あんしんはしんどい日記: 2010年3月アーカイブ

2010年3月26日

だいち 那須農場

 

エエッ❢ 大地を守る会に農場が??

・・・・と一瞬思われた方には、スミマセン、まぎらわしいタイトルで。 

でもれっきとした、だいち 農場についてのお話です。

 

3月24日(水)。 

ジェイラップを訪問した二日後に、再び同じ東北新幹線・新白河駅に降り立って、

今度は北上せず、栃木方面へとUターンする。

県境を流れる黒川を渡れば、そこは栃木県那須町。

その山林の一角に、開墾されたばかりの1町歩(≒1ha) ほどの農地が出現している。

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山林といっても、元は酪農の牧場があったところで、

牧場が閉鎖した後、スギなどの植林をした場所のようである。

こちら、実はNTTデータ・グループという大きな企業グループが

障害者雇用のために設立した特例子会社というのがあって、

そこが新たに開いた農場なのである。

その会社の名前がなんと、「 (株)NTTデータだいち 」 という。

 

で、なんでワタクシがこの開墾したばかりの農場にやって来ているかというと、

こちらの農場の栽培管理の仕組みづくりをお手伝いすることになったってワケ。

 


いま一定規模以上の会社は、

その規模に応じて障害者を雇用しなければならないという法律がある。

社員数1万を越えるNTTデータ・グループさんが

何人の障害者を雇用しなければならないのかは知らないけれど、

法定雇用率を満たすために特例子会社がつくられ、

仕事が生み出されようとしているということなのである。

 

それで障害者を雇用しての農場運営だって?

農業をバカにするな! という声も聞こえてきそうな気がする。

安易な発想という見方をすれば、そのように見えるかもしれない。

しかし、「農」 の持っている潜在能力と包容力は、もっと豊かである、

と僕は信じるものである。

 

やる以上は有機のレベルで、

しかもちゃんと世間が求める  " 安全・安心 "  システムくらいは用意したい、

と 「NTTデータだいち」 (以下、「だいち」で。紛らわしいけど) さんも考えて、

何をどう調査したのか知らないけれど、我々にオファーが入ってきた。

ここは素直に受けて立とう。 

受けなければ大地を守る会じゃないよね、と思ったのだった。

 

有機農業でやりたい。 

ついてはちゃんと外部監査に対応できるだけの体制をつくりたい、と 「だいち」 さんは言う。

生産された作物は、当面はNTTデータ・グループの社員で引き受けるとのことで、

それなら何も第三者の監査など不要ではないかと思うところだが、

ただのアリバイ事業でなく、将来的に事業の発展を目指したいのなら、

最初からシステムをつくっておくのが正解である。

僕は、その意思を感じたのである。

 

したがってこちらからの提案は、単純な管理システム作りや監査の受託ではすまない。

障害を持つ人たちと、「農」 を通じて新しい社会事業のモデルを作る。

その構想と実践を提案したいし、手伝わせて欲しい。

「障害」 と言われるものが、いつかその人の 「個性」 だと言える、そんな社会づくりに

有機農業は貢献できることを、このフィールドでトライしてみませんか。

そのための仕組みづくりを応援させて欲しい。

 

プレゼンと言えるような提案もしていないのだが、名前から予定調和的に採用され、

「NTTデータだいち」 を守る会? みたいな仕事が始まろうとしている。

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しかし、とはいえ、この状態からのスタートである。 

同行した農産チーム・市川泰仙が偉そうに 「これじゃあ・・・」 などと批評している。

いちおうはオーガニック検査員の資格を有する職員ではあるが・・。

前途多難であることは間違いないようだ。。。

 

我々のネットワークを駆使して、

生産者のお知恵もお借りしなければならないかなあ、とか思うのだった。

オイラの威勢って結局、生産者がいてくれるから、なんだな。

 



2010年3月25日

乾燥、その奥深い可能性を「見える化」する

 

昨年10月3日に開催した、大地を守る会の 「備蓄米」 収穫祭 のレポートを

ご記憶の方は・・・もういないか。 

お時間の許す方は、上の文字をクリックしていただくとして、

その時の交流会に登場して大好評を博した乾燥野菜が、

足掛け3年に及ぶ試作期間を経て、いよいよ本格的な製品化に向けて動き出した。

 

大地を守る会のスタッフでプロジェクト・チームが結成され、

3月22日、現地(福島県須賀川市)・ジェイラップの事務所で

合同のキックオフ会議が開かれた。

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社内のプロジェクト・チームは、農産グループ・商品グループ・広報グループそして

大地を守る会の農産加工部門である (株)フルーツバスケットも参画して結成された。

プロジェクトの名称は、「畑まるごと 皮から種までなんでも乾燥プロジェクト」。

略して 「はたまるプロジェクト」。

 

ジェイラップ専務の関根政一さん(上の写真右奥の方) が、

2年の歳月をかけて試作した野菜や果物の数は60種類を超える。

形状はスライスやチップ状に刻んだものからパウダー(粉) まで。

試作品のパウダーの数々。

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野菜・果物を乾燥させ保存する。 

このノウハウを獲得することで、畑で発生する余剰品や規格外品が活かせるようになる。

" 捨てる "  から  " 拾う・使い切る "  へ。

しかも貯蔵性が高まり、様々な加工食品の幅が広がる。

いや、それだけじゃない。

関根さんや代表の伊藤俊彦さん(写真、関根さんの手前の方) たちと

何度となく語り合ううちに、

これはとてつもなく奥の深い、新しい可能性の扉を開くものになる、

という確信を、僕らは持つにいたったのである。

 


