2010年3月 7日

未来は有機農業にあり!

 

3月5日(金)、千葉県成田市内の某ホテルにて、

「農事組合法人 さんぶ野菜ネットワーク」 の第5回通常総会が開かれた。

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一年間の事業活動を総括し、決算報告をし、監査報告を受け、

次期の事業計画や予算案について、組合員からの承認を受けるという、

組織の最高決定機関である。

 

当然のことながら、貸借対照表も損益計算書も売上目標も提示されるわけだが、

ここにすべての取引先を招待して開催するところに、彼らの骨太さを感じる。

しかも利益の扱いやら事業計画について、なかなか活発な議論が行なわれ、

時には執行部が熱くなる場面などもあって、実に好ましく思えるのだ。

(何という上から目線のセリフでしょう。 失礼ですね。)

 

役員や執行部の苦労はどこの組織にもつきものだし、

それが会員や組合員に充分に見えなかったりする場合の軋轢も、よくあることだ。

後ろで取引先が腕組んで眺めるなかで、そんな現実を生々しくやり取りされた皆様に、

敬意を表したい。

 

旧JA山武(現:JA山武郡市) 睦岡支所内に有機部会が設立されて21年。 

農事組合法人として独立して5年。

メンバーは50人を超え、取引先も指折って数えきれないくらいに成長した。

部会設立と同時にお付き合いを始めた大地を守る会としては、

彼らの20年にわたる努力を、素直に讃えたいと思う。

しかもこうやって総会をオープンにしながら運営してきた。 立派である。 

 

この日には特別ゲストも招かれていた。

民主党参議院議員、有機農業推進議員連盟事務局長、

ツルネン・マルティ さん。

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有機農業推進法成立の功労者である。

 


日本憲政史上初の、日本国籍を持つ外国人の国会議員が、

日本の美しさを語り、有機農業の推進を訴えている。

 

フィンランドに生まれ、宣教師として来日して、

日本古典文学の翻訳や英会話塾などやりながら、神奈川県湯河原町の町議になり、

国政選挙に挑戦するも四度の次点経験を経て、

大橋巨泉の辞職による繰り上げで、神がかり的に国会議員になった。

そして次の2007年の参院選では、民主党6位で堂々の再選を果たした。

色々と物議をかもす国会議員が多い中で、

数少ないクリーンで苦労人の政治家の一人ではないか。

 

その人が、有機農業の推進に政治生命をかけるとまで言ってくれている。

演題のタイトルは 「未来は有機農業にあり! 」。

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母国フィンランドでは、昨年の閣議決定で、公共施設(大学、学校、老人ホームなど)

のレストランや食堂で 「ルオム自然食」 と 「ローカル食」 を取り入れるという方針が

採択されたんだと言う。

「ルオム」 とは、フィンランド語での 「自然に従う生き方と農法」 という意味らしい。

有機農業と地産地消を足したようなイメージか。

公共施設では、毎月何日かの 「ルオムの日」 が設定され、

その日は地場食材一色の食事になるんだそうだ。

議員としての残りの時間をこういう食育推進運動にかけたいと、ツルネンさんは熱く語る。

 

たかが30分の、間違いなく安いであろう謝礼での講演に来て、

ちゃんと懇親会まで出てくれて、「有機農業が世界を救う、と私は信じています」 と、

真摯に有機農業の推進を自分の政策として語れる政治家は、

僕の知るところ、この人しかいない。

しかも、みたしなみからして、僕らよりずっと日本伝統にのっとっている。

国会ではどう思われているんだろう・・・。

 

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懇親会では、野菜栽培で優秀な成績を収めた生産者8人の表彰式というのが

初めて行なわれた。

オリンピックの入賞にちなんだらしいが、8人なら毎年入れ替われるくらいに

みんなのモチベーション・アップにもつながるのでは、という配慮らしい。 

こうやって、内発的に切磋琢磨されてゆくなら、表彰もあっていいのかもしれない。

 

総会では、新しく3名の組合員の加入が承認された。

加えて、山武市有機農業推進協議会の尽力で、現在3名の若者が研修中である。

警備会社とか青森の郵便局に勤めていたという経歴の人たちが、

「将来は子どもと一緒に有機農業をやりたい」 と語っている。

昨年の研修生からは、1名の方が土地を見つけるところまできたようだ。

まさに 「未来は有機農業にあり!」 の実践である。

 

「自分たちだって苦しいのに、メンバーを増やしてやっていけるのか」

という声も聞かれたが、組織や地域の活性化に、新しい血は必須である。

食の安全や環境を守る戦力を育てられる力がどこにあるのかを、

後ろに陣取っていたお歴々の前で、あなたたちは表現していたのです。

前に進んでよし、ですよ。

 

大地を守る会の稲作体験も今年で21年目となる。

皆さんと一緒に歩んできたという自負も多少はあるもので、

5回目の総会無事終了をともに祝いたい。 お疲れさまでやんした。

 



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