戎谷徹也: 2012年5月アーカイブ

2012年5月24日

「つながる食プロジェクト」 試食会

 

今日は、丸の内・永楽ビルの 「Daichi & keats」 で、

「大丸有つながる食プロジェクト」 の試食会というのが開かれた。

プロジェクトの概要は先月 (4月5日) 報告したので省かせていただくとして、

今回は、関心を寄せていただいたレストランの方々をお招きして、

実際に大地を守る会の野菜を食べていただきながら意見交換をしようという

初の試みである。

午後の、お客様の少ない時間帯(15:30~17:00) を使わせてもらった。

 

今回参加されたのは4つのレストランの方々。

加えて、永楽ビルに4月にオープンした保育と託児施設の栄養士さんが

参加してくれた。

 


冒頭の挨拶は、三菱地所・エコッツェリア協会の平本真樹さん(写真左端)。 

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続いて戎谷より、実験的にスタートした共同調達のコンセプトや思い、

野菜の特徴などについて説明させていただく。

そして実際に試食していただきながら忌憚ない意見を伺う、という流れ。

 

説明するエビ(右端)。

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(これより下の写真はすべて、「Daichi & keats」 統括マネージャー・町田正英撮影。)

 

野菜はできるだけシンプルな調理で、素材の味を確かめてもらう。

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物流で提携する 「(株)まつの」 さんのスタッフの方が絶賛したのが、

スティック野菜のなかに放り込んだ愛知・天恵グループのベビー・コーン。

「これは美味い!」としきりに褒めてくれた。 

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この時期のおススメ、熊本・肥後あゆみの会さんの 「塩トマト」。 

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参加者からは、葉物を届いた状態で見たい、生のままで齧ってみたい

といった要望から、システムの問題点・課題などについて指摘いただく。

 

「キッズスクウェア」 という保育と託児施設の栄養士さんからは、

決めた献立と実際のメニュー(注文書) の野菜にどうしてもズレが発生すること

の悩みを打ち明けられる。

「でも、大地さんは放射能をきちっと測ってくれているので、

 全部大地さんのでやり切ろうとするんですけど、そこが大変で・・・」

う~ん、、、なかなか厳しい。

 

このシステムによるメリットは価格ではない。

物流の共同化により低炭素(CO削減)+コストダウンを目指すものではあるが、

" 安い "  ではなく  " 安心・安全 "  には相応のコストがかかることは

ご理解願わなければならない。

それをしっかりみんなで支えられる仕組みをつくり上げるためには、

それぞれのポジションで少しの知恵と工夫をお願いすることも、

求めなければならなくなる。

しかし日々追いまくられる  " 現場 "  にとって新たな苦労や面倒を背負うことは、

そう簡単に頷けるものではない。

それぞれに抱える事情というものもある。

 

少しでも意義を感じ取ってもらえるお店を増やしながら、

実際の利用 (=お客様への提案) へと結びつけていくために、

「個別事情を理解する」 ことと 「合理的システムの追求」 という

難問が目の前に立ちはだかっている。

 

できないことはできないんだけど、「できない」 と匙を投げず、

どうしたらどこまでできるか、考えてみよう。

楽しくも試練の 「試食会」 は、これからも続けられる。

 



2012年5月20日

『フード・インク』 監督が語る、食の危機と希望

 

5月4日の山都での堰さらい。

作業終了後のお疲れさん会での  " 乾杯の雄姿をぜひ! "  と

社員の中島俊寛くんが写真を送ってくれたので、貼り付けてみる。

 

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「ベトコン体験」 でずぶ濡れになって、

合羽以外は、上から下まで下着まで、地元・遠藤金美さんからの借り物

(パンツはもらうことにした。 すっかり同志になった気分)。

下のズボンは、いわゆるモンペだが、地元の人はハカマと呼ぶ。

男はハカマ、女はモンペ、なんだとか。

「ハカマ、似合ってるよ!」 と言われてご機嫌、の一枚でした。

なんか疲れてる感じ。 えびす(蛭子) さんみたいだね。

 

さて、昨日(19日) は渋谷・表参道に出かけた。

「東京ウィメンズホール」 で開かれた 「生物多様性の日 記念イベント」。

 

