと、大地はもっとやってくれると思うとったけど、なんかイマイチや。
もっとガーンとやってくれ!」
人の苦労も知らんと・・・ 高知のクソ親父め。 くやしい。。。
普段は饒舌な島岡さんが、ただニヤニヤと笑っている。
以下、宣伝の原稿より。
「美しいふる里づくり」 を陰で支える
四万十純米酒
高知県窪川町(現四万十町) の島岡幹夫さんが育てた
無農薬米を原料とした、大地を守る会オリジナルの純米酒です。
「その土地の匂いがする酒を醸したい」 をモットーに、
どっしりとした濃醇タイプに仕上がっています。
社名の 「無手無冠(むてむか) 酒造」 は、
一切の混ぜものをしない(「無添加」 から) というポリシーを表わしています。
島岡さんとのお付き合いの中から生まれた、
無農薬栽培を支え、「美しい里づくりに貢献する」 日本酒。
続いて、山間部の大正町から一気に下り、太平洋を望む黒潮町へ。
土佐の海を守らんと生まれた天日・手揉み塩
「美味海(うまみ)」
( 地元の杉を使った手づくりのかん水設備。
海水を何度も循環させ、海水の6倍まで濃縮させます。)
土佐・黒潮町の浜から汲んだ海水を、太陽と風が濃縮させてゆく。
それを手で優しく揉み、音楽を聴かせ、じっくりと結晶させることで、
塩が 「美味海(うまみ)」 になりました。
自然エネルギーの力を最大限に生かして、
ひと粒ひと粒に微量元素(ミネラル) が凝縮された、いのちの母なる塩。
窪川町の原発誘致計画に対して、
「自然豊かな土佐湾には、原発ではなく、天日塩のタワーを!」
という対案によって生まれた塩づくりも、
今では天日塩を振りかけただけの鰹のタタキが静かなブームになるなど、
高知県自慢の特産品へと成長しました。
まろやかで甘味を感じるお塩。素材の味を引き立たせてくれます。
おにぎりに、天ぷらや刺身のつけ塩に、焼き魚に、他なんでもOK。
「海工房(かいこうぼう)」 代表の西隈隆則さん。 1982年「生命と塩の会」設立より、 土佐の黒潮とともに生きてきました。
今宵は龍馬になった気分で、
南国土佐の " どこよりも美しい里 " にかける男たちと
黒潮に思いを馳せながら、
MSC認証・一本釣りカツオに美味海の塩をふって、一献。
-は、いかがでしょう。
ニッポンを洗濯しちゃりたく候。
原発なんかないほうが、豊かになる。
自立心と創造力が、未来を建設する!
以上、提案でした。
では、いざベトナムへ-
戻りは11日・・・の予定です。