2009年1月 8日
今年もセンチュリーコーンをつくります -ケント・ロック
さて、新年らしい話題も書き残しておきたい。
今年もたくさんの生産者からの年賀状が届いていて、
それらを眺めるのが仕事始めの日のひとつの楽しみなんだけど、
海外からのグリーティング・カードというのは年末に届けられてくる。
向こうは Merry Christmas & Happy New Year! なんだね。
何度かここで紹介したベトナムのⅠさんからは、
現在の事業が3月で終了した後もベトナムの農家と関わり続けていきたい、
との便り。
去年の9月に一時帰国した際にお会いした時には、いろんな構想を温めておられたが、
決意は変わらないようだ。 みんな、偉いなあ。
そして、アメリカ・イリノイ州の、Mr.ケント・ロックからも届いた。
例によってカーギル・ジャパンの堀江さんが日本語に訳して送ってくれる。
ありがとうございます。
「2008年、センチュリーコーン (非遺伝子組み換えコーン) の
バリューチェインの中にいる私たちは、皆 互いに強さを試されました。」
- こんな書き出しで始まっている。
この試練は私たちに、飢える世界のために価値ある食物のより良い供給者になる
準備をさせました。 変わりゆく世界は私たちに、学び、対処し、新しい市場環境に
適応する機会を与え、それは飢える世界に食物をより良く供給する方向に
私たちを向かわせました。
ロック農場では、私たちは以下のことを学びました。
-少ない肥料は必ずしも少ない収穫を意味するとは限らない。
-牛を太らすための餌はとうもろこしでなくても良い。
-私の妻が入れるコーヒーは6マイル離れた町で飲むコーヒーと同じくらい
美味しいし、かなり安い。
-私たち農家は以前思っていたよりも、世界に食料と燃料を供給する重要な役割を担っている。
-エネルギーや原料の節約を含む多くの小さなレッスン、などです。
2008年はドルの対円や他の通貨との換算レート、バルト海運指数や
パナマックスサイズの船の傭船費用、燃料サーチャージなどについても私に学ばせました。
もし2008年に新しいジョンディア社の機材が欲しければ2007年に注文していなくてはならず、
スクラップメタルは非常に価値があり(あった)、お腹をすかせている人は怒りやすく、
私たちとうもろこし生産者は世界の食料を供給しているだけでなく、燃料も供給しています。
エタノール製造業者と農家の両方が市場で損害を受けることもあり得て、
リスク管理は大変重要です。
2008年に私が学んだことは、私をより良い人間にし、環境への責務を考えさせ、
カーギルのセンチュリーコーンのバリューチェインのつながりをより強固にしました。
カーギルのためにセンチュリーコーン生産者になるということは、
日本でのセンチュリーコーン消費市場に供給するということに関わることになります。
反射反応は元来、人が持っているものです。
2008年に私たちはとうもろこしの育て方を変更するための反応時間が短くなりました。
普通の感覚より素早く2008年に私が決定したことは、
私がじっくり考えた/場合によってはまだ考えているような決定よりも
私の農場に良い結果をもたらしました。
センチュリーコーンのバリューチェインは、一般コーンでのエタノール製造、高い輸送費、
高い大豆価格、プレミアムの上昇、投機的投資家の影響を受けました。
中西部の洪水はとうもろこし畑を洗い流してしまったりもしました。
しかしセンチュリーコーンのつながりは、私たちセンチュリーコーン生産者に
価値を与え続けています。
なぜカーギルはセンチュリーコーンのバリューチェインをよく維持することができたのでしょうか?
カーギルには最終消費者が喜ぶセンチュリーコーンを生産すると決めた
農家たちがいるからです。
輸送やリスクマネジメント、信用融資、品質管理、私たち農家からあなた方へ続く物流網を
整えているカーギルジャパンや堀江氏に感謝しています。
2008年は関係を試された年でした。
私たちは皆、少なくとも一度は、センチュリーコーンは価値があるのか? と考えました。
ケント・ロックでさえ (でもたった一度だけですが) 分別物流の努力をすることなしに
エタノール工場へ持ち込んで7ドル/ブッシェルというのは魅力的でした。
センチュリーコーンを生産すると決めたのは、100%経済的なことを鑑みてではありません。
理由の一部は、安心できる食品をお客様に提供するために、
私を信用してパートナーにしてくれた大地を守る会のような会社の
信頼される供給者になるという誇りを得られるからです。
大地を守る会が最高の食品を提供するのに力を添えることは、
私が本当に感謝している日本のお客様と大地を守る会の結びつき、
大地を守る会とカーギルの結びつき、カーギルと私の結びつきにやがてなる、
母なる大地と次世代の人々との結びつきのひとつになります。
私たちが皆恵まれた2008年を過ごしたことは、
" 人は人と仕事をする " という環境のおかげです。
センチュリーコーンを使用していただき、ありがとうございます。
2009年は関係をより強固なものにし、お互いの仕事をより理解していく年になるでしょう。
良いお年をお迎えください。
- ケント・キャロル・マリー・レネー
(2007年10月に訪問した時の Mr.ケント・ロック)
ケントに限らず、センチュリーコーン生産者にとって、昨年は試練の年だったようだ。
もう一人、近況をレポートして送ってきてくれるチェットさんという生産者も、
息子さんと話し合い、「来年はセンチュリーコーンを増やそう」 と決めたようだ。
モンサントの組み換え種子の値が吊り上げられたことが、その理由のひとつになっている。
目の前の収益性だけでなく、様々なリスクや将来的な安定性なども分析しながら、
しかも生産者としての責任や誇りも維持するために、
彼らは、何をつくり・誰とつながるか、について真剣に考えてくれている。
ケントさんたちのつくったセンチュリーコーンは、
北浦シャモの下河辺さんはじめ、多くの家畜生産者に使われている。
ぼくらは安心して食べられるお肉を通じて、ケントとつながっているのだが、
ケントもまた、このコーンで 「大地を守る会」 とつながっている、と言ってくれる。
このバリューチェインの価値を共有できる生産者がいてくれることに感謝しながら
仕事に取り掛かれるシアワセをしっかりとかみしめて、
今年を始めようと思う。
※ 遺伝子組み換えに関する日記もけっこう溜まってきたので、
改めてカテゴリーとして設定しました。
一昨年のケント農場の訪問記なども含めて、このテーマでまとめ、
時には振り返りながら、このテーマを考えていきたいと思っています。
ご批評などいただけると嬉しいです。