 『フード・インク』 の監督が語るアメリカの食と農の現状

    ~今日のごはん選びが必ず変わります!~    

 

「フード・インク」 -食品株式会社といった意味。

食べ物が工業製品になってしまったことを表している。

" 安くて美味しい "  ファーストフードの秘密、生産の実態を裏側まで描いた衝撃的作品。

2008年、アメリカで公開され、

アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にもノミネートされた。

その監督、ロバート・ケナー氏を招いての上映と講演会。

主催は、食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク(食農市民ネット)。

 

「生物多様性の日」 とは、

1992年5月22日に 「生物の多様性に関する条約」(CBD) が採択されたことを記念して、

国際連合が制定した記念日、国際デーである。

毎年この日の前後に、世界中で植樹など色んな催しが行なわれている。

 

映画の解説は省く。

とにかく見るに耐えない家畜の飼育状況と、生産効率を追い続ける結果が、

人々の未来に何をもたらすのかを示唆している。

ブロッコリィよりも安いハンバーグによって、貧しい人ほど肥満と糖尿病に冒される。

抗生物質と耐性菌のいたちごっこでは、人が勝利することはない。

遺伝子組み換え作物は生物多様性を貧しくさせ、生存の安定性を衰えさせる。

耐性をもったスーパー雑草に対抗して組み込まれようとしているのは、

ベトナムの枯葉作戦で用いられた除草剤 2,4-D の成分である。

すべてはお金と企業の独占のためだ。

まだご覧になってない方は、「フードインク」公式サイトを是非。

 ⇒ http://www.cinemacafe.net/official/foodinc/

 

上映後、ロバート・ケナー監督の講演。

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この映画を撮るのに100社以上に取材を申し込んだが、ことごとく断られた

とロバート監督は語る。

食べ物の生産現場がすっかり企業秘密になってしまったわけだ。

世界のフードシステムがひと握りの多国籍企業によって支配されてきている。 

わずか4、50年で、1万年間続いてきた農業システムが根本から変容した。

 

このシステムを支えるのは画一化と単一化である。

アメリカの耕地の半分に大豆とトウモロコシが栽培され、

その大半が遺伝子組み換えされた種に替わってきている。

大量の除草剤が撒かれ、それも特定の除草剤(モンサント社のグリホサート剤、

商品名「ラウンドアップ」) であるがために、抵抗性を持ったスーパー雑草が生まれた。 

現在それに対抗しようとして新しい薬剤が開発されようとしている。

 

この世界は抗生物質も同様である。

抗生物質の80%が家畜に使われ、耐性菌が生まれ、結果として、

私たちの病気を治すことができなくなっている。

そのために2000億ドルという医療費が費やされている。

家畜だけでなく人の命までも犠牲にして、安い食肉生産が維持されている。

安い食品には、見えないコストがある。

実は高くついていることを知らなければならない。

(別なコストを食べる人たちが払わされている。)

 

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先月、アメリカで狂牛病が発生した。

アメリカでの検査はわずか1%なのに、そのなかで発生したのである。

日本が厳しい検査を要求することは、米国でたたかっている人々にとって力になる。

 

アメリカの食品の70%が、遺伝子組み換えされた大豆やコーンによって作られている。

(日本でも知らず知らず食べさせられている。)

しかし表示はされていない。

表示を要求する100万人の署名が集まり、

各地の州で住民のイニシアチブによって法案が提出されているが、

米政府は動かない。 多国籍企業の食糧戦略が勝っている。

遺伝子組み換え食品は、問題がないところに解決策を持ち込んだようなものだ。

日本の表示制度も心許ないが、表示義務を守り要求するることは、

日本のためにも世界のためにも重要なことである。

 

いま、多くの人が声を上げ始めている。

一人の力ではどうにもならないと私たちは思いがちだが、

思っている以上に力がある。

私たちは一日に3回、投票していることを忘れてはいけない。

オーガニック市場が拡大している事実には、企業も気がついている。

 

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映画 「フード・インク」 からのメッセージ。 

[食の安全のために私たちができること] 

