2013年6月25日

食べて克つ(Ⅲ) -野菜の力で被ばくとたたかう。

 

高橋弘医師のファイトケミカル講座。

話はいよいよ被ばく対策へと進む。

 

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放射線被ばくによる健康障害には、急性毒性と慢性毒性がある。

急性毒性には、消化管壊死による下痢、骨髄不全による鼻血や貧血、

肝不全による黄疸などがあり、放射線を被ばくした直後に起こる。

慢性毒性は被ばくして数年後に起こる健康障害。

その主たるものは発ガンのリスク増加である。

 

外部被ばくでは、被ばく後 2~3年目から 15年頃まで、

白血病のリスクが上昇する。

被ばく後 20年目以降に固形ガン(胃ガン、肺ガン、直腸ガンなど)

のリスクが上昇する。

被ばく者に見られる固形ガンは、非被ばく集団で見られる種類と変わりはない。

ただそれがより高い頻度で発症する。

つまり放射線は自然発ガンを促進させると考えられている。

 

被ばくには外部被ばくと内部被ばくの 2種類がある。

外部被ばくは、放射線源 (被ばくの源となる放射性物質) が

体の外にある時に起こる。

自然放射線の影響もあれば、CT検査でも起きる。

内部被ばくは、呼吸による吸い込み(経気道暴露)、

食べ物や飲料と一緒に口から入る(経口暴露)、皮膚からの経皮暴露などを通じて

放射線源が体内に取り込まれたときに起きる。

その代表例が、放射性ヨウ素131 が甲状腺に取り込まれて被ばくするケース。

皮膚からの取り込みは、皮膚や粘膜が傷ついている場合に起こりやすくなる。

 

放射線は遺伝子を構成する DNA に傷をつけ、

遺伝子の異常が起きることで発ガンのリスクを増加させる。

DNA に対する放射線の作用には、直接作用と間接作用がある。

放射線が物質を通過する際に、特に水を通過する際にはじき飛ばされた電子が

直接 DNA を傷つけることを直接作用と言う。

(放射線自体が DNA を傷つけることは、余程のエネルギーがない限り、ない。)

 

放射線によりはじき飛ばされた電子が水分子と衝突すると、

ヒドロキシラジカルや水素ラジカルと呼ばれる活性酸素が発生する。

これらの活性酸素が DNA を間接的に傷つけることを間接作用と呼ぶ。

 

放射線が DNA に与える影響の 70% は、間接作用によると言われている。

つまり、DNA を傷つけるのは主に活性酸素の仕業であり、

活性酸素を消去することができれば、

放射線による影響の 7割は防ぐことが可能だと言うことができる。

残り 3割の直接作用に対しては、放射線源の除去で防ぐしかない。

ふだんから活性酸素を消去する 「抗酸化力」 を高めることが重要である。

 

そして、仮にガン細胞が発生したとして・・・最後のポイント。

一個のガン細胞が分裂して、見える大きさ(0.5~1 cm) のガンに

成長する(早期ガンの発見レベル) には平均して 9年かかる。

ただ白血病や甲状腺ガンは、3~5年で発症する。

 

したがって、ガン細胞ができても、ガンが成長するまでの数年間で

ガンを攻撃する力、抗ガン作用を高め、免疫力をつければ、

ガンをある程度まで予防することができる。

 

ではどうすれば 「抗酸化力」 「抗ガン作用」 「免疫力」 を

パワーアップできるのか。

その力は、野菜や果物にある。

その成分こそ、ファイトケミカルである。

 

まとめ。

放射線がDNAに与える影響の 70% は

活性酸素による間接作用だと言われている。

活性酸素を除去する 「知恵」 を知っていれば、

放射線による影響の少なくても 7割 は防ぐことができる。

また、1個のガン細胞の芽が分裂を繰り返して

肉眼で見える大きさのガンになるには約 9年かかる。

したがって、ガンが成長する9年の間に

ガン細胞を撃退する抗ガン作用と免疫力をパワーアップすれば、

ガンの成長を止めることも可能になる。

 

野菜や果物に含まれるファイトケミカルには、活性酸素を除去する抗酸化作用、

ガン細胞を殺す抗ガン作用、そして免疫力を高める作用がある。

 

すなわち、体内の活性酸素を除去し、抗ガン作用を高め、

免疫力ををつける 「食の知恵」 を持つことが、

放射線被ばくから身を守ることにつながる。。。

 

ここから先は、高橋弘さんの著書

『ガンにならない3つの食習慣』(ソフトバンク新書)

にて学んでいただければ、と思う。

また麻布医院の HP でも、ファイトケミカルの解説や

スープのレシピががアップされているので、ご参考までに。

 

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質疑では、鉄の過剰摂取に対する関心が集まった。

気になる方は、アーカイブで確かめてほしい。

シジミのみそ汁は飲めば充分であって、具(シジミの身) は食べないほうがいい、

と高橋さんは明言されたけど、貧乏性の僕はやっぱ捨てられない。

 

また、こういうテーマでやると、どうしても個人的症状についての質問が出される。

冷たいようだけど、こういう講座の会場からいきなり相談されても、

その方個人に対する責任ある回答は出しにくい。

信頼できる医者だと思われたなら、ぜひ医院まで足を運び、

診てもらい直接アドバイスを受けるのが一番です。

それから、

「大地の食材は高いので、たまにはスーパーのもので済ませてもいいでしょうか」

という難解な質問は、やめていただきたい。

これは自己責任の問題であって、答えは

「あなたが決めることです」 以外にあり得ないので。

自身の行動判断までアウトソーシング (外部委託) してはいけません。

それはとても危険なことです。

それとも、突き放したりせず、

「私だってコンビニの弁当で済ますことはあります」

と言ってさし上げればよかったのかな。。。

とにかく、売っている立場として、「ああ、いいですよ。 どうぞ」 とは

口が裂けても言いたくない。

 

ファイトは 「たたかう」 ではなく、ギリシャ語で 「植物」 を指す。

この語の意味は深いように思う。

長い長い年月をかけて対応力をつけてきた植物の力こそが、

たたかうエネルギーの本源だとするならば、僕らはもっと、

野菜本来の力を引き出す農の意味を考え、

受け止め直さなければならないのではないか。

 

たどり着いたのは植物の力だった、しかも旬の野菜がイイ!

ファイトケミカルは有機野菜のほうが多い、という仮説を信じて、

食べて克つ!

 

この連続講座も、残るはあと 3回。

さて、どこまで辿りつけるだろうか。

 



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