2008年2月18日
『よみがえれニッポン -食べることを考える』
16日(土) 。
CSテレビ 「朝日ニュースター」 の生セッション番組
『よみがえれニッポン』 に出演する。
今回のテーマは 「食べることを考える」。
様々な食品偽装が治まらない中で、中国産ギョウザの騒動。
いったい何が原因で、日本の食はどうなったのか、何をどう変えていったらよいのか-。
長期的な視野で語り合いたい、ということでのお声掛かりである。
場所は原宿、明治通り沿いにある朝日ニュースターのスタジオ。
若者たちが闊歩する竹下通りを複雑な心境で歩いて
(20数年ぶり。ということはこちらの目線も変わっている)、
午後3時前、スタジオ着。
キャスターのばばこういちさん(放送ジャーナリスト)、安藤千賀さん(フリーアナウンサー)、
他のゲスト陣と顔合わせ、打ち合わせに入る。
用意された台本を見て、さすがに生番組である。
分ならぬ秒刻みの進行表が書かれていて、一気に緊張が走る。
打ち合わせも 「だいたいこんな感じで~」 という調子で、
慣れたレギュラーの方にはそんなもんなんだろうが、
こちらはアバウトであればあるほどドキドキ感が募ってくる。
しかも 「コメントは分かりやすく、コンパクトに」 などと言われると、
瞬間、頭の中が白くなったりする。
午後4時半~ 本番開始。
上の写真は職場の仲間がテレビを見ながら撮ってくれたもの。 こんな感じです。
ゲストということで真ん中に座らせられて、
ばばさん、安藤さんからの質問に、パッパッと応えていかなければならない。
14年前の 「朝まで生テレビ」 のように、マイクを握り締めて話しまくるのとは違うのだ。
「では戎谷さん。問題の本質はどこにあるとお考えですか?」
「消費者として考えなければいけないことは何ですか?」
他のゲストの方の発言を受けて- 「その辺は、戎谷さんはどう思われますか?」
という感じで発言を求められ、それなりに応えていたつもりであったが、
実際は 「それはですねぇ」 「はい。え~」 「あのぉ~」 の連発である。 冷や汗...
細切れのコメントで、しかも話題はどんどん進行するので、話を深めることはなかなかに難しい。
私が伝えられたのは、こんな程度である。
・今回のギョウザ事件の本質は、日本の食品企業がひたすら 「安さ」 を求めてコスト削減に走り、
海外に工場を移転して、さらにそこでも生産効率を追求してきた歪みだと思う。
・消費者が求めてきたという意味では、消費者にも責任の一端はあろうが、
かといって消費者は単純に 「安さ」 だけを求めているわけではない。
同じ品質のものが並んでいたら安い方を買うだろうが、それも 'まさか危険なものではないはず '
という、ある種の良心的な 「信頼」 が根底にあるからである。
それすら裏切って安さを追求するのは、作り手のモラルの退廃以外の何ものでもない。
実際に多くの食品メーカーは、中国がダメだからとタイに発注先を移しているだけである。
・39%にまで落ち込んだ自給率の問題も、これではまずいとは誰もが思うことであるが、
一方で、国内では輸入量の7割近い2150万トンもの食品が捨てられているのが実態である。
「安さ」 の裏で、私たちはどんなに食べものを無駄にしていることか...
これは輸出国に対しても、地球にとっても失礼な話である。
・食の安全性の確保は社会の土台であり、子どもたちの未来を守るものだ。
国の政策も変えなければならないが、農業が食料の生産だけでなく、
国土だけでなく環境の保全にも貢献していることを伝えていきたい。
そういう意味では、流通や販売者にも重要な責任がある。
'生産と消費のつなぎ' の修復こそ、我々の課題である。
本当は、価格に隠された外部不経済の話や、食と環境のつながりなどを語りたかったのだが、
いかんせん時間がなかった。
もっと上手に話せるようになりたいもんだ。
そのためには、普段考えていることをきちんと言葉で整理しておく作業が必要なんだよ。
そんなことを思いながら、番組途中でひらめいたこと。
右脳と左脳の間には 「あのう」 という脳が存在する。
あ脳は思いやイメージを言葉に置き換える機能で、当事者にとってはものすごいスピードで
働いているのだが、メディア的には間の抜けた不要な時間とみなされる。
どうでもいいことをふと思いついたりするバカな私でした。
番組終了後、記念撮影。
翌日、安藤千賀さんからお礼と一緒に送られてくる。
「とても分かりやすく、いい話だった」 と、社交辞令であったとしても、嬉しい。
前列中央が、もう一人のゲスト 「有限会社 良品工房」の白田典子さん。
右は、レギュラーのITキャスター、中村輝雄さん (日立ソフトウェアエンジニアリング)。
後列左は、当番組のご意見番(レギュラー)、マルチタスクデザイナーの武者廣平さん。
中央がばばこういちさん。右が安藤千賀さん。
レギュラーの方はさすがに落ち着いていて、私の言えなかったところを
いくつかフォローしてくれた。
皆さんに感謝しつつ、いい経験をした一日であった。