2011年10月 6日

安全なだけでなく、前より美味くなった! と言わせる。

 

すみません。

異動前後のせわしなさで、ブログのほうにまったく手が回ってませんでした。

時間というより、気持ちの問題ですかね。

しかも農産グループの仕事は細切れに引き継ぎながら、

次の仕事は一気にギアをアップさせたような感じで。

と言ってもこれまでの延長なんだけど。

 

前回の日記のあと、 

9月29日(木) は、4つの団体のトップの方々と秘密の会合を設定。

テーマは食品の放射能基準の正しい考え方について。

内容は近いうちにお知らせできるかと思います。

そして30日(金) には福島県須賀川市、ジェイラップに向かう。

この日はお米の話ではない。

岩手県久慈市(旧山形村) から短角牛の生産者に来てもらって、

牛の除染対策会議を開いたのです。

 

e11100304.JPG


今回試してみようとしているのは、ゼオライト (沸石) の粉末。

ゼオライトといっても、ケイ酸アルミニウム主体の多孔質鉱物の総称で、

その数は数百種類あると言われている。 

そのイオン交換能力の性質から土壌改良や水質改善に広く利用されているもので、

欧米ではサプリメントとして普及しているし、

家畜の餌に混ぜると生育が良くなることも証明されている。

(悪玉菌を出して善玉菌を増やす。

 血液がきれいになり、健康状態がよくなって、肉質が向上する、という理屈。)

特に3.11以降は、セシウム吸着力で注目されているものだ。

 

久慈といえば岩手の県北で、旧山形村はその内陸部に位置する。

原発事故の影響はかなり少ないほうなのだが、

規制値を超えた牛肉が県内で発生したため、県全域で出荷がストップした。

我々はいち早く短角牛の全頭検査を実施して、

その安全性を確かめる体制を取ったのだが、行政の規制は変わらなかった。

「まるで岩手全体が汚染されたみたいに思われたのではないか」

という生産者の不安は今も深く、販売不振に喘いでいる。

 

とはいえ牧草地のなかにはセシウムが検出されたところもあって、

生産者たちは今年の一番草を食わせるのを控えている。

牧草地対策、そしてゼッタイに肉に移染させない対策を徹底させるために、

ゼオライトの力を借りようというわけだ。

 

それがなぜジェイラップで?

長年、牛の健康と肉質の向上を目的としてゼオライト利用の研究をされてきた方が

福島にいて、ジェイラップの伊藤俊彦さんを経由して検討会をお願いした、というわけ。

久慈と東京の中間なのでお互い3時間ですむし、

僕にとっては翌日の備蓄米収穫祭のための打ち合わせもできるし、

何より一往復分の交通費が浮く。

 

検討はかなりイイ感じで進み、具体的な手当ての方法までまとまった。

「安全なだけでなく、3.11以前より美味しくなった、と言わせようじゃないか!」

・・・来たときは少々落ち込んだ感のあった生産者たちが、

笑顔も見せながら帰っていかれた。

国産飼料100%の牛肉を実現した彼らなら、やってくれると信じている。

 

帰る前に、放射能測定器も見ていただく。 

e11100305.JPG

 

これと同じものが大地を守る会のセンターに4台ある。

ゲルマニウム半導体検出器も威力を発揮し始めている。

測定でのバックアップは任せてくれ。

 

このやり取りを、脇で面白そうに眺めている男がいた。

 " やまけん "  の名で食の世界を闊歩している山本謙治である。

彼はこの日、別件で伊藤さんの取材に入っていた。

彼のレポートは近々、大地を守る会のホームページで登場するはずである。

大地を守る会の 「TTP (ちゃんとたべようプロジェクト)」 コーナーにて。

乞うご期待。 

 

e11100301.JPG

 

やまけんのブログでいつも、スゴいなあ!と思うのは写真のシャープさである。

マニュアルできちっと撮れるテクやセンスの違いはもちろんのことなんだけど、

ストロボ付きアンブレラを持ち歩いている姿まで見ると、

彼はすでにプロなのだと思い知る。

ウチの広報・中川が 「傘をこっちに向けろ」 とか、助手のようにこき使われている。

 

笑顔がほしいね~と、やまけんさん。

脇から茶化したりする。 

e11100302.JPG

 

ああ、いい笑顔だ。

やるだけのことをやった、という自負がある。

頭もヒゲも白くなったけど・・・

明日の収穫祭も、こんな感じでお願いしますよお。

 

e11100303.JPG

精一杯、手を尽くした田んぼ。

収穫は、一週間後あたりか。

何が起きようが生きるのみ、とばかりに美しく実った田んぼ。

早くも泣けてきて。。。 ありがとうの気を送る。

 

この日は須賀川に一泊し、

明けて10月1日(土) は、感動と涙の収穫祭になった。

この報告は次回に。

 

10月2日(日) は、段ボール数箱持って、引っ越し作業。

北の窓際から南の窓際に。

3日に巣作りを終え、4日は高知に飛ぶ。

「放射能対策特命担当」-このミッションを進めるからには、

まずはこの人に仁義を切っておきたかった。

20年以上前に原発計画を止めた男、窪川(現四万十町) の島岡幹夫さん。

15年ぶりの表敬訪問。

これは僕にとって、気合いとエネルギーを強化するためにも、必要な手続きだった。

 

遅ればせながら順次報告、ということでお許しを。

 


Comment:

仁義大事ですね!
せいいっぱい手を尽くして、それだけの効果があったことが何よりうれしかったです!
お米は稲藁も籾殻も、糠も、捨てるところがないので、それらがうまく除染できれば、このあと、それが餌になっても、農業資材になっても、安心して使えますものね。
他の作物でも、除染してるかどうかで差が出るのか知りたいところです。

from "てん" at 2011年10月10日 18:45

コメントを投稿



大地を守る会のホームページへ
とくたろうさんブログへ