大地を守る会: 2012年4月アーカイブ

2012年4月22日

アースデイ東京 2012

 

今日は、アースデイ東京・代々木公園会場に向かう。

トーク・ステージに出演しろとのお達しを受けて。

 

藤田社長と何人かのマラソン愛好家たちは荒川河川敷での駅伝大会を楽しんでいるはずだ。

今回は4チーム、エントリーしたという情報が入っている。

終わったらみんなで楽しくビールか、、、いいなあ。

僕はいつも何かと重なってしまって参加できたことがない。

 

実は先週17日の夜、他団体の方々からお誘いいただいた飲み会に出た際、

この駅伝メンバーにスカウトしたオーガニック検査員の草分け・水野葉子さんも顔を出されて、

「毎日一生懸命走ってるのよう!」

「エビちゃんは応援に来てくれるのよね~」 との圧力を受けて、

思わず 「行きますよ、勿論!」 とか調子のいい返事をしたのだった。

水野さん、ごめんなさい。 瞬間、こっちで仕事が入っていたことを忘れました。

<水野葉子スカウト後の格闘と当日の様子は、水野さんのブログ をぜひ。

  19日の飲み会に参加した証拠写真もアップされちゃってるけど。>

 

あちこちで同時開催された 「アースデイ東京」。

今日は 「地球目線」 で考える一日。

駅伝組も地球を走って心を清めてくれていることを信じて、

僕は代々木公園会場へ。

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大地を守る会も張り切って出展。 

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若手たちが頑張っている。 

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僕は11時45分からのトーク・ステージに出張る。

タイトルは 「放射能から身体を守る アースデイサミット」。

司会は、出版社「コモンズ」 代表・大江正章さん。

一緒に出演するのは、「ポラン広場東京」事務局長・佐藤昌紀さん、

福島の 「市民放射能測定所」理事長・丸森あやさん。

 

この1年を振り返りながら、生産者と頑張ってきたこと、

未来のために考えてほしいこと、などを語りながら、

ちょっと地球目線にも立って、、、

地球規模で進む食と環境の危機的な状況に立ち向かうためにも、

何を食べるか=どのような生産(者) や (その食の) 背景とつながるのか、

を考えることが大切であることを訴えさせていただいた。

「放射能汚染」 から身体を守るには、その大元を断たなければならないことも

忘れずに強調して。

 

さてこちらは、、、「大地を守る会 × TOKYO油田」 トーク・コーナー。 

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TOKYO油田? そう、東京は油田地帯、なのである。

 

大地を守る会では以前から、廃食油から作られたディーゼル燃料(VDF) で

トラックを走らせる取り組みに挑戦したりしてきたが、

昨年改めて取り組んだのが、

廃食油を会員宅から回収してディーゼル燃料に変え、

それを有機農業の農家のトラクターの燃料として使ってもらって、

その生産物を食べる、という循環の創造。

名づけて、「ゆかいな野菜物語」。

油が回る  " ゆかい "  な世界・・・・・ よく考えるね、まったく。

 

協力してくれた生産者は、千葉・さんぶ野菜ネットワーク代表の

富谷亜喜博さん (大地を守る会CSR運営委員)。

「ホントに、天ぷら油のにおいがするんだよね。 腹が減ってくるよ」

と面白がってくれた。

 

そんな取り組みを語る

TOKYO油田2017」 プロジェクトリーダー、染谷ゆみさん(上の写真右)

と大地を守る会・宇田川千夏。

今年はさらにパワーアップするのかな・・・乞う、ご期待、ということで。

 

少々寒い、小雨交じりの中だったけど、

未来へのエネルギーを共有する一日になったことと思う。

 

 - と、こんな一日になったので、

昨日のシンポジウムの報告の続きは明日に。

 



2012年4月21日

チェルノブイリから学ぶ 「低線量被曝」

 

今日は、年2回(春と秋) の大地を守る会の社員合宿の日。

部署持ち回りで幹事が指名され、自由に企画が練られる。

組織方針をめぐってディスカッションが行なわれることもあれば、

レクリエーション一色になることもある。

 

僕が幹事側になって仲間と企画したもので強く印象に残っているのは、

安全審査グループ時代にやったワークショップ型合宿かな。

千葉・さんぶ野菜ネットワークにお願いして有機農業体験する組、

船橋で船(大野一敏さんの太平丸) に乗って三番瀬を学ぶ組、

林業体験組、ゴミ処分場をめぐる組などに分かれ、

体験後はそれぞれの現地で 「運動と事業のつながり」 をテーマに議論し、

夕方に合流して懇親会、翌日、総括討論をやって提案型にまとめる、という趣向。

わずかなスタッフで皆よく切り盛りしながら働いてくれた。

 