 - 労働者や動物に優しい、環境を大事にする企業から買う。

 - スーパーに行ったら旬のものを買う。

 - 有機食品を買う。

 - ラベルを読んで成分を知る。

 - 地産食品を買う。

 - 農家の直販で買う。

 - 家庭菜園を楽しむ(たとえ小さくても)。

 - 家族みんなで料理を作り、家族そろって食べる。

 - 直販店でフードスタンプが使えるか確かめる。

 - 健康な給食を教育委員会に要求する。

 - 食品安全基準の強化を議会に求める。

 

システムを変えるチャンスが1日に3回ある

世界は変えられる ひと口ずつ

変革を心から求めよう

 

「フード・インク」 は、6月3日(日)、

渋谷・アップリンクで開催される 『TPP映画祭』 のなかでも上映されます。

上映後、戎谷がトークを担当します。

「フード・インク」 と 「TPP」 について・・・・・

宿題を指示するのは簡単だけどね。 いや、気が重い。

千葉・山武の田んぼで草取りをやってから、渋谷に走ることになっちゃった。

 

よろしかったら、お越しください。

案内はこちらから ⇒ http://www.uplink.co.jp:80/factory/log/004430.php

 



2012年5月11日

菅野正寿、満身に怒りを込めて

 

里山交流会で、二本松市から招かれた菅野正寿(すげの・せいじ) さんは、

各地からやってきたボランティアたちに向かって、

いま福島の生産現場で進んでいる事態を、訴えるように語った。

 

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食品中の放射性物質に関する国の新基準値 (米は100Bq/㎏) が施行される

4月1日の2日前、3月29日付で農林水産省から1枚の通知が出された。

通知の書名は 「100Bq/㎏を超える23年産米の特別隔離対策について」。

 

そこにはこう書かれていた。 

「食品中の放射性物質の新基準値の水準(100Bq/㎏) を考慮し、

 暫定規制値(500Bq/㎏) を超える放射性セシウムの検出により

 出荷が制限された23年産米だけでなく、100Bq/㎏を超える23年産米についても、

 市場流通から隔離することとする。」

 

しかも、暫定規制値(500Bq) を超えた米だけでなく、

本調査と緊急調査で新基準値(100Bq) を超えた米(=暫定規制値未満)

が発生した地域の、すべての米が 「隔離対象」 とされたのである。

なんら説明もなく、3月末の一枚の通知によって。

これによって、菅野さんたちが必死の対策努力をもって生産し、

測定を行ない、ND(検出限界値以下) を確認した上で、

その旨表示して販売していたコメまでが、

自慢の直売所 「道の駅 ふくしま東和」 から一方的に撤去された。

 

「ND なのに、それまでも ・・・」

これでは 「安全な米作り」 に賭けてきた生産者が浮かばれない。

菅野さんの怒りは収まらない。

 

検査して合格した米までが、地区でひと括りにされて 「隔離」 された。

法律上のことで言えば、米については新基準後も経過措置が取られていて、

今年の10月までは暫定規制値が適用されることになっている。

今回の一方的措置は、経過措置を無視していることと、

基準内(しかもND) であることが確かめられているものまで販売を禁止するという、

二重の意味で国の方針に離反しているのではないだろうか。

生産者や販売者の自主的な考えに基づくものではない。

国からの指示、である。

菅野さんの憤りが伝播してきて、僕の腸(はらわた) も煮えてくる。


菅野さんの訴えは、これに留まらない。 

 

菅野さんの地域は 100~500Bq の間の米が検出された地区で、

国は条件つきで作付を認めていたものだが (「事前出荷制限区域」 と言われる)、

その指示がまた現場を無視した一方的通告なのである。 

 

国から当該区域の農家に指示されていたことは、

ア) 可能な範囲で反転耕や深耕等を行なうほか、

イ) 水田の土壌条件等に応じたカリ肥料や土壌改良資材の投入、

等により、

農地の除染や放射性物質の吸収抑制対策を講じていることを確認すること。

- ということだったのだが、それが県 - 市町村と降りてきた段階で、

ゼオライトを300㎏、ケイ酸カリ20㎏、ケイカリン50㎏(ともに10アール当たり)

投入せよ、という指示になった。

 

