2008年3月15日

『地球大学』-東京の水のデザイン

 

東京・大手町の大手町ビルにある 「大手町カフェ」 で

毎週開催されている環境セミナー 『地球大学』 。

昨夜( 14日 )、番外編の企画が組まれた。

テーマは 「東京の水のデザイン ~利根川から考える~ 」 。

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 夕方5時半から始まって、終了は9時半過ぎ。 長丁場のセッションとなった。


プログラムは3部構成で、ゲストが10人という贅沢な仕掛け。

これまで行なわれてきた水をテーマにしたセミナーと、

六本木 「21_21」 で開催した 『WATER』 展までの中間総括として、

足元・東京の水について整理しておこうというねらいで企画された番外編。

多彩なゲストも皆、手弁当での参加である。

 

第1部-「なぜ 『利根川』 なのか?」

まずはホストの竹村真一さんが、利根川水系を源流 (群馬と新潟の県境・大水上山) まで

辿ってきたフィールドワークをベースに、概略を説明する。

 

首都圏2500万人の水を支える利根川。

戦後、急速に経済発展と人口増加を遂げた東京は、

1964年の水不足 ( " 東京砂漠 " という言葉を生んだ) と東京オリンピックを境に、

水道水の8割を利根川に依存するようになった。

しかし治水と利水の観点から眺めれば、極めて脆弱な基盤の上に成り立っている。

竹村さんは、源流から河口までの地勢と水循環を、立体視地図を駆使して示しながら、

東京の潜在的リスクの可視化を試みる。

 

国交省の河川調査官・渡邊泰也さんが、

家康の時代から今日までの江戸-東京の治水の歴史を、災害の歴史と重ね合わせて、

竹村さんが示唆したリスクを裏書きしてくれる。

しかも、世界平均の倍の雨が降る日本でも、

首都圏の一人あたりの降水量にすれば世界平均の4分の1となり、

一人あたり 「貯水量」 となると、ニューヨークの10分の1しかない。

今進んでいる温暖化は、さらに激しい洪水と渇水の繰り返しを予測させていて、

水利用率の急激な低下が、近未来の現実のものとして想定されてきている。

 

法政大学エコ地域研究所の神谷博さんは、「源流からの眺め」 と題し、

やはり立体視地図を使って、地球史の流れから 「東京水圏」 を再現させる。

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 キーワードは、「東京水圏」 と 「古東京川」 だと。

縄文海進で関東平野が水浸しになる前には、東京には古代の川があった。

利根川と荒川と多摩川は一つの河川・流域であった。

その時代、人は源流の高みから関東の地勢・地形を見通していただろう。

 

そうか......僕らは今、コンピュータのお陰で新しい視点を発見したような気になっているが、

実は失ったまなざしであったのか。

 

そこで第2部、「利根川の可視化、可触化」 のためのワークショップへと進む。

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京都造形芸術大でデザインを学ぶ上林壮一郎さんの仕掛け。

関東平野に注ぐ河川をテーブルの上で立体化する。

そこに色をつけた水を源流から流して、関東平野から東京が浸食される動きを感じ取ってみる。

 

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 コーヒーや洗剤や雑排水が混じり溶け合いながら、暮らしを支える水系を染めてゆく。

これが今の私たちの暮らしの様子、ということか。

 

東京芸術大学の川崎義博さんは、源流から拾ってきた音を天井のスピーカーから再現する。

目を閉じて耳を澄ませば、冬の水音に混じって、鳥の声が採取されていたりする。

何より、水の息づかいは、動物の心を癒す。

" 生きられる安心 " 感は、すべて水によって与えられているのだ。

 

さて、第3部・・・・・ワタシの出番なのだが、すでに相当に時間が押している。

竹村さんも少し気が急いてきて、3部のゲスト3人を前の椅子に座らせる。

 

(すみません。 作業中に瞬間的にデータが飛んで消えてしまうという現象が何回も続いてしまって、

 疲れてしまいました。 もう耐えられません。 続きは明日にします-)

 



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