食・農・環境: 2007年9月アーカイブ

2007年9月 4日

飯豊山に登る

 

福島・山形・新潟三県の県境に聳える霊峰・飯豊(いいで)山。

標高2105m。

 

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                         (一番奥の山が飯豊山。手前の切合小屋から望む)

 

2年前より年に一度登るようになって、

先週の土日(9/1~2)、3回目の飯豊山行を決行。

月曜日の朝、会津・喜多方から帰ってきた。

(朝9時からの会議に間に合わず、バツの悪い一日)

 

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飯豊山の南・三国岳から北が山形県。西が新潟県。

しかし三国岳から飯豊山~御西岳にいたる登山道は福島県という、

なにやら曰くありげな県境設定。

(飯豊山頂上の神社が福島県に入るということで、こうなっている)

 

この山に登るのは、ワケがある。


私が所属する大地を守る会の専門委員会「米プロジェクト21」

で企画開発した日本酒 『種蒔人』(たねまきびと) というのがあって、

この酒の原料となる仕込水の、大本の源が飯豊山なのだ。

 

懐深い山系が豊かな水を育んでいる。

 

大地オリジナル日本酒 『種蒔人』(純米大吟醸) の醸造は、

喜多方市の大和川酒造店さんにお願いしている。

93年の大冷害の年にスタートした、私にとっては '思い入れの深い' 酒である。

 

毎年2月には、「種蒔人」新酒完成を祝って 『大和川交流会』 という集いが催されている。

日本酒好きには堪えられない、至福の時間が用意されている。

数年前のその席で、私は宣言してしまったのだ。

 

「この酒を企画した者の仁義として、俺は飯豊山に登る!」

 

絶えることなく水を湛える飯豊山に、感謝の気持ちを捧げたい、と-。

 

「おぅ、よう言った」

と応えたのが、大和川酒造・佐藤和典工場長。

東京農大醸造学科卒、というより山岳部で鍛えた山男であった。

飯豊山は幼少の頃から先代(親父)に連れられて登った、庭のようなもの。

 

私は約束を果たさなければならなくなった。

 

仕事のせいにしながら逃げること数年。

「行かねばならない」と覚悟したのが2年前。

それ以来、ついに恒例となってしまった。

 

そして3回目の今年。だんだんと、ただの登山ではなくなってきた。

 

飯豊山と三国岳の間に、「種蒔山」という山がある。 標高1791m。

登山道から少しずれてしまっているために、

三角点(頂上)が藪の中にすっかり埋まってしまっている。

登山者にとって今ここは、ひとつの通過ポイント・道標でしかない。

 

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この山の名にも由来がある-と工場長は語る。


飯豊山を仰ぎ見ながら暮らしてきた人々にとって、種蒔山は意味のある山なのだ。

 

そんなわけで、今年は、その埋まってしまった道を復活させる

道普請をやろうということになった。

 

大地でつくった酒が「種蒔人」。 いやあ、いい名前だぁ。

「種蒔人基金」(※)もつくられて、

そんでもって 「種蒔山」の復活とくりゃあ、エビさんは当然つき合うよね。

 

まるで脅しである。

行くしかないだろう。やるしかないだろう。引くわけにはいかない。

いいよぉ。行きましょう。やりましょう」 (やけくそ気味)

 

「種蒔人」を持って、いざ「種蒔山」へ!

 

飯豊山への感謝と、きれいな水を守りたいという思いで始めた登山である。

「種蒔人」というお酒が、何かを動かしたとしたら、こんな嬉しいことはない。

 

種蒔山へのルート再興に加え、

もうひとつやったことが、山小屋周辺のごみ掃除。

 

私も少しは山に恩返しができたかな、と思った。

 

しかし、キツい山である。

去年よりさらになまくらになってしまったようで、今年は登りから膝にきた。

かなりへばって、写真は

一眼レフに交換レンズまで背負ってきた健脚のSさんにお任せしてしまった。

ブロガー失格。

 

到着次第、正式の登攀レポートとしたい。


バテバテ、体パンパンで、つらい今週ということもあり...

 

※「種蒔人基金」とは......原料米生産者である稲田稲作研究会(福島県須賀川市)と、蔵元・大和川酒造店、販売者である(株)大地の3者が共同で、「種蒔人」一本につき100円を積み立て、水(水系)や米(田んぼ)を守るために役立てよう、という趣旨で2002年から開始。
「この酒が飲まれるたびに、森が守られ、水が守られ、田が守られ、人が育つ」 というコンセプトで、飯豊山の環境整備や、麓の棚田の水路補修作業へのボランティア等の取り組みが進み始めている。

 



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