さて今回は、宅配部主催。

出された企画は久しぶりの分散型、

しかもやっていただくことは街の清掃(ゴミ拾い)、という初物企画。

本社のある海浜幕張周辺組、六本木事務所周辺組、

今日明日と出展者として参画するアースデイ東京・代々木公園組に分かれ、

ゴミ拾いをやって、午後に浦安の温泉施設に合流して、

お風呂に入って宴会、という流れ。

 

アースデイ会場は、おそらくそんなにゴミは出ないと思うのだが・・・ 

とか言いながらワタクシはというと、

エプロンして街に繰り出す幕張組に 「ごめんなさい」 をして、

東京で行なわれるシンポジウムの聴講に向かわせていただいた次第。

テーマは、「低線量被曝に向き合う -チェルノブイリからの教訓-」。

会場は、本郷にある東京大学弥生講堂。

ウクライナとベラルーシから二人の研究者を招いて、

チェルノブイリ後に進行した住民たちの健康被害についての最新研究成果を学ぶ。

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招いたゲストは、

ウクライナ国立放射線医学研究所・小児放射線部長、Y・ステパーノヴァさん。

ベラルーシ科学アカデミー主任研究員、M・マリコさん。 

 

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ステパーノヴァさんの報告。

1986年4月26日深夜に発生したチェルノブイリ原発第4原子炉で発生した事故は、

「レベル7」 という最も深刻な事故災害となり、

この原子炉を鎮めるために80万人を超す作業員が動員され、

その作業者の中からも多くの被爆者を出した。 

被曝が原因とみられる死者の数は今も累積されていってる。

 

4km離れたプリピャチ市の住民を避難させるために

1100台のバスと3本の列車が用意され、3時間で4万5千人が避難した。

事故の規模が明らかになるにしたがい、

汚染地域・30km圏内からの避難が行なわれ、1993年末までに23万人が避難した。

 

ウクライナでは、チェルノブイリ事故の被災者を4グループに分けて登録している。

1) 事故処理作業にあたった人。

2) プリピャチ市と30km圏内から避難した人。

3) 放射性物質で汚染された地域に居住している人。

4) 被ばくした両親から生まれた子ども。

 

今回はチェルノブイリ事故が子どもの健康に与えた影響について報告された。

ポイントを上げれば、

・30km圏内から避難した子供にも、放射能汚染地域の住民にも、

 機能障害から慢性病へ移行する現象が見られた。

 この傾向は子どもが18歳になるまで続いた。

・健康な(何も疾患がない) 子どもの割合は、1986-87年の27.5%から、

 2005年の7.2%へと減少した。

・甲状腺に高い線量を被ばくした子どものうち、健康な者は2.8%に満たない。

・プリピャチ市から避難した子どもの疾患レベルは、比較対象グループよりも、

 事故後一貫して高く、2003年の健康調査では、避難グループの疾患レベルは

 対象標準グループに比べて3倍高い。

・子どもに見られる慢性疾患の特徴は、

 以前には子どもには見られなかった病気が見られるようになったこと、

 複数の病気にかかりやすくなったこと、病気の長期化および再発傾向が見られること、

 そして治療効果が低い(治りにくい) ことが上げられる。

・子どもの発達期における障害頻度は、胎児期の甲状腺被ばく線量と相関する。

・放射線リスクに他の危険要因(様々な環境的要因ヤ生活要因) が加わることによって、

 発達異常数が増加する。

・子どもの軽度な諸発達異常数と総被ばく線量に、正の相関関係がある。

 また被ばく時の胎児に妊娠期間(週) とは負の相関関係がある

 (=妊娠初期に被ばくしたほうが発達異常が多い)。

・染色体異常と胎内被ばく線量には相関関係があることが明らかになった。

 

ステパーノヴァさんは、チェルノブイリの教訓をこうまとめた。

1.チェルノブイリと福島第一原発事故は、

  原子力発電でもっとも起こり得ないとされた事故でさえ起こり得ることを示した。

  (原発を有する) 国家は事故に備えて対応措置を高度なレベルで準備し、

  常に対応措置がとれるように態勢を整えておかなければならない。

2.チェルノブイリ事故が大事故であると認識するのが遅かったこと、また

  住民と環境への深刻な影響への理解が不足したことが、

  住民、特に子どもの健康に大きな被害をもたらした。

3.事故対応システムが欠如していたことが、事故状況下で、

  処理作業に用意を欠いた人を事故処理に充てることになった。

  この決定は不合理であり、作業員の健康状態に与えた影響は正当化されえない。

  (エビ注......日本では、この部分はまったく明るみにされてない。)

