2012年3月28日アーカイブ

2012年3月28日

世界一優秀な農民になろう

 

3月24日(土)、磐梯熱海での全国集会に向かう前に、

福島市松川町の 「やまろく商店」 さんを訪ねる。

福島市から二本松市にかけて百数十軒の米の生産者を束ね、

「やまろく米出荷協議会」 を運営する。

 

社長の佐藤正夫さん。

抱えているのは、セシウム対策として農家に配っているソフトシリカ。

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モンモリロナイトという自然の粘土鉱物で、

以前から土壌改良や稲体の強化に活用されてきたものである。

 

昨年は、周囲から 「米を作らない方がいいのでは」 という声もあったようだが、

メンバーは明確な意思を持って作付した。

田を荒らすわけにはいかない。

先祖から受け継いできたように、この田を次代に渡すために。

米はほとんど10ベクレル未満に抑え込んだ。 一部では超える米もあったが、

有機栽培の田んぼは低い、という確信も得られた。

今年は 「すべて10ベクレル未満にする」 と、協議会総会で確認し合った。

大地を守る会の自主基準で、米を10ベクレルに設定できたのも、

「やまろく」 さんの力強い決議があったことによる。

 

思い返せば1993年、

日本が歴史的大冷害に見舞われ、米の値段が暴騰して、

当時の細川政権は米の緊急輸入を発動した。

あの時、「やまろく米出荷協議会」 は、敢然と

「消費者が困っている。 値上げはしない!」 と宣言してくれた。

あれ依頼のお付き合いである。

今こちらが支えられないでどうする、と思うのである。

ここで仁義を通さなかったら、この世が廃(すた) る。

 

思いがけず、弊社・藤田社長がツイッターで後方支援してくれた。

   今朝から、わが家のご飯は福島産コシヒカリに変わった。

   大地を守る会の自主基準では米はセシウム10ベクレル/㎏ 以下だが、

   この米は測定値最大で33ベクレル/㎏ だった。

   生産者を応援すべく大地を守る会は会員に測定値を公表して販売している。

   妻と相談して食べることにした。 美味しいね、と妻。 (3月23日付)

 

「私はやっぱり食べられない」 という反応もあったようだが、

「無理しないでいいですよ」 と返している。

子どもに配慮しつつ、大人は食べる。

ま、そこはあまり気張らず、

それぞれに持続可能な形で 「支え合い」 の輪を維持させたい。

 

今年の取り組みを確認したところで、

佐藤社長の車に乗せてもらって磐梯熱海に向かう。

会場は 「ホテル華の湯」。

ジェイラップ・伊藤俊彦さんと合流し、一緒にラーメン食べてシンポジウムに。

 

「 福島視察・全国集会 農から復興の光が見える!

 ~有機農業がつくる持続可能な社会へ~ 」

 

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全国から300人くらいの参加者があり、 

会場はすでに熱気に満ちていた。

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開会を宣言する、福島県有機農業ネットワーク代表・菅野正寿さん。 

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子や孫に安心して食べさせられる野菜を育てたい、その一心で耕してきた。

結果は予想を超えて、検出されてないものばかりになってきている。

土の力を信じて、耕しながら前に進みたい。

今日を、「がんばろう日本」 から 「変えよう!日本を」 の分岐点にしたい。

 

「福島における放射能汚染の実態と今後の対策」 など、

3名の先生による講演があり、続いてパネルディスカッション。

タイトルは 「福島県農産物の風評被害の実態と今後の対策」。

菅野正寿さんをコーディネーターとして、

パネリストは、滝澤行雄さん(秋田大学名誉教授)、伊藤俊彦さん(ジェイラップ)、

大津山ひろみさん(生活クラブ福島理事長)、そして戎谷。

 

前に座らせられていると、どうも全体の流れはうまくまとめられない。

自分の話したことはだいたい以下の感じ。

 ・「風評被害」 と呼ぶのはやめよう。

  実体のない評判による被害ではない。 ましてや消費者が加害者なわけもない。

  ともに原発事故による被害者として理解し合うことで、大本を断つことができる。

 ・大地を守る会で取り組んできた対策や基準についての考え方について。

  「内部被爆から子どもを守る」 という姿勢を生産者とともに示すことで、

  つながりを取り戻したい。

 ・そのために頑張ってくれている生産者の取り組みを正しく伝え、

  実態を踏まえつつ、 「大人は食べる」 運動も進めたい。

 ・これは未来のために、「国土を回復させる」 運動である。

  そのために生産と消費をつなげる努力を続けるのが流通者の使命だと思っている。

 ・特に有機農業の力を信じる者として、皆さんの営為をしっかりと伝えていきたい。

とまあ、必死でエールを送ったつもりである。

 

僕の隣に座った伊藤俊彦さん。

これまでの取り組みと成果を語った上で、皆を奮い立たせた。

「 この難局を乗り越えられたら、

 福島は日本一、いや世界一優秀な農民たちの地域になれる!」

フクシマで今、国土を守る精鋭部隊が形成されつつある。

 

・・・・・今回で最後まで書き終えるつもりでいたのだが、

すみません。 本日の作業ここまで。

 



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