2010年9月12日
価格より価値の競争をしたい
大地を守る会のオリジナル日本酒 「種蒔人」 を背負って
水源に感謝を捧げる飯豊山 (いいでさん) 登山は3年続けて叶わず、
祝島ツアーもお断りして、夏休みも取れないまま9月に入って
あっという間に11日の三越銀座店オープンを迎える事態となり、
今になっていろんな反省にかられている自分がいる。
ため息を何度ついてもダメ。 気合いだけでもパワーアップさせなくちゃね。。。
- とか殊勝なことを言いながら、関係スタッフが三越オープンに追われるのを尻目に、
僕は諸般の都合による代役で、この土日、鳥取に飛ばされたのだった。
12日は一方で、わが 「大地を守る会の稲作体験」 の稲刈り日でもあるというのに。
11日(土)、お昼前に米子鬼太郎空港に到着。
最近、あちこちの空港名が長ったらしくなってるね。
高知は 「高知龍馬空港」 だし、わが郷里は 「徳島阿波踊り空港」 だ。
安易で無駄遣いにしか見えないのだが、そこまでするなら、
米子鬼太郎空港に降りたときには、みんな妖怪の姿で出迎えるくらいやってもらいたいものだ。
徳島なら、搭乗待合室で待っている時間に阿波踊りの精神と踊りのコツを覚えられる
くらいのサービスをしたらどうだろう。 来年は見るだけじゃなく踊りに来たくなるような。
妖怪 Vs. 阿波のカーニバル・・・ これぞ文化の競演、なんちゃって。
高知空港に降りた時には、「ニッポンを変えんといかんぜよ!」 とアナウンスが流れて、
連日あちこちから来た人たちの間で熱~い 「ニッポン洗濯討論会」 が待合室で展開される。
みんな所用も忘れて議論に興じ、喧嘩になったら、龍馬が登場するのだ。
「なにこまいことゆうちゅう。 みな仲良うせんとのう。
はよう乗ってつかァさい。 あんたが乗らんと、、、飛行機は飛ばんきに、の! 」
みんな龍馬の気分になって帰る。
・・・・・・・・・・・・ ボクちょっとヘンかしら。
そんなヤバい精神状態のボクを、大山(だいせん) が優しく出迎えてくれた。
妖怪もあちこちに、いることはいる。 看板とかポスターだけど。
で・・・僕に託された今日の仕事は、出たとこ勝負の講演。
こういうのが一番つらい。 ああ、妖怪になりたい。
空港から車で1時間ほど。
大山の麓にあるホテルの研修施設で行なわれた
「鳥取県夏季農業講座」 というのに呼ばれたのだ。
主催は実行委員会で、鳥取県内の農民組合や自治体等の労働組合、生協さん等
で構成されているようだ。
演者は3人。
まずは民主党の参議院予算委員長の国会議員さん。
戸別所得補償制度の本格実施と今後の展望について。
時が時だけに1時間ほどの講演と質疑でとんぼ返りされたが、
多少の質疑だけでは農家の不安は拭えない様子が窺われた。
二人目は中国四国地方の生協連合の常務理事さん。
生協が取り組む産直運動の現状が報告された。
地域を拠点とする生協の存在は生産者にとって頼りになる存在のはずなのだが、
" 適正価格 " という名の値下げ要請も強いようで、ここでも生産者のストレスは嵩じている。
そんな空気を感じながら3番手で指名されるのはつらいものがあるが、
「大地を守る会」の運動と事業のスタイルはとても特異なものに見えているようで、
主催者からは 「自由に喋れ」 とのご指示である。
そこで腹を決めて、今後の方向を考える上で少しでもヒントになればいいと、
設立時の背景から沿革、大地を守る会が守ってきた理念と考え方、
運動と事業のつながりなどについて好き勝手に喋らせていただく。
ついでに戸別所得補償に対する批評も一発かまして・・・
結論は " 価格の競争ではなく価値の競争を " となった。
中山間地の問題も、耕作放棄の問題も、
地域の資源や価値を地元の人たちが再発見することに突破口があるのではないだろうか。
愚痴を言ってないで、新しい血を受け容れることも考えてみてはいかがか。
夜の交流会に二次会、二日目のパネルディスカッションと、随分と質問攻めに遭って
疲れもしたが、改めて思ったのが、大地を守る会の生産者のすごさ、だろうか。
僕の底の浅い理屈よりも、現場の実例こそ説得力がある。
言ってみれば他人の褌で相撲を取っているようなものだ。
質問に応じていろんな事例をカードのように出しながら、
それなりの刺激を与えられたように思う。
閉会後の反応も上々で、まあまあだったかな。
帰りの米子鬼太郎空港でケータイをチェックしてみれば、
稲作体験実行委員からメッセージが入っている。
「無事、けが人もなく、楽しく終了しました。
収穫量もまずまず、例年より少し多いかもしれません。」
よかった、よかった。 写真が楽しみだ。
帰りは、やっぱり気になったので、羽田からお土産に頂いた20世紀梨を抱えたまま、
三越銀座店まで足を運ぶ。
芋を洗うような人ごみを掻き分け、B2のデリカショップ 「ダイチ」、
B3の青果売場での大地を守る会コーナーと回る。
どちらもスタッフが一所懸命声を出して販売に精を出している。
デパ地下もこれまでにない目線で眺めてみたりする。
僕らはこのマーケットでどれだけのものを学べるだろうか。
価値でたたかうのも、日々総力戦である。