4.被ばく線量の大部分は事故が危機的状態にあったときに放出された。

  人々への健康、特に子どもの健康保護は何よりも優先されるべきである。

  住民の避難は正しいものであり、効果的だった。

  しかしながら若干遅れたために、最大限の効果は得られなかった。

  今は毎年、子どもたちは4週間以上、保養施設で健康増進を行なっている。

5.原発事故に関して、住民に遅れることなく、しかも十分客観的な情報が

  伝えられなかったことが、社会に心理的緊張を生み出す前提となった。

  避難と移住の過程は、時に家族関係、友人関係、倫理的・文化的価値観を破壊した。

  さらに、新しく住む場所に関する被災者の選択権も考慮されなかった。

  チェルノブイリ事故の教訓として、住民の生活条件を変えるような決定を下す際には、

  被災者の希望を考慮する必要があることを認識することである。

6.チェルノブイリに関するすべての健康問題は、被災者のモニタリング登録が

  事故直後に作成されていたら、より効果的に解決されていただろう。

  しかし登録簿はかなり後に作成された。

7.子どもの健康状態が変化した原因は放射能の影響である。

  放射能由来でない要素 (生活条件や食料条件の悪化、精神面での長期的緊張など) も、

  健康状態変化の原因にあげられる。 

  (しかしそれも 「事故による影響」 である以上) 放射能事故による悪影響を受けた

  子どもの健康を維持し、回復するための施策は、医療当局だけでなく

  国家政策の優先事項に他ならない。

8.放射能の影響に関する住民の知識を高めるため、

  また精神・感情面での緊張感やストレスを軽減するために

  啓蒙活動を常に行なう必要がある。

  また農村地域では、住民にとりわけ信頼される情報提供者である教師、

  医療従事者、社会福祉関係者などに対する研修プログラムを導入すべきである。

 

ステパーノヴァさんは、強調した。

「子どもたちの健康を守ることは、国家の責任であり最重要政策である。」

 

僕たちは、4半世紀前のチェルノブイリから何を学んだんだろう。

そして、フクシマから何を教訓に残せるのだろう。

 



2012年4月 5日

丸の内「つながる食」 と 「Daichi&keats」

 

昨年秋からの 「放射能対策特命担当」 なるミッションに苦戦しつつも、

以前より継続して当たってきたプロジェクトがある。

大丸有地球環境倶楽部 「都市の食ワーキンググループ」 で検討を進めてきた、

大丸有エリア・レストランによるこだわり食材の共同調達の仕組みづくり。

この話題、いつから書いてなかったかしら。。。

このプロジェクトが3月2日より 「大丸有つながる食プロジェクト」 という名称で、

実験的にスタートしている。

 

ここでいう 「こだわり」 とは、、、その安全性だけでなく、地産地消型食材、

環境保全に取り組む生産地、地域の食文化の維持発展などに貢献する食材、

といった価値基準を明確にした上で、それらを確認するための 

 " 認定 "  と  " 見える化 "  のためのシステムを用意する、というものだ。

概要は、「丸の内地球環境新聞」 でもレポートされているので、ご参照を。

 ⇒ http://www.ecozzeria.jp/shimbun/news/2012/03/21/shoku_wg_project.html

 

ちなみに 「大丸有(だいまるゆう)」 とは、大手町・丸の内・有楽町エリアの総称。

この巨大都市・東京のど真ん中で、レストランやホテル、企業の社員食堂等が

一緒になって共同の注文書を使って、物流を一本化させる。

低炭素(Co2 削減) 物流を進めるための新しい都市の実験。

僕にとっては、3年越しの挑戦だった。

 

この仕組みを具現化させる店として登場したのが、

3月2日、丸の内・永楽ビルにオープンした

 「Daichi&keats (ダイチ&キーツ)」。

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開店後、昼と夜は満員状態が続いていて、

" 職員がのぞくとニラまれる "  と言われ、遠慮していたのだけど、

3月29日、専門委員会「米プロジェクト21」 の年度末定例会後の慰労会

という名目で予約して、何とか入ることができた。

 

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新しく建てられた永楽ビル地下に誕生したレストラン街

「iiyo !!  yokocho」 (イーヨ !!  横丁) の一角。

 

都会で楽しむ農園的空気、というコンセプト。

スタッフもそれらしく意識したスタイルで。

 

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今なら平日夜は、自然派ワインと本格焼酎が

2時間 2,000円で飲み放題。

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我々「米プロ」 としては、さらに 「種蒔人」 をボトルで注文。

 

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国産有機野菜や雑穀をふんだんに使った農園感あふれるメニュー。

一番人気は 「農園ポトフ」 だとか。

 

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体によい食事は美味しい。 お酒もいろいろあって楽しめる。

気の合う仲間とリラックスした時間を過ごしてもらえれば、嬉しい。

 

安心・おいしい・環境にもイイ食、をこの街に広げることができるか。

実験とは言え、お店にとって日々の営業はたたかいである。

この間、有名シェフや一流ホテルの支配人に説明に伺ったりしながら、

理想と現実のギャップを実感させられている。

「実験」 ということは、期限があるということでもある。

三菱地所という企業も強力にサポートしてくれているので、

地道に店舗を増やしながら、育てていきたい。

 



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