たとえば、有機・無農薬栽培の規格外品の活用ができれば、

それだけでも安全な農産物生産の拡大・普及をバックアップする力になるだろう。

 

あるいは、食べたり加工する際に捨てられる皮やヘタ、茎や種も使うことができる。

しかも皮やヘタや茎だって、普段食べている可食部と言われる部位よりも

栄養価が高いものがある。 粉にすれば食感上は何ら問題なく、

逆に風味が増したりする場合だってあることを、色んな試食によって

粉たちは証明して見せてくれたのだ。

 

ゴミが資源に変わる? いやいや、もともとゴミなんかではなかったのだのが、

畑の  " 資源力 " 、そのポテンシャルを最大限に引き出す革命的なノウハウを、

僕らは今ようやっと手に入れようとしているのだと言えないだろうか。

だからこその、「はたまるプロジェクト」なのである。

 

その扉を開く会議は、予定時間を越えて続いた。

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離乳食から介護用、防災用の非常食、はてはペットフードまで、

互いのイメージは、どんどん膨らんでいく。

赤ちゃんからお年寄りまで、畑が支える健康生活って感じですかね。

 

これなんかは、これだけで充分、家庭での常備品になるのでは。

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この日の試食は、5種類のうどん。

何を加えたかは、ヒ・ミ・ツ。

それぞれの香りや食感が絶妙に活かされていて、美味い、という前に、

これは面白い! などと口走ってしまうのだった。

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ここで、カレーライスを試食した、と聞いたら、どういうものを想像されるだろうか。

一同、「これ、いけるねぇ」 とうなずきながら食べている。

有名シェフがこしらえた驚きのカレー、といったのとは違う。

思うに、「●●●ちゃんちの野菜カレーは、ひと味違う」 と言わせる、そんな感じなのだ。

もちろんその場合は、お米もこだわって欲しいところである。

 

乾燥室を覗くと、長野のリンゴ農家になった元大地職員、広瀬祥寿くんから送られてきた

リンゴの乾燥が行なわれていた。 

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この作品については、広瀬くんがリンゴのチップとして自力で売るらしく

(大地への提案は来年だとか)、少ししっとり感を残して仕上げている。 

彼のリンゴはもともと味では定評を得ているが、

旨味が上品に濃縮されて、文句なく美味しい。

 

フリーズドライでなく、熱風乾燥でもない、低温でゆっくりと風を送って乾燥させる

「低温除湿」方式。 これによって、しっかりと風味を残す。

 

食味、栄養価、環境への配慮、あらゆるステージで野菜を摂取できる食の提案。

野菜の粉末化やドライフーズは今では珍しくないが、

僕らが進めるプロジェクトは、

畑の受け皿の新しい鉱脈を育てる= 「畑の資源力」 の見える化、という仕事であり、

それによって人々の健康への貢献の底力を、畑から見せる化することである。

で、具体的には?

 -え~と、あの、これ以上は、まだ企業秘密ということで。

 

「こんなこと考えてるんですけどね」 と聞かされてから、3年。

ここまで完成度を上げてきた関根さん+スタッフの執念には脱帽するしかない。

最近は電話しても、

「ああ、スミマセン。 セキネは今、例の場所に引きこもっておりまして・・・」

なんて言われたりする。 

あの強面(コワモテ) で引きこもりか・・・その姿を想像するのはやめて、

じゃあ、何としても花開かせなければ、と思うのである。

 

ジェイラップでは今、本格的な設備の工事に入っている。

完成後、速やかに稼動できるかどうかは、こちらのプロジェクトのスピードにかかっている。

製品がお目見えするのは、夏か、秋口か。

一肌脱ごう!という加工食品メーカーがおられたなら、挙手願いたい。

 

忘れないで付記しておくと、ジェイラップの本業は、米である。

生産者集団 「稲田稲作研究会」 の信頼ブランドでもある 「大地を守る会の備蓄米」 の、

今年の美味い米づくりは、もう始まっている。

この日は種籾の温湯消毒 (薬での消毒はしない) が、

若者たちの手で行なわれていた。 うまく仕上げるコツは、氷だそうである。

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2010年3月18日

訂正とお詫び

 

前回の日記-「農と自然の研究所」 解散総会の話の中で、

リーファースの水野葉子さんが 「宇根さんは男尊女卑の九州男児」 と語った、

と書いてしまったことに、水野さんから強い抗議のメールを頂戴しました。

 

それは12年前、水野さんが最初に宇根さんに会った時に、

労働組合関係の女性がそんなふうに言っていた、というのが事実で、

水野さんも最初は 「ちょっと怖そうな人」 という印象を持ったけど、

今はまったくそんなことはない、とのこと。

「 宇根さんは、子どもやご老人への接し方を見ても、とても優しい方です。

 奥様への愛情もそばにいてとてもわかります。

 とにかく私は宇根さんが大好きなのよ!」

 

大変失礼いたしました。

軽口のジョークのつもりで書いてしまいました。

あわてて削除したものの、すでに読まれた方もおられるかと思い、

ここで改めて訂正するとともに、深くお詫び申し上げます。

 

おそらく件の女性も、今は宇根さんのことは大好きだろうと思います。

宇根さんは、違うと思ったことに対しては手厳しくやることもあるので、

何か過激な発言をされたのかもしれませんね。

 

すみませんでした。反省。

 



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