「ゼオライト300㎏なんて、科学的に実証されてない」 と菅野さんは言う。

いや、かなり多過ぎる、というのが僕の感想。

それに 「ゼオライト」 とひと言でいっても、実は数百種類あって、

セシウムの吸着能力も千差万別だと言われている。

その辺のデータは明らかにせず (業者への利益誘導になる、という言い分らしい)、

ただ300㎏撒け、とは乱暴すぎる。

カリ肥料についても、「投入適期がまったく考慮されてない」。

加えて、その作業記録を一筆(田んぼ1枚) ごとに台帳管理しろというお達し。

試験栽培も認められないという。

 

これらの指示が4月に入って押し付けられてきたものだから、

高齢者を中心に、今年の稲作を断念する人が増えているそうである。

「出荷段階で全袋検査する方針なんだから、

 事前から強制的に、しかも地域一括で制限をかけるとは、

 農家の主体性を奪う以外の何物でもない!」

菅野さんの怒りは、もっともだと思う。

 

思うに、国にとって、農家の主体性や自立は厄介なことなのだ。

恐れているのではないか、とすら思える。

そして、民間の力を活用するとか連携するという発想に乏しい。

ジェイラップが須賀川で取り組んだ対策事例などは、

民間力を活用すれば、食の安全に対する信頼回復が

もっと効果的かつ効率的に進むことを示唆している、

と思うのだけれど。

 

信用してないのかな、国民を。

それとも自己保身なのだろうか。

手続きひとつとっても、福島農家の意欲を逆なでするような手法では、

生産者の経営安定も消費者の信頼も得られない、とだけは言っておきたい。

 

先だって紹介した 『放射能に克つ、農の営み』(コモンズ刊) に続いて、

菅野さんが執筆されている本(17人による共著、戎谷も執筆)

が出版された。 

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『脱原発の大義 -地域破壊の歴史に終止符を-』

(農文協ブックレット、800円+税)

 

「有機農業がつくる、ふくしま再生への道」

というタイトルで、菅野さんはここでも熱く語っている。

 

   私たちはあらためて日本型食生活の大切さを教えられた。

   母なる大地と太陽の力を活かす、有機農業による生命力ある農畜産物が

   健康な体と健康な人間関係をつくると思うのだ。

 

「放射性物質を土中に埋葬して 農の営みを続ける」

菅野正寿、心魂を込めた宣言である。

 



2012年5月 7日

未来に残したい財産は、ここにある

 

未来に残したい財産は、ここにある。

特段珍しくもないけど、

それでも美しい (と感じるのはそれぞれの個人史によるようだけど)、

資源の宝庫、ニッポンの里山。

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僕のゴールデンウィークは、ここ会津・喜多方市山都町での

" 堰さらい "  ボランティアが年中行事となった。

毎年5月4日に実施される、地元総出での水路の清掃作業。

6年連続6回目の出場、ということで秘かに自分を褒める。

この作業の説明はもういいですかね。

毎年書いているので、昨年のブログ を見ていただくことで省略したい。

 

今年のボランティアは、過去最高の49名を数えた。

大地を守る会からは職員・会員合わせて13名 + 将来のボランティア後継者1人。

ついに二ケタ到達! 一大勢力と言われるまでになった。

苦節6年、ウウッ(泣)。。。

 

前夜祭で盛り上がった後、二つの公民館に分泊したボランティアたち。

我々が泊まったのは本木(もとき) 集落組。

朝みんなで朝食をつくって、食べて、お昼用のおにぎりを握って、片付けて、

7時半集合。

堰守りから挨拶があり、班分けが読み上げられる。 

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「頑張りましょうね、皆さん」 と余裕をかましていたら・・・

今年の作業は、ちょっと、、、違った。

通常の堰の土砂さらいとは別に 「特別班」 なるチーム編成が行なわれ、

大地を守る会から僕と須佐(農産チーム職員) が指名された。

「何をやるかと言うとですね・・・・」 と

何やら意味深な 「堰と里山を守る会」事務局長・大友治さん。

「崩れたところとか、倒木の片づけとか、詰まっていそうなトンネルの箇所とか・・・」

状況が想像できるだけに、一瞬うろたえ、唾を飲む。

しかし、、、ここでひるむワケにはいかない。

腰に手をやって、にっこり笑って、覚悟を決める。

 


というわけで、僕と須佐は地元の二人に連れられて、

別働隊として堰に分け入ることになった。

 

今年の冬は雪が多く、春が遅かった。

なだれ的に崩れた箇所がある。 倒木もでかいのが落ちてきている。

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そして・・・

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この溝に潜って土砂を掻き出す・・・ わけですか?

