2008年6月14日
稲作体験2008-草取りⅠ編
千葉・山武での 「稲作体験2008」 シリーズ、今回は草取りの一回目。
集まってくれたのは100人くらいか。
どうも田植えより少なくなるが、まあ色々と事情も発生するのだということで、
深くは考えない。 集まってくれた方々に感謝する。
田植えから4週間が経ち、稲は他の草どもとのたたかいの真っ只中に入っている。
作業用に着替えて、畦に並んで、さあ、スタート! 人海戦術による草とりが始まる。
昔ながらの田車を押すのは、さんぶ野菜ネットワークの下山久信さん。
もうほとんど使われることもなくなったが、
這い蹲って草をとる側から見たら、充分にスグレモノである。
長い長い稲作の歴史の中で編み出された道具には、先人の知恵と工夫が凝縮されている。
普段は使わないくせに、何やら自慢げにデモンストレーションする下山氏であった。
頑張る男の子。
こちらは虫取りに興じる子どもたち。 これはこれで貴重な経験だ。
記憶にしっかりと残して欲しい。
コオイムシも帰ってきてくれた。
環境省のレッドリストでは 「準絶滅危惧種」 に指定されている。
絶滅に向かわせているのは農薬である。
ひとつの種の絶滅は、生態系のバランスを保たせていたひとつの小さなブロックがなくなることを意味する。
これを文明の進化といってよいのだろうか。
オスの背中にメスが卵を産みつけ、オスがそれを必死で守っている。
孵化するまで2~3週間、飛ぶこともできず、ただ卵を守って逃げ回る。
なんといじらしき生命よ。 抱きしめたくなるね。
こちらは "生きた化石" と呼ばれるカブトエビ。 昨年から登場している。
3億年前から姿を変えることなく、この地球に生きている。
大陸の乾燥地帯からやってきた進入種だが、日本では田んぼでしか見つかっていない。
土をかき回してくれるので、雑草の発芽を抑制する効果がある。
彼らの存在こそが、農薬を使わない田んぼの力を証明してくれている。
さて、紙マルチ区の様子。
田植え直後の強風で、我らが体験田のマルチも剥がれたり、ずれたりした。
めくれて稲を覆っている場所などもあり、隙間を縫うように入って修復する。
米ヌカ区は、はたして・・・・・
何もしてない区とほとんど変わりない雑草の繁茂状態であった。
そこで再度、撒くことにした。
結果は、来月に判明する。
作業終了後は、今や定番となってきた感のある
陶 (すえ) 武利さんによる 「田んぼの生き物講座」 。
今回はマイクロスコープを持ち込んで、生物の拡大画像をお見せする。
写真に写っているのは、これまた希少な植物となった、イチョウウキゴケ。
日本で唯一、水面に浮遊するコケ類で、環境の変化に弱い。
無農薬田んぼを象徴する生き物のひとつである。
こんなふうに、体験田で発見された色んな虫を拡大して、見る。
稲の葉を吸うドロオイムシ (正式名は 「イネクビホソハムシ」 ) の泥を払うと、
ちっちゃなカブトムシの幼虫のような虫の姿が登場する。 そう、カブトムシの仲間なのだ。
こいつの天敵は、クモである。
農薬をふると、クモもやられてしまう可能性がある。
したがって、ここは 「我慢」 とのたたかいとなる。
それにしても、子どもたちは何だ。 画像より道具の方が面白いようだった。
解散後、スタッフで、ある練習にトライする。
何やってるかというと、田んぼの9ヵ所から土を取って、
それを洗って泥を落とし、
白いバットに移して、手分けして虫の数を数える。
ポイントは、イトミミズである。
枯葉などを土と一緒に食べて、土を出す。
土をつくる生き物であり、かつ他の動物の餌ともなる。
田んぼの食物連鎖を支える " 神 " のような存在だ。
これまではたくさんの生き物の種を探して、リスト化してきた。
これらの生命のつながりに想像力を働かせるのは楽しい。
今年はさらに、これに科学的調査の手法を取り入れて、この田んぼの価値と意味を
より深く検証してみようというところまで進みだしている。
今回はまだ練習という気持ちでやってみたが、
これをデータとして蓄積していった先に、さて何が見えてくるだろうか。