2012年2月21日アーカイブ
2012年2月21日
絆に感謝! 大和川酒造交流会
とにかく、これはなんとしてもアップしておきたい。
2月11日(土)、第16回 「大和川酒造交流会」。
1994年2月、前年の大冷害を乗り越えて、
大地を守る会オリジナル純米酒第一号が完成した。
会員から名称を募り、そのお酒は 「夢醸」(むじょう) と名づけられた。
みんなの夢を丹念に醸(かも) してゆこう、という思いが込められている。
西暦2000年。 21世紀を迎え、「夢醸」 は 「種蒔人」(たねまきびと) と改名した。
どんなにつらいときも、たとえ絶望の淵にあっても、明日のために種をまく。
そんな農民の魂に学びながら、希望の種をまき続けよう。
そして今年。
数えて19回目の酒造りは、初年度以来の大ピンチの年となった。
震災に加えて原発事故。
原料米をつくる福島県須賀川市・稲田稲作研究会(ジェイラップ) では、
ダムの決壊まであって(現在も行方不明の方がいる)、
4月に入った時点でまだどれだけの作付ができるのか、読めない状態になっていた。
放射能の不安もあった。
酒米どころではない、というのが正直なところだったと思う。
それでも彼らは、「種蒔人」 は途絶えさせるわけにはいかないっすよね、
と踏ん張ってくれた。
つらく厳しいなかで、産地リレーが行なわれた。
苗作りまでは稲作研究会で行ない、その苗を会津・喜多方までトラックで運んで、
大和川酒造の自社田(大和川ファーム) で栽培を行なってくれたのだ。
18年間、淡々と続いてきた " 育て、醸し、飲む " リレー。
- この絆こそが、今年の 「種蒔人」 を完成させたのだ。
今年の酒は、忘れない。 一本は死ぬまで取っておくと決めた。
発酵途上の吟醸酒、大吟醸酒・・・を試飲させていただく。
至福のひと時。
今年の 「種蒔人」 は、二日前に絞られていた。
いつもこの交流会の日に絞れるように仕込みに入るのだが、
そこは " 醗酵 " という世界。 いつもいつも計算通りにいくとは限らない。
今年の 「種蒔人」 は、いつもより優しい感じか。
こういう年だから? 酵母も気をきかして・・・ そうね、すべて愛の力だ、ウン。
すべての " つながり " に感謝して飲みたいと思う。
飯豊蔵(いいでくら、現在の工場の名称) で新酒をたしかめたあとは、
今は見学やイベント用に改装された旧蔵 「北方風土館」 を見学。
そして待ちに待った交流会。
" 会津づくし " の料理の数々。
純米吟醸、大吟醸、金賞受賞酒、種蒔人・・・ と居並ぶ酒たち。
そして、いい仲間たち。
稲田稲作研究会(ジェイラップ) の面々。
大和川酒造店代表、九代目・佐藤弥右衛門。
役者がすべてそろったところで、
ジェイラップ・関根政一さんが音頭をとる。
「希望の酒に、乾杯!」
お式のお決まりの台詞ではないけれど、
楽しい時間はあっという間に過ぎてゆく。
冬は蔵人、浅見彰宏さん。
夏になれば、「会津の若者たちの野菜セット」 の生産者
(「あいづ耕人会たべらんしょ」 のメンバー) として登場する。
春のGWには、また 山都の堰さらい が待っているね。
村の労働力は年々衰えていくけど、先人が営々と守ってきた貴重な水路だ。
やれる間は守っていかねば、と浅見さんは泰然と構えている。
僕らもお手伝いの人足を少しずつ増やしながら、応援を続けるつもりである。
「種蒔人」 - 本当にシアワセなお酒だと思う。
2002年から始めた 「種蒔人基金」 も、ついに200万円に到達した。
「この酒が飲まれるたびに、森が守られ、水が守られ、田が守られ、人が育つ」
を合い言葉に、一本につき100円を貯金してきたものだ。
堰さらい後の交流会用にお酒 (もちろん 「種蒔人」) をカンパしたり、
仕込み水の源流である霊峰・飯豊山の清掃などに活用しつつ、
それでも200万円が蓄えられた。 飲みも飲んだり2万本!
言っちゃってもいいすか。 言わせてもらいます。
「飲んべえだって、飲むことで、田んぼや水を守っているのだ!」
まったく、命がけだね・・・
これから1年、僕はこの希望の酒に励まされながら過ごすことになる。
そして来年は、いよいよ20回目の仕込みだ。
記念すべき交流会にしたいと思う。
「夢醸」 を、そして 「種蒔人」 を愛してくれたみんなに集ってもらって、
基金の使いみちを語り合うというのはどうだろうか。
みんなで飲み続けながら貯めたお金に、命を吹き込みたい。
それまで、どうか変わらずに。
命がけの飲兵衛たち。
お疲れ様でした。