そう、らしい。

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隊長の遠藤金美(えんどう・かねみ) さんが先に入り、

土砂をバケツに汲んでリレーする、と言う。

2番手は、大地を守る会のプライドをかけて、、、行くしかない。

四つん這いではない、文字通り、腹這いで。 

体を上げることも向きを変えることもできない。

天井の隙間から冷たい水がボタボタと落ちてくる。

あんまり想像してもらいたくないけど、

水というやつは、どんなに細かい隙間にもしみ込んでくるのである。

あっという間に全身ずぶ濡れ状態。

それでも、家庭菜園用のスコップで土砂を浚ってはバケツに汲み、

ヤモリのように水の中を這いながら、前進-後退を繰り返す。

 

中は当然暗い。

入口から懐中電灯を照らしてもらいながら作業を進める。

闇の先で金美さんの声がした。 「こりゃ、ベトコンだぁ!」

圧倒的戦力を誇るアメリカ軍に対し、地下トンネルを張り巡らせて

ゲリラ戦で対抗した 「南ベトナム解放戦線」。 米軍は彼らをベトコンと呼んで恐れた。

ベトコンと聞いて、アドレナリンが吹き出してきたか。 

負けるわけさ、いがね! ってなもんで。

しかし、体はどんどん冷えてきて、やがて震え始める。

 

間もなく、ここは作業ポイントではなかった、という落ちがつくのだが、

ま、それはともかく、

金美さんが気遣ってくれて、お昼前に中断して里に下り、

金美さん宅でシャワーを借り、

着替えを一式用意してもらって (パンツと股引はもらうことにした)、

お昼を食べて、午後再び山に入るという、

6年目にして戴いた、貴重な 「ベトコン体験」 であった。

 

やっぱりボランティアでは本当のご苦労は分からないですね、と聞けば、

「いやあ、オレも入ったの、初めてだあ」 と金美さんも笑ってくれる。

 

足手まといになったのか、力になれたのか、分からない。

でも、この堰にいっそうの愛着が涌いたのは確かだ。

水よ、巡ってくれ、この里に。

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作業終了後、例によって早稲谷の公民館前で打ち上げ。

気を使ってくれたのか、乾杯の音頭に指名された。

 

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風呂に入って、夜は 「里山交流会」。

今年の勉強会には、二本松市東和の菅野正寿さんが呼ばれていた。 

 

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菅野さんの話には意外な報告があって、

ちょっと重たいので次回に回すとして、

ここでまったく想定外の人に会ったので、触れておきたい。

 

人気長寿漫画 『美味しんぼ』 の原作者、雁屋哲さんだ。

 

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雁屋さん一行は今、

福島を取材して回っている。

 

実は昨年暮れ、雁屋さんから

知り合いの会津農家の米を売ってくれないかと依頼されたのだが、

僕らも契約農家の米を売るのに手一杯であることを伝えた経緯がある。

雁屋さん推薦の米ですら・・・ですか、と言いながら。

 

みんな苦労しながら、突破口を目指している。

僕らは近いうちに、ひとつの出口で出会うことになるだろう。

出会わなければならない。

頑張りましょう。

一緒に作業すればよかったのに- という台詞はさすがに抑えた。

 

すっかり地元のキーマンになった浅見彰宏さん。

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気がつけば、

チャルジョウ農場、小川光さんも登場。

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アコーディオンを奏で、女子に取り囲まれている。

息子の未明(みはる) さん、曰く。

「こういうところでのオヤジは、すごいんですよ。 かないません。」

 

「種蒔人基金」 で用意したお酒 「種蒔人」 24本は、完売で足りないくらい。

自腹で確保していた6本も供出して、里山交流会は熱く終了した。

 



2012年5月 2日

地球大学 Ver.3 - テーマは 「食」

 

先日予告した

『 大地を守る会の 放射能連続講座

  ~食品と放射能:毎日の安心のために~ 』 

第6回目の講師が決定しました。

(独)国立病院機構・北海道がんセンター院長、西尾正道さん。

専門家の間でも決着できないテーマ、「低線量内部被曝」 の問題を

解析していただきます。

日程は10月6日(土)、午後1時半~4時。

場所はこれから探します(都内を予定)。

 

