2009年11月 3日
今年のブナの植林は雪だって
11月3日、文化の日。
例年だと多少の仕事はあと回しにしても、前日から秋田に遠征するのが定番に
なっているのだが、今年は会議などもあり、動けなかった。
93年から、大潟村の生産者たちが続けている上流部での植林活動、
『秋田・ブナを植えるつどい』 が行なわれる日である。
参加した 「米プロジェクト21」(大地を守る会の専門委員会) の仲間から、
携帯で写真付きの速報が送られてきた。
まだ立冬前だというのに、雪と霰(あられ) の中での植林だという知らせ。
11月3日に雪の中での植林作業というのは、17回にして初めてだね。
さぞや大変なことだろう・・・・・と思ったが、
メールには 「雪の中の紅葉風景は、最高!」 なんて文字が躍っている。
作業のつらさを差し引いてもあまりある自然の美しさを堪能したようだ。
ちょっと、羨ましくなったりして。
たしかに、何気ない林も気高く見える。
雪は風景の基調を純白で覆うから、余分なものが消え去って、
その中に残された、あるいは浮き出た色がすべて映えてくるんだよね。
光の反射もあるかもしれない。
冷たい空気を肌で受け止めながら眺めると、その感動はいっそう強いものとなるのだろうか。
あんまり寒すぎると、それどころではなくなるけど。
ここは上の看板からして第3植栽地の奥にあたるところのようだ。
(以上3枚/提供:宮下恵子さん)
植えて3~5年くらいか。
いよいよ何度目かの厳しい冬がやってきたぞ。
ヒトは " 風雪流れ旅 " とかに憧れたりするが、彼らは風雪に耐えながら、
ひたすら根を張ることで生き抜くしかない。
そして大地を肥やし、生命循環を支える土台となるんだ。 頑張ってほしい。
田に入れる水の源まで足を伸ばし、涵養力の高い広葉樹の森を育てる農民たち。
彼らの作業が財産となって返ってくるのは、まだ数十年先のことだけど、
彼らの営みは、百年単位の視野を僕らに与えてくれる。
ここ数年、食や農業をテーマにして話をする機会があると、
必ず挿入する一枚が、ここでの植林の絵である。
(いま講演用スライドで使っている、ちょっと古い写真。 そろそろ更新しなくちゃ)
生産者と消費者が協働で豊かな森をつくっています。 未来のために。
そしてお決まりの文句を繰り返す。
私たちは、食べることを通じて世界とつながっています。
それは、どのような人と、そしてどのような価値観と繋がるかについて、
否応なく日々選びとっている実践的行為なのです。
私は、こういう農民とつながることに喜びを感じている者です・・・。
(今年の案内チラシに採用いただいた2年前の写真)
一本のブナを前にして悠久の時間を想像したとき、死ぬことも怖くなくなる一瞬がある。
あのふるえるような体験は、捨てられない。
ああ、しかし・・・来年は水曜日か。 ますます行けそうにないなぁ。
ごめんね、黒瀬さん(ライスロッヂ大潟代表)、大潟村の皆さん。
雪の中の作業に参加いただいた大地を守る会会員の皆様。
お疲れ様でした。 そして、有り難うございました。
さすがですね!
「第3植栽地の奥」←お見事!!
この場所の一番上まで登っての植林でした。
去年植えた場所だけど、踏み固めが甘くて枯れてしまった場所に再植樹をしました。
きっちりと(笑)
今年は軍手を忘れて素手で植えたけど、意外に寒さを感じずに済みました。
これは、紅葉に雪の風景の美しさとあられ初体験の喜びのほうが勝っていたからかも♪
いろんな人が支えているから、17年も続いたのだと改めて感謝した1日になりました!