2009年5月20日
Genetic Roulette -遺伝子のゲーム?
前日の日記の余韻を、頭の隅で引きずっている。
クローン技術も、GM (遺伝子組み換え) 技術も、科学ではなく
不確かな " 技術 " なのである、という天笠さんの言葉を反芻している。
昨日の日記の中で、ジェフリー・スミスという名前を出した。
アメリカでGM食品に反対する活動を展開している人だ。
彼の著書の和訳本がある。
『 偽りの種子-遺伝子組み換え食品をめぐるアメリカの嘘と陰謀 』
( 訳:野村有美子・丸田素子、家の光協会刊 )
ここでは、実に恐るべき事実が明らかにされている。
GM食品の問題点を指摘した科学者やジャーナリストが実名で紹介され、
その丹念な取材を進めるとともに、いかに彼らが、
(民主主義を標榜するアメリカで) 研究費をカットされたり
左遷あるいは解雇されるなどの弾圧を受けてきたか。
そして研究成果が改ざんされ、あるいは闇に葬られてきたか。
まるでサスペンスドラマを見るような調子で語られている。
しかも、登場人物はかなり権威ある人々であったりするのだ。
GMO懐疑派の私でさえ 「本当かよ」 と思えるようなエピソードもある。
しかし実在の登場人物から、彼の著作を訴える人が出ていないところを見ると、
これは本当の話なのかもしれない、と思う。
どなたか日本のジャーナリストで検証していただけると有り難いのだが、
お金にならない地道な取材は誰もやってくれないようだ。
実は今年の2月、
スミス氏はインドから帰国する途中で、日本に立ち寄ってくれている。
そこで緊急にスミス氏を囲んでのミニ講座が企画され、
大地を守る会で場所を提供した。
そこで彼は、GM技術の問題点や運動の進め方について、熱心に語ってくれた。
その時のメモによれば、
-今、GMOをめぐる情勢は、重要なポイントを迎えている。
健康への影響がもっと伝えられなければならない。
伝える対象は、医者、宗教団体、学校給食、そして食生活に熱心な人たちだ。
オーガニックの農家たちは教育者の役目を果たしてくれている。
アンケート調査によれば、アメリカ人の多くはGM食品を食べたくないと思っている。
しかし食べている。 事実を知らされていないのだ。
5%の消費者が反対の意思表示をすれば、食品メーカーも変わる。
そのために誰にも理解できるようなパンフレットやDVDを作成し、
置いてくれる店を増やす運動をしている。
ターゲットは、健康に気をつけている人、そのための情報を受け入れる用意ができている人、
子どもたちを守るために選択する意思を持った人たちだ。
そのような人たちをネットワークすることで、変えることはできる。
スターバックスだって非GMOを宣言したのだ。
この席で、彼は最近出版した本を紹介した。
2年間かけて、30人以上の科学者を動員して、
GM技術の問題点を、65のポイントにまとめたものだという。
遺伝子ルーレット、遺伝学的ルーレット ・・・・どう訳せばいいのだろう。
私なりに考えた訳は
- 『遺伝子のゲーム』 とか 『 遺伝子操作という賭け 』 とか。 だめか。
スミスさんが帰ってからすぐに入手して、
辞書を片手に読もうとしてるんだけど、どうにも進まない。
分厚いA4版のハードカバー、320頁ある。
スミス氏は、「翻訳権を与えてもいい」 と言ってくれた。
誰かやってくれないだろうか。
お貸ししてもいい。