もう一つの予告を。

久しぶりに竹村真一さん(京都造形芸術大学教授、文化人類学) から、

丸の内地球環境倶楽部 「地球大学アドバンス」 へのお呼びがかかりました。

 

『地球大学アドバンス』

地球環境の様々な問題や解決法についてトータルに学び、

21世紀の新たな地球観を提示するセミナー。

竹村さんがモデレーターとなって、毎回多彩なゲストを招いて行なわれる。

2006年、大手町ビルにあった大手町カフェで 「地球大学」 がスタートして7年。

2008年に新丸ビル 「エコッツェリア」 に移って、

その間開催されたセミナーは50回に到達した。

僕は2009年の10月、

『 日本の 「食」 をどうするか? 』 というテーマを与えられ、

主に水田という機能が持っているたくさんの価値についてお話しさせていただいた。

『地球大学講義録 -3.11後のソーシャルデザイン』 という本に収録されています。)

 

そして今年度の地球大学のテーマは、改めて 「食」 に焦点を当てたい、

というのが竹村さんの狙いである。

「食」 の後ろ側にある地球環境問題や日本の課題について掘り下げ、

解決に結びつける具体的なアクションの創出につなげたい。

「地球大学」 は言わば新たなバージョン3 として、

これまでのお勉強から実践へと進化させるための構想を描くものにしたい、と。

 

そこで去る4月16日、

「地球大学」 2012年度開校にあたってのキックオフ・ミーティングが開かれ、

30名ほどの関係者が呼ばれたのだった。

 


竹村さんから、いろんな視点での 「食と環境」 の課題と方向性が示され、

丸の内をいかにグリーンな街にするか (しなければならない)、

という視点に立って 「食のリデザイン」 を構想していきたいと、

例によって竹村ワールドのプレゼンテーションが進む。

その1回目として、まずはいま大丸有エリアで進み始めている 

" 食の共同調達 "  実験、「大丸有つながる食プロジェクト」 構想を取り上げたい。

そこでいきなり僕の目を見て、「戎谷さん、よろしく」 ・・・・・ときた。

そうか、呼んだのはそういうわけだったのね、、、くそ! やられた。

他の方も同様で、もう皆で笑うしかない。

 

というわけで今年度第1回は、

5月28日(月) 18:30~ 「エコッツェリア」 にて開催となりました。

近々にも丸の内地球環境倶楽部の HP で告知されると思いますので、

興味ある方は是非。

 

会議終了後は、参加者同士の交流会がセッティングされた。

食材は、我が 「Daichi&keats (ダイチ&キーツ)」 から用意させていただいた。

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お店の台所事情はまだ一杯一杯の状態なのだが、

無理に頼みこんで、用意してもらった。

ま、やるとなったら、しっかり気合い入れて作ってくれたようで。

 

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用意してもらったメニューは、以下の通り。

★ D&K野菜デリ&サラダ盛り合わせ

★ 野菜と雑穀のサラダ

★ 雑穀入りチキンから揚、エコシュリンプフライ、新じゃがポテトフライ

★ 丹沢ハム工房の無添加ハムソーセージ盛り合わせ

★ 野菜サンド、雑穀おにぎり

 

どれも、生産者の顔が見える食材たちです。

オリジナルの人参ドレッシングもお試しください。

-と、慣れない料理紹介をして、食べていただく。

 

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どれも大好評で、残った料理はなんと 「エコッツェリア」 のスタッフたちの

翌日のお昼のともに供された、とのこと。

後日伺った際に 「それでも美味しかったんですよ、感激でした」 と言われた時は、

褒められるのに慣れてない僕は、ただ照れるのみで・・・(なぜお前が照れる?)

「Daichi & keats」 の皆さん、ありがとう。 お陰でメンツ立ちました。

 

「地球大学アドバンス」 2012年度は、

「食」 の理念からアクションへ。

僕たちは何を食べるのか

 - その向こうにある価値をどこまで共有することができるか。

実験を実験で終わらせないための、" つなげる力 " が問われる年